コミックナタリー PowerPush - デザート

竹達彩奈も応援! 少女マンガ好き女子ライターがプロ目線でココに注目

「好きっていいなよ。」はティーンの悩みに寄り添った作品

川原 あとデザートっぽいと言えば、葉月かなえ先生はTL出身というのもあってちょっとエッチな描写もあったり。さすが、色っぽい男の子を描くものお上手ですし。

葉月かなえ「好きっていいなよ。」10巻

福田 もう男の子が童貞じゃないところから始まりますからね。あと女友達も、そこそこ数をこなしているという設定だったり。悪いですよっていう描き方でもなく、普通に経験してるんですよね。

川原 「好きっていいなよ。」を読み返してたら、すごくティーンの悩みに寄り添ったマンガだと改めて気付きました。身体の悩みなんかも描かれていたり。胸が大きいとか、急激なダイエットで肌にトラブルがとか、そういう悩みってその年頃の女の子には切実ですよね。いじめも描かれていたり、きれいごとだけじゃなくて、娯楽として読みながらも、しんどい状況にいる子も心を寄せられるような作品ですよね。

──デザートの中でも、地に足が着いているというか、リアルに生きてる人が描いてる感じがします。

男の子の主人公は感情移入しやすい

川原 でも「好きっていいなよ。」みたいにハイティーン向けの恋愛ものが充実した、リア充な雑誌と思っていたら、意外にオタクにフレンドリーな作品もあったり(笑)。「3D彼女」なんてまさにそうだと思います。

那波マオ「3D彼女」1巻

トミヤマ 「3D彼女」面白いですよね。主人公のオタク男子がどう見てもリア充だろ!っていう女子に振り回されるところからはじまるストーリーで。私、もう30過ぎてるんで、若くてかわいい女の子に感情移入するのが、キツくなってきてるんですよ(笑)。だけど男の子って異性であるがゆえに、なんというか永遠に何考えてるかわからない存在なんで、勝手に感情移入できちゃうんです。「3D彼女」のように、主人公の男の子が恋愛を巡って右往左往している話は特に入っていきやすい。他誌の作品で言えば「失恋ショコラティエ」とかなんですけど。

福田 ああ、「のだめカンタービレ」にしても、千秋様がずっと悩んでるから男子読者も入りやすいんですよね。逆にのだめは天才だから感情移入しにくい。

川原 確かに。「3D彼女」はアオリもいいですよね。「少女マンガ界最弱男子の純愛ラブストーリー」。

トミヤマ 最弱(笑)。でも確かにめっちゃ弱いんですよ。何もできない。愛してあげるしかないって思っちゃう。

──母性本能をくすぐるんですか。

トミヤマ そうかもしれないです。少女マンガが成熟した結果、カッコよくてスポーツもできて人気者でっていう王子様像にときめく時代は終わりつつあるんですよね。逆に、何もできない、でも究極的に受け身がうまい男の子、というのが新しい王子様像なんじゃないでしょうか。

福田 あれだね、タキシード仮面だね。

トミヤマ まさに! 女子が頑張ってるところにサポート役として現れるというね。「3D彼女」の主人公はたしかに最弱だけど、女の子たちが強くなってきているから、ぐいぐい引っ張る亭主関白系より、受け身が取れる男がいいよねってなる気持ちは理解できます。「イクメン!」も女子のサポートに徹してて、受け身が取れる男のよさが描かれている。気の強い私のような女は、すごく癒されます(笑)。「男の沽券なんてどこ吹く風って感じ!ステキ!」みたいな。

少女マンガは理想の王子様像を更新し続ける

福田 ただやっぱり、マンガは娯楽だからイケメンというビジュアルはどうしても外せないわけで、画力の進化は不可欠。少女マンガでは素敵に見えない絵はありえないっていう暗黙の了解があって。例えば「私ってなんてブスなんだろう」って主人公が言っても、絵は十分かわいいっていう(笑)。その点、那波マオ先生は話に合った画力を獲得してるよね。黒髪もっさりでメガネ男子でも“王子様”なのは、この絵ありきじゃないですか。

「3D彼女」の主人公・筒井光。(c)那波マオ/講談社

トミヤマ そういう「お約束」をクリアしてるから楽しく読めるんですよね。「3D彼女」の男の子は、サブカル女が好みそうなビジュアルに思えてならない(笑)。文系バンドマンぽいっていうか、ヘッドホンが似合う感じっていうか……大好物です(笑)。

──確かに少女マンガの王子様像は多様化してきてますよね。

福田 昔々の少女マンガは圧倒的に外国人が“王子様”だったわけですよ。それが徐々に日本人の学校の先生、先輩とか絶対自分より年上か同級までが“王子様”になった。で、「つらいぜ!ボクちゃん」(高橋亮子)で下級生が“王子様”設定され、「下級生ありなんだ!」って意識改革される。壮年が“王子様”なのも、オノ・ナツメ先生や西炯子先生からだし。

川原和子

川原 この30年くらい、女子はどんどん王子様像を拡張し続けていったんだと思うんです。年上もいいし、年下もいいし、自分より背が低くてもいいし。その点、赤坂真理さんが「モテたい理由」という新書で指摘されていたんですけど、男子はもうずっと前から「タッチ」の南ちゃんと「めぞん一刻」の管理人さん。その2パターンがずっと大人気(笑)。

一同 あはは(笑)。

トミヤマ 女の子は移り気だけど、男の子の好みって割と変わらないですよね。50巻も60巻も、ずっと世界の平和のために戦い続けたりしてる少年マンガもあるし。その単調さが愛くるしくもあるんですが。

「デザート 2014年2月号」 / 2013年12月24日 / 500円 / 講談社
「デザート 2014年2月号」
2月号ラインナップ
巻頭カラー・新連載
築島治「私たちには壁がある。」
新連載
桐島りら「世界の端っことあんずジャム」
連載
那波マオ「3D彼女」、タアモ「たいようのいえ」、金田一蓮十郎「ライアー×ライアー」、森野萌「マイ・フェア・ネイバー」、丘上あい「バンビとドール」、PEACH-PIT「金魚坂上ル」、曙はる「ももいろ人魚」、瀬戸口みづき「霊界通信プロトコル」
読み切り
ももち麗子「学校サボって電車に乗って」、薫原好江「男の子には秘密がある」、あんじちこ「花に夢を、星に願いを。」、芳川といろ「君だけのお姫さま」
月刊少年マガジン×デザート×pixiv「青春ラブコメフェス」受賞作
泡「観察的恋愛の展開」、鬨野美弦「You were My angel」
付録
「となりの怪物くん」お風呂ポスター
応募者全員プレゼント
「となりの怪物くん」全巻収納BOX
「THE デザート 2014年1月号」 / 2013年12月10日 / 700円 / 講談社
「THE デザート 2014年1月号」
1月号ラインナップ
特集
「ピュア男子 vs. ブラック男子」
三月薫「恋命と赤い糸」、さつきしろろ「ヤンキーちゃんは星を見る」、薫原好江「男の子には秘密がある -Persona-」、神葉理世「カスタマイズ彼女さん」、岩下慶子「花を召しませ」、森脇葵「イクメン!」、瀬戸口みづき「霊界通信プロトコル」、桜井真優「Banker&Honey」、藤もも「発情ドロップ」、ふかさわ映「12月の魔法がとけても」、はるらん「マイ・ファー・レディ」、玉島のん「シタインデスケド。」、入江ナツ「絶対独裁モンスター」、チイ「ボクの小雪」、桜沢きゆ「センパイのお稽古」、町村ニルス「いとしのクロエ」、九瀬しき「流れる星を見つけるように」、藤田阿登「青春小春カレンダー」、千秋りえ「放課後のまたたき」