コミックナタリー Power Push - 電撃大王ジェネシス
オリジナル路線はそのままに、隔月刊にペースアップ 記念対談は竹宮ゆゆこ×カスカベアキラの新連載タッグ!
ヒロインは足が臭そうなほうがいいとすら思う
──キャラクターデザインは文字からどのように立ち上げていったのですか。
カスカベ 最初は「髪が長くて、日焼けしてて、美少女キャラ」だとか、そういう条件を文字情報でいただいて。そこから絵を萌えに寄せたほうがいいのか、普通にしたほうがいいのか、すごく悩みました。
竹宮 微調整はありましたが、基本的にはカスカベ先生から上がってきたもの、そのままですね。
──どんな部分を調整されたのでしょう。
竹宮 私はひたすら、ヒロインの仁希の髪にボリュームを求めました。わさっと生えている感じがよくて。
──なんだか変わった注文ですね。
竹宮 私はキャラに生を感じる部分が好きなんです。それは完全に、自分の趣向としてですが(笑)。とにかく毛量を、と。
──血が通っているように感じる設定がお好きなんですね。
竹宮 リアルな感じが好きで、仁希の足はちょっと臭そうなくらいがいいとも言いましたし。
──足が臭そうなヒロインですか。それを聞いてカスカベさんは「何言ってるんだろう」と思いませんか。
カスカベ いえ、むしろそうした修正が入ったときに、先生のパッションを感じまして。最初にいただいたテキストにはそんなにキャラの詳細が書かれていなかったので、漠然とした感じで捉えながら描いてたんですが、そこで私もスイッチが入りましたね。
──本音でぶつかる感じですね。設定画で気になったのは、仁希の髪には「謎のふさ」というものがついてるんですが。
竹宮 これは髪を増量するための画期的な方法で、髪は単にぼわっとしてるだけではだめなんです。かと言って取って付けたようなアホ毛やリボンも違う。そこで生まれたアイデアが、ふさ(笑)。
カスカベ 始めに仁希のイメージとして「ライオンの女王様」っぽく、と聞いていたので、犬や猫っぽいものがここにあったら可愛いのかなって。
竹宮 最初は絵にリクエストすることに遠慮してたんですよ。でもいただいたものがすごい完成度だったので、ここまで出来上がっているのなら何を注文しても大丈夫じゃん? って余裕ができました。カスカベ先生は、こっちが「ここはこうなんです」って言ったら、パッと返してくれるのでとても楽しいです。
コンセンサスが取れたときに意志が伝わってきた
──メインキャラには女性がもうひとり、温ちゃんがいますよね。新連載がスタートしたジェネシス 2011 Vol.3の表紙にも、よく見ると描かれています。
カスカベ 仁希には髪の話があったように竹宮先生の好みが反映されているとすると、温ちゃんは割と私の自由に動かさせてもらっている部分があります。
竹宮 始め、温ちゃんのデザインはちょっと地味めでいただいてたんです。それを見て、カスカベ先生は抑えてるなって思って。もっと先生らしく美少女キャラ全開でいいですよ、って伝えたらカワイ子ちゃんキャラ全開で仕上げていただいて。この辺からカスカベ先生がノってきたなっていうのが(笑)。
カスカベ やっぱり1回コンセンサスが取れたときに、竹宮先生の何かが私の中に流れ込んできたというか。
竹宮 温ちゃんにはクールな仁希と対照的にギャグシーンがあるんですが、すごくノリにノって描いてくれていて。このノリって原作では書けないセンスの部分じゃないですか。これがすごくいいんですよ。
カスカベ 鳥肌立つぐらいうれしいです(笑)。温ちゃんは動かしやすいキャラですね。高嶺の花の仁希には気を遣うので、作画の時間は温ちゃんの倍ぐらいかかっちゃってます。
電撃大王ジェネシス 2011 Vol.4 ラインナップ
こがわみさき「はしっぽ花星」/松田縞「自称魔王と中二クラスタ」/こげどんぼ「ぎじまんっ★」/原作:竹宮ゆゆこ 作画:カスカベアキラ「エバーグリーン」/犬上すくね「あかとき星レジデンス」/大月悠祐子「妄想少年観測少女」/いわさきまさかず「あしたの今日子さん」/森山大輔「妄想奇行~アドレッセンス・アバター~」/鈴見敦 ストーリー監修:田中ロミオ「うるわし怪盗アリス」/竹葉久美子「やさしいセカイのつくりかた」/堤利一郎「ゴッドシーカー」/MATSUDA98 原作:太田顕喜「キャラメル★スター」/原作:流圭 作画:ほた。「夢のクロエ」/紺矢ユキオ「クラスメイト(♀)と迷宮の不適切な攻略法」/FLIPFLOPs「スズログ」/ルーツ「自動販売機戸部さん」/前嶋重機「デュランダル-不朽の刃-」/カネコマサル「百花のしるし」/飴沢狛「泣き虫うさぎの約束事」/椎名優「Monochrome Myst」/稲井稲井「スキマノスキマ」/介錯「ユメキ」/原作:築地俊彦 作画:鶯神楽「トカレフの危うい城」/原作:大野也太 作画:絶叫「焔の燈介」/小原トメ太「メゾン・ド・ジェネシス」
あらすじ
まんが部に所属する地味な高校生・吉松穂高は、太陽のような輝きを放つ水泳部員・阿波谷仁希に憧れを抱いていた。そんなある日、心臓の持病を理由に今まで水泳の授業を欠席してきた穂高は補習を受ける事になる。拙いながらも何とか泳ぎ切った穂高だったが、偶然居合わせた仁希にその姿を見られ、動揺からプールに立ち尽くしてしまう。仁希はそんな穂高を見て、ある行動に出るのだった――。
竹宮ゆゆこ(たけみやゆゆこ)
東京在住。2月24日生まれ。旬のおいしい食べ物を取り込んでテキストに出力する作家。代表作は、TVアニメ化もされた電撃文庫「とらドラ!」。現在は、電撃文庫で新シリーズ「ゴールデンタイム」を執筆中。
カスカベアキラ
生粋の道産子、左利き。牡羊座のA型。フリーで漫画やイラスト、PCゲームの原画などを手がける。個人画集「テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット―儚き刻のリオン― カスカベアキラ ARTWORKS」が発売中。