アニメ「どうにかなる日々」 PR

「どうにかなる日々」|志村貴子作品はここから始まった。女の子同士を描くこと、オムニバスの楽しさに気付き、「青い花」「娘の家出」「放浪息子」「淡島百景」へ

志村貴子原作によるアニメ「どうにかなる日々」が5月8日から、全国の劇場で期間限定上映される。原作は、さまざまな悩みや事情を抱えた人間たちの関係性とその恋愛模様を、ありふれた日常として綴ったオムニバス集だ。

アニメ化を記念し、コミックナタリーでは志村の約1万字におよぶインタビューを掲載。2002年から2004年にかけて連載された「どうにかなる日々」が、約20年の月日を経てアニメ化を果たしたことへの率直な気持ちや本作に込めた思い、さらには作品の制作秘話やマンガとの向き合い方にも迫った。

取材・文 / 増田桃子

アニメ「どうにかなる日々」エピソード

「どうにかなる日々」はさまざまな恋愛模様を繊細に描いたオムニバス。5月8日から公開される劇場アニメでは本作の中から、「えっちゃんとあやさん」「澤先生と矢ヶ崎くん」「しんちゃんと小夜子」「みかちゃんとしんちゃん」の4つのエピソードが映像化される。

「えっちゃんとあやさん」

高校時代の彼女・百合が、男性と結婚したことを知った“えっちゃん”は、彼女の結婚式で百合の短大時代の彼女“あやさん”と出会う。傷心の2人は互いに惹かれ合い……。

「澤先生と矢ヶ崎くん」

男子校の教師・澤は、突然生徒の矢ヶ崎に告白される。澤は驚きと期待に胸を膨らませるが、卒業式は普通に過ぎていき……。

「しんちゃんと小夜子」

親に勘当された従姉の小夜子と同居することになったしんちゃん。幼なじみのみかちゃんとしんちゃんは、小夜子が出たAVを興味本位で見てしまい……。

「みかちゃんとしんちゃん」

中学2年生になったみかちゃんとしんちゃん。しんちゃんの従姉・小夜子が出演した1本のAVに、いまだ囚われる2人は……。

志村貴子インタビュー

「今?」っていう驚きと、古い作品を見つけてもらえるうれしさ

──「どうにかなる日々」は2002年から2004年にかけてマンガ・エロティクス・エフ(太田出版)で連載されていたので、実に20年近く前の作品です。このタイミングでアニメ化されると聞いてどう思われましたか?

「どうにかなる日々」1巻

「今?」っていう驚きもありましたが、お話をいただけたこと自体が、本当にありがたいなと思いました。まさかこんな古い作品を見つけてもらえるとは、といううれしさもあって。ただ率直な感想としては「申し訳ない」っていう気持ちですかね(笑)。すみませんっていう感じです。たびたびそういうお話をいただけて、すごくありがたい反面、申し訳なさがあって。

──申し訳なさというのは?

私のマンガは映像化してもあまり売れないのではないかと思っていて……(苦笑)。

──いやいや、売れると思って企画されてると思いますよ(笑)。

そうですよね。「お陰様でうるおいました」って言っていただけるようになるといいなと願ってます(笑)。

──映像化のお話があったのはいつ頃ですか?

1年半ぐらい前ですね。最初から劇場公開というのも決まっていて。

──では予定通りというか、かなり順調に。

すごく順調でした。あまりにサクサクお話が進んでいくので、びっくりしました。なんとなく、いつ立ち消えになってもおかしくないだろうなと思っていたので。

──「どうにかなる日々」は性描写がしっかりと描かれているので、アニメになると聞いたときは今の御時世に大丈夫なのかなと、頭をよぎったのですが……。

ですよね(笑)。そこが売りの作品ではないのですが、アニメでどんな感じになるのかは私も気になっています。

自分では考えていないところまで、細かく掘り下げて解釈してくれる

──今回、アニメでは「えっちゃんとあやさん」「澤先生と矢ヶ崎くん」「しんちゃんと小夜子」「みかちゃんとしんちゃん」の4つのエピソードが描かれますが、その4本になった理由を教えて下さい。

これはもう、決めていただいたというか、「これでどうですか?」と打診していただいて。もちろん私の意向も聞いてくださって「志村さんが入れたいエピソードがあればおっしゃってください」と言われていたんですが、提案されたのが自分でも気に入ってるエピソードだったので、私がここに何かをねじ込む必要はないと思って。「それでお願いします」と。

──今回、キャストさんの選考やシナリオのチェックなどはどういう形で関わられているんですか?

以前アニメ化された作品のときは、声優さんのオーディションから立ち会わせてもらったりもしていたんですが、今回は本当におまかせというか。もちろん確認のためにシナリオやキャスト案など送ってもらっていますが「異論はないです」という感じで。本当に信頼していますし、むしろ私より制作スタッフさんたちのこだわりがすごいんです。

──制作スタッフの方から言われたことで印象に残っていることはありますか?

この間、アフレコ現場に伺ったとき、佐藤(卓哉)監督に「このキャラはこうなんですよ」ってすごく丁寧に解説していただいて。私、そこまで考えて描いてないわと思って、感動しました(笑)。自分ではそれほど深く考えて描いてないような部分まで、とても細かく掘り下げて解釈してくださってるんですよ。今までの「青い花」や「放浪息子」のときもそうだったんですが、本当に丁寧に関わってくださる現場ばかりで、ありがたいです。

──「どうにかなる日々」は志村さんの作品の中でも、特に行間を読んでいかなきゃいけないというか。言葉になってないところにも意味があるなという印象が強いので、アニメにするのも難しそうだなと思いました。

私もまだ完成品を観たわけじゃないのでわからないですが、でも解釈がちょっとぐらい違っていてもそれはそれでいいんじゃないかなと思ってます。もちろん違和感を覚えるような解釈だったら「いやいや、そんなつもりは!」ってなると思うんですけど、シナリオを読む限りそういうことはまったくないので、安心しています。アニメを観たときに「あ、こういうふうになったんだ」っていう新鮮な気持ちというか、驚きがあったりするのも、それはそれでメディア化の楽しみのひとつというか。もし思っていたのと違ったとしても、楽しめるだろうなって気がしてますね。