コミックナタリー PowerPush - 矢上裕「エルフを狩るモノたち2」
矢上裕がとっておきのレシピを伝授!若手作家に囲まれ大いに語る
作者も先の展開を知らない
矢上 WEBっていうことで言えば、内容に合わせてページ数をある程度自由にできるっていうのは作家としては非常にありがたいですよね。大体どのエピソードにも自分の中で理想のページ数があって、雑誌だとページ数に過不足なく収めるために、理想の形とは違うものになっちゃうことがあるから。
真田 それはありますね。僕もすぐ終わらせるつもりだったエピソードが伸びちゃったりするので。もともと「危ノーマル系女子」は2巻くらいで終わりたいですねと言っていたのに、もう2冊出てますし(笑)。
TOBI 真田先生は1巻ごとに、事前に構成をきっちり決めてらっしゃるイメージだったので意外です。
真田 予定していたのより延びてしまった部分はありますけど、話作りが好きなので、あとで帳尻を合わせられるかなとは思っています。僕あんまり話を作る段階で詰まることがないんですよ。
矢上 うらやましい。僕なんてネタ出しに困らなかったことがないくらいですよ。いつも適当なことを描いちゃう。で、帳尻合わせにすごい苦労してます。
TOBI 僕もです。「お前ら全員めんどくさい!」の1巻は新キャラが出てきて主人公にキスして終わるんですけど、そのあとどうなるかまったく考えていない。未来の自分に期待してぶん投げています。
矢上 よかった。独りじゃない(笑)。僕も3巻の最後に新キャラ出してますけど、その時点ではこいつが何なのか知りませんでしたもん。「こういう感じで終わったほうが続き気になるんじゃね」程度に思って描いたので。
真田 今やってらっしゃるのはちょっとシリアスな要素もあるエピソードですよね。ギャグ要素のないマンガを描こうと思われたりはしないんですか。
矢上 うーん……。考えたことがないわけじゃないんですよ。ただ僕は自分のことを人間として底が浅いと思っていて。真面目な話を描いても、モノにならないだろうなという嫌な予感しかしない。だから自分の描けるもの、楽しいと思えるものをやるようにしてます。4巻では長めの話を描いてますが、それが一段落ついたらまた細かい話をやりたいですね。ちなみに4巻も続きが気になるような締め方になっていますが、3巻のときに比べたらしっかり考えて描いているので期待していてください(笑)。
「呪文のかけら」を集めるため旅を続ける淳平たち一行の前に度々現れ邪魔をする、額に印を浮かばせた謎の「エルフを狩るモノたち」。
その魔の手が迫り、セルシアは淳平たちの敵となってしまう。
シリーズ累計200万部を超える異世界招喚ファンタジー第4巻。
矢上裕(ヤガミユウ)
1969年7月11日生まれ。兵庫県出身。1994年より代表作「エルフを狩るモノたち」の連載をスタートさせ、アニメ化を果たす。無類のカレー好きとして知られる。そのほかの著作に「環境保護隊モッタイ9」「アゲハを追うモノたち」など。
真田ジューイチ(サナダジューイチ)
12月19日生まれ。現在COMICメテオにて「危ノーマル系女子」を連載中。カトウハルアキ名義で発表した「ヒャッコ」ではTVアニメ化、ゲーム化も果たしている。
TOBI(トビ)
3月27日生まれ。2007年にWEBマンガサイト・FlexComixブラッドにて初連載となる「眼鏡なカノジョ」をスタートさせる。同作は完結後3年の時を経て、2010年にOVA化された。現在COMICメテオにて「お前ら全員めんどくさい!」を連載中。