水瀬いのり(ヘスティア役)インタビュー

3期では「たくましいヘスティア」や「カッコいいヘスティア」が見れる

──「ダンまち」の第3期の放送がスタートしますが、今の率直なお気持ちを教えてください。

水瀬いのり

1年前に2期の放送が終了した直後に3期の制作も発表になったのですが、それは、私たちキャストも「また1年後に『ダンまち』のアニメに関われる」ことが約束された瞬間でもありました。それからの1年もアプリの「ダンメモ」(「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ」)や、ほかのアプリでのコラボの収録などがあり、常にヘスティアがそばにいてくれる感覚ではあったのですが、やはり、第3期の始まりはすごく楽しみにしていました。「人の言葉を話すモンスター」が登場する今回は、モンスターが「悪」なのはなぜなのかといった本当に深いところに切り込んでいく内容で。より一層メッセージ性が強いというか、受け取ってくれる皆さんもいろいろと考えさせられるお話になるんじゃないかなと思っています。

──ヘスティアは、いつもベルを応援し支えている存在ですが、今回はどう応援するのかも難しい展開になりそうですね。

そうですね。ベルがウィーネという人の言葉を話すモンスターの女の子に出会って、「助けたいんだ」と決意をする。今までのヘスティアであれば、すぐに背中を押したり、一緒に背負っていこうと言えたりしたんですけど、今回はその対象がモンスターであることで、ファミリア内でもいろいろな意見や立場が出てきたりもするんです。そういった意味では、神であるヘスティアがどういう決断を下しながら物語に関わっていくのかは、けっこう注目なのかなと思いますし、これまでのシリーズでも時折見せてきた、「たくましいヘスティア」や「カッコいいヘスティア」が、この3期ではけっこう出てくるんです。ベルくんたちよりも長く生きて、この世界のことをより知っている神様ゆえの立ち回りというか、冷静な部分は演じていても新鮮でしたし、手応えもありました。私自身、より一層、ヘスティアの魅力にも気付かされた感じです。

──やきもち焼きのかわいい女の子じゃなくて、神様なんだぞ、と(笑)。

ヘスティア

はい。急に「そうだ、女神なんだよな」と思う瞬間でもありましたね(笑)。

──第2期の最後のエピソードでは、お互いを思い合う「神」と「人間」の関係が描かれました。あの出来事を経験したことで、ヘスティアのベルへの思いは変化したと思いますか? それとも、長い時を生きる神様なので、ベルへの思いは以前から普遍的なのでしょうか?

ヘスティアとベルの関係は、神様と子どもではあるんですけど、それだけではない絆を結べた瞬間でもあったのかなって。同じ時間を過ごしていても、どうしても訪れてしまう神様と人の別れをヘスティアは理解していて。だからこそ、いつか来るお別れを悲しむのではなくて、一緒にいられる今日を噛みしめようという気持ちだと思うんです。その思いがより一層強くなり、2人の中でお互いの存在がより大きくなって迎えた第3期になっていると思います。第3期では、モノローグなどで、言葉にしなくてもお互いにわかり合えているような描写もけっこうあって。主にヘスティアは、ベルくんの気持ちを察したり、ほかの相手に対して「この子はこういう子だから」と力強く言えたりしていて。それは、ずっとそばにいたからこそできることだと思うので、改めてヘスティアの愛の強さを感じました。

ヘスティアにとって、唯一「ムキー!」ってなれない女の子

──第3期では、原作小説の第9巻からの物語が描かれるそうですが、その物語の感想をネタバレにならない程度に教えてください。

ウィーネ

とにかく、ウィーネというキャラクターの物語であり、ベルくんにとっては、今までの出会いがまたここに来て形を変えて結びつくみたいなこともあるお話になっています。「今までのことは、ずっとつながっていたんだな」と感じられる物語でもあるので、第1期から観てくださっている方は、これまでのお話をまた見返したくなるようなシリーズだと思います。あとは、ウィーネというキャラクターが「人の言葉を話すモンスター」だということで、今までにない展開が予想できるというか。その説明を聞くだけで、「どういうこと?」ってなりますよね(笑)。ウィーネだけでなく、「当たり前のようにしゃべるモンスターたちがいる」のがこの3期なので、そこはかなり注目のポイントだと思います。すでに原作を読んで、アニメも楽しみにしてくださっている方たちにとっても、「映像ならではの感動」はあると思うんです。私自身も、「アニメでは、どういうふうに動くのかな」とか、「どんな色彩なのかな」とか、すごく楽しみにしていました。

──ヘスティアにとって、ウィーネはどのような存在だと捉えていますか?

今までいろいろな女の子にぷりぷりとジェラシーしてきたヘスティアにとっては、たぶん、唯一の「ムキー!」ってなれない子だなと思っていて(笑)。彼女自身が抱えているものや、ベルくんがこの子にかける思いを知っているからこそ、「仕方ないなあ」って感じになる。それこそ、劇場版のアルテミスとも少し似ているのかなと思います。それに、「ベルくんが助けたい」=「ヘスティアも助けたい」というふうに、常に同じ方向を向いてきた2人なので、ヘスティア自身も、お姉ちゃんというか、お母さん気分で「お世話してあげたいなあ」って思ってる感じなんですよね。実は、そういう気持ちになる対象って、今まではいなかった。例えば、リリも見た目は愛らしくて、かわいいんですけれど、中身的には、ヘスティアと戦えるぐらいの精神の強さをしているので(笑)。

──どちらかと言えば、ベルを巡るライバルくらいの関係ですよね(笑)。

それに、ウィーネは、純真でウソがないというか、常に1つの答えを持ちながら行動する子なので。そういう迷いない部分をベルくんにちょっと重ねたりもするのかな、とか。一生懸命になってるがゆえの危なっかしさみたいなところは、出会った頃の「ウサギ感あるベルくん」にちょっと似ているのかも。だから、ホームに子どもが1人増えたような気持ちで、ヘスティアも接しているのかなって。あと、実は3期は女の子同士のバトルがあまりないんです(笑)。ちょっと殺伐としても、ウィーネが見ていると「やめようか」みたいな空気になるようで、ウィーネがいると女子の治安がいいんです(笑)。

──最後に、第3期の放送開始を楽しみにしているファンの皆さんへ、メッセージをお願いします。

「ダンまち」のアニメは、これまで第1期、第2期や、OVA、劇場版と、いろいろな形で皆さまのもとにヘスティアとベルくんたちの活躍をお届けしてきたのですが。第3期では、まだまだ過酷な試練や、越えていかなくちゃいけない壁がたくさんあって、毎回毎回、本当に手に汗握る展開になっています。今回は「モンスターと人間」というテーマがより深く描かれていて。今までは、「モンスターを倒して強くなる」ことを当たり前にしてきたのですが、このシリーズでは「モンスターは倒していい存在なのか?」というところに深く関わっていきます。今まで出会ってきたたくさんのモンスターたちにも、それぞれの生き様というか……「生きてきた道があるんだ」ということを噛みしめながら観ていただけたらうれしいなと思います。ぜひぜひ、これから1クール、よろしくお願いします!

水瀬いのり(ミナセイノリ)
12月2日生まれ。東京都出身。アクセルワン所属。声優・歌手として活躍し、主な出演作に「Re:ゼロから始める異世界生活」(レム役)、「ご注文はうさぎですか?」(チノ役)、「五等分の花嫁」(中野五月役)、「彼方のアストラ」(アリエス・スプリング役)、「魔王城でおやすみ」(スヤリス姫役)など。