担当さんに「なんでお前の絵はエロくならないんだ」って

──ここからは真田ジューイチ先生、TOBI先生に加わっていただき、矢上先生のカレーを囲みつつそれぞれの作品についてお話を伺えればと。真田先生、さっそくスプーンが進んでいらっしゃいますね。

真田ジューイチ　めちゃくちゃおいしいですよ、これ。ビーフの方は食べ慣れた味で、チキンの方はフルーティっていうんですかね。

TOBI　肉の存在感がすごいですよね。

矢上　肉は本来もっと大きいものを入れる予定だったんですけど、小さくカットしたんです。普段使わないようなちょっと厚い肉を買ったので、煮込み時間がいつもと違うのを忘れていて。

真田　今日のこと「矢上先生に会って、カレーを作ってもらったぞ」って、友達に自慢しますよ。僕、もともと「エルフ」は中学時代に「面白いマンガがある」って友達に薦められて読み始めたんです。

矢上　素晴らしいご友人だ（笑）。よろしくお伝え下さい。

TOBI　おすすめのマンガを薦め合えるっていうのはいいですね。僕も中学時代から「エルフ」の名前は知っていたんですけど、裸にするっていう情報からエッチなマンガだと避けていて。その時期って興味はあっても、大っぴらにそういうマンガを読めない部分もあるじゃないですか。

矢上　そういう読者さんがいるとしたら、何かしらの手を打たないといけませんね。

TOBI　そんなムッツリな子はあまりいないと思いますけどね（笑）。なので僕は「2」になってから初めて読んだんですが、「なんでもっと早く読まなかったんだろう」と後悔しました。エッチな部分っていうのも、あくまでスパイスであって健康的というか。

矢上　健康的（笑）。当時の担当さんにはいつも「なんでお前の絵はエロくならないんだ」って怒られてましたけどね。

真田　売り出しポイントとして「エルフを裸にする」っていうのがあったのかもしれないですけど、やっぱりシナリオとギャグが面白かったからこそ、当時あそこまで夢中になって読んでいたんだと思います。笑わせて最後はいい話で終わりますし。

褒められすぎてスプーンが止まる

矢上　普段こんなに褒めていただくことがあまりないのでスプーンが止まる。でも僕、お2人の絵にすごく憧れてるんですよ。「こんな風に描けたら楽しいだろうな」って。

真田　いや、僕はマンガを描く行程で作画が一番苦手なんですよ。自分の絵が嫌だなと思っちゃうとすぐ投げ出しちゃうんです。

矢上　えっ、マジですか。これだけ描けて何を言ってるの。逆に僕はビジュアルを作るのが楽しくて仕方がない方なんだろうと勝手に想像していたんですけど。

真田　かわいい女の子を描いているときはノリノリなんですけどね。背景とか細かいところで「みんなもっとうまいのに」と思っちゃう。矢上先生はどの程度までご自身で作画なさってるんですか。

矢上　最近は自分で背景までペン入れしてますね。前は3、4人くらいアシスタントさんがいたんですけど卒業してしまって。ただ全部自分でやるということにこだわりがあるわけでもないので、描いてくれる人がいればお願いしたいと思ってます。ちなみにTOBI先生の作画へのこだわりポイントは。

TOBI　僕はお2人と違ってアシスタントさんに背景を描いてもらっているので……。ただ自分でもキャラの表情が命のマンガだとは思っているので、背景を任せている分そちらに力を入れています。表情に関しては大分直しも入りますし、単行本の表紙もなるべく表情が分かるものにしようと思って、今のデザインになりました。あとWEBってことで毎回カラーを描かせていただけるのは非常にありがたいです。

真田　カラーを描けるのはうれしいですよね。僕はマンガ家になってからほとんどWEBでしか描いていないので、扉をカラーにするのが習慣化しちゃってます。担当さんに確認取らず勝手に（笑）。