去る5月8日に神奈川県民ホールにて行われた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起」のプレミア上映会。完成した第3話をいち早く観られるとあり、会場には子供から大人までさまざまな年代の「ガンダム」ファンの男女が集まった。ロビーに展示された多数の原画に来場者たちは一目見ようと詰めかけ、イベントは開演前から盛り上がりを見せていた。

ステージにはまず初めに、シャア・アズナブル役の池田秀一とセイラ・マス役の潘めぐみが登場。「THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア」のラストシーンである、兄妹の別れの場面を朗読する。続いて同作の主題歌を担当した石田匠がステージに現れると、「風よ 0074」を熱く歌い上げ、観客はその歌声に聴き入った。

その後ステージは暗転し「暁の蜂起」の上映へ。約60分間の上映が終わると、観客からは大きな拍手が巻き起こる。そしてステージは士官学校の入学式を思わせるセットに変身。司会が「ただいまよりジオン自治共和国国防軍士官学校の入学式を始めたいと思います」と発すると、“新入生”としてガルマ・ザビ役の柿原徹也、リノ・フェルナンデス役の前野智昭、池田が呼び込まれる。また“来賓”として潘が登壇。最後に名前を呼ばれた総監督の安彦良和は、ステージ奥の幕が開いた先でデギン公王の椅子に腰掛け登場し、その演出に観客はどよめきながらも大きな拍手を送った。

安彦は司会に「総監督にお話をお伺いしたいと思うのですが……」と話を振られると、「公王と呼んでいただきたい」と先ほどの演出に触れ笑いを誘う。「おかげ様で3本目が完成しました。1本目、2本目もスタッフのおかげで僕としては非常に満足のいく作品だったんですが、観ている皆さんはイマイチ『ガンダム』らしくない、というふうな気持ちがあったんじゃないかと心配をしておりました」と述懐。「でもこの3本目でかなり『ガンダム』らしくなった、と認めていただけるんじゃないかなと思います」と自信を見せた。

池田は第2話にてエドワウを演じたことについて「安彦さんのマンガを読んで、どうしてもエドワウからシャア・アズナブルへ繋げてみたいという僕自身の野望がありまして。ちょっとご無理を言ってエドワウからやらせていただきました」と思い返す。しかし「正直……第2話、疲れました」と本音を漏らしつつも、今作でシャアを演じたことに対して「我が世の春が来たような感じ」と例えてみせた。

リノというオリジナルキャラクターが登場するシナリオについて、安彦は「脚本家の隅沢（克之）さんがくださったアイデアをそのままいただきました。こういう内容の発展や充実をアニメ化にあたって期待していた」と振り返る。「どうしても（第3話は）士官学校一色の話なので、ストーリーの構造がシンプルになってしまうんですけれども、リノさんのおかげで非常にミステリアスで複合的な話になりました」と思いを述べる。そして次回作である第4話について触れると「実はもう予告編はできているんです。今日お見せできないのが残念ですが、予告編が観たい方はぜひ劇場に……」とアピール。それを聞いていた池田は「戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ」とシャアの名台詞で乗っかり、会場のファンを喜ばせた。

告知コーナーでは6月12日に開催される「ガンダムLIVE EXPO」に、潘が出演することも明らかに。このイベントにて「ジーク・ジオン」の唱和が行われるという話になると、当日のリハーサルも兼ねてこの場で実践してみることに。池田は「場違いかもわかりませんが……皆さんのご健康とこれからのご多幸をお祈りしまして」と前置き。会場は笑いと拍手に包まれながらも、池田の「ジーク・ジオン！」の号令に続いて唱えられた、ファンの「ジーク・ジオン！」の声が鳴り響いた。

最後の挨拶で潘は「第3話を観て、（ファーストガンダムで）訪れる運命をわかっていても『もしかしてシャアって、ガルマに対して本当は思っていたことがあったんじゃないかな』なんて、1人の視聴者として想像しながら楽しませていただきました」と思いを口にする。加えて「今後も続きが観たいですし、一年戦争も観られたらいいなと私自身も思っております」と今後の展開に期待を寄せる。池田は「今作品でシャアはまだ“僕”と言っています。“僕”がいつの日か、“私”になります」と語りながら、「『THE ORIGIN』をもっともっと素敵な作品にしていきます。今日はおかげ様で入学式を迎えることができました。これから先、卒業式を迎えるまで皆さんのご支援を賜りたいと思います」とファンにメッセージを送った。