「華麗に離縁してみせますわ!」
あばたも/白乃いちじく
アルファポリス
-
悪知恵の働く父の命令で、借金まみれのバークレア伯爵家に嫁いだ令嬢・ローザ。この結婚のために恋人と無理に別れさせられた夫・エイドリアンからは、結婚初夜に「お前ほど醜い女はいない」と言い放たれるほど嫌われていた。政略結婚ゆえに彼への恋心は一切ないローザは、一刻も早くお金を貯めて離縁を目指すが、一方で掃除に炊事、子供の世話まで完璧にこなす彼女の姿にエイドリアンは次第に惹かれていって……。
©白乃いちじく・あばたも/アルファポリス
担当編集者・滝澤氏(レジーナ編集部)コメント
Q. 受賞した感想をお聞かせください。
今回、立ち上げ担当作品で初めての受賞なのでとてもうれしいです。
また、マンガ家のあばたも先生にとっても原作の白乃先生にとっても「華麗に離縁してみせますわ!」は初めての商業作品だったので、感動もひとしおでした。
Q. 「華麗に離縁してみせますわ!」の推しポイントはどんなところでしょうか。
たくさんあるのですが、あえて絞るとすると「好感度0同士のローザとエイドリアンが、惹かれていく過程」ですかね。王道ですが。
物語はエイドリアンの「お前ほど醜い女はいないな ローザ」から始まり、ローザもエイドリアンのことを「顔だけ男!」と言ってます(笑)。
そこから、エイドリアンがだんだんとローザの本当の姿に触れて、惹かれていき、第3巻ではローザが好きだけど、ローザがほかの男性と一緒になりたいというなら身を引く、という考えを持つようになります。
一方、ローザはエイドリンに対し恋愛感情はまだ抱いていないけれども、「かわいいな」と思っているふしはあり、エイドリアンの“伯爵家復興”に力を貸すと宣言したり、確実に心の距離が縮まってきている状況です。
ほかにも、4巻収録になる第20話~21話ではドルシア子爵のしごきに食らいつくエイドリアン……という嫁舅(ローザ父)による旦那(エイドリアン)育成パートもあり、こちらも面白いです! また、エイドリアンとドルシア子爵が関わることで、ローザとドルシア子爵の親子関係もいい方向に進展していきます。
Q. 制作時の裏話や先生との印象的な思い出を教えてください。
先生との印象的なエピソード……そうですね。お金と数字の話が大好き、ということでしょうか(笑)。単行本の紙・電子の初動の話や、重版の話、印税の話などがよく出てきます。
制作する過程の裏話でいうと、あばたも先生の提案で、ローザとエイドリアンの性格を原作小説から少々アレンジしています。マンガとしての「華麗に離縁してみせますわ!」は原作のローザよりも、より“強い女性”という印象を強調していて、エイドリアンは原作よりも“ワンコ系男子”に寄せていますね。特にエイドリアンは、第1話でローザにキツイ発言をすることもあり、読者の方からの好感度は低い状態でのスタートになりますし、どうしたらローザ率いる主人公チームの一員として認めてもらえるか……という視点を持って描写していただいてます。
Q. ぜひ読んでほしいというエピソードや話数、シーンはどこでしょうか?
ひとつは、ローザが、処刑されたオーギュスト殿下の愛妻・ブリュンヒルデに似ている、と指摘されるシーンですね。ローザについての謎が出てきて、物語に一層深みが出た場面だと思います。あばたも先生のローザとブリュンヒルデの表情の描き分けにも注目していただきたいです。
もうひとつは、ローザの父であるドルシア子爵の真の目的が明かされるシーンです。
恋愛要素だけじゃない本作の魅力が詰まった場面だと思ってます。
最後に、3巻の単行本に収録されている番外編でしょうか。ローザのお父さん・ドルシア子爵とエイドリアンの父・ボドワンの過去が明かされます。どうしてドルシア子爵がローザの結婚相手にエイドリアンを選んだのか……こちらを読んでいただけると分かります! ローザとエイドリアンの関係性がよりエモく感じられる番外編なので、ぜひ読んでいただきたいです。
今後もさらに面白い展開が待っていますので、ぜひ「華麗に離縁してみせますわ!」を楽しんでいただけますと幸いです!
「傷モノの花嫁」
藤丸豆ノ介/友麻碧
講談社
-
白蓮寺家の分家に生まれ強い霊力を持つ菜々緒は、幼い頃にあやかしに攫われ体に妖印を刻まれたことから、一族の人間たちに「傷モノ」と虐げられてきた。白蓮寺家の若様との婚約も従姉の暁美に奪われ、妖印を隠すため猿面をつけた惨めな生活を送っていた菜々緒。そんなある日、菜々緒は嫁探しに来たという紅椿家の若き当主・夜行と出会う。夜行は菜々緒の美しさと霊力の高さに興味を持ち……。
©友麻碧・藤丸豆ノ介/講談社
担当編集者・A氏(シリウス編集部)コメント
Q. 受賞した感想をお聞かせください。
「傷モノの花嫁」異世界部門の受賞、誠にありがとうございます。
電子コミック大賞の候補に選んでいただいただけでも大変光栄なことだと、先生方と一緒に喜んでおりましたので、今回このように大賞に選んでいただき本当にうれしく思います。
先生方に受賞をお伝えした際も「こんなにたくさんの方が投票してくださったんですね……!」と、とても喜んでおられました。
投票してくださった読者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!
Q. 「傷モノの花嫁」の推しポイントはどんなところでしょうか。
個人的に「虐げられている少女のシンデレラストーリー」というジャンルが大好きなのですが、本作はそういった「シンデレラストーリー」で読みたい要素が120%入っている作品だなと思っています。さらに、そういったジャンルの要素は押さえつつも、独自の世界観から生み出されるオリジナリティも楽しめるという点が推しポイントです。
例えば、主人公の菜々緒は幼い頃の出来事をきっかけに一族の人間から虐げられる生活を送っているのですが、「傷モノ」と呼ばれ、「猿面を付ける」ということを強いられています。
また本作のヒーローである夜行も、「皇都の英雄」と称えられながらも、生まれつき「椿鬼」という吸血体質を持っています。
こうした作品独自の要素がふんだんに詰まっており、王道のシンデレラストーリーを楽しみながらも、本作独自のストーリーを楽しんでいただけるかと思います!
そして推しポイントの2つ目は、本作に登場する魅力的なキャラクターたちです。
虐げられながらも優しさを忘れず、美しい心根を持った少女・菜々緒。そんな菜々緒を見初め救い出すも、自身も「呪い」という名の傷を抱える夜行。オリジナリティあふれる世界観を背負った、魅力的な主人公2人はもちろん、敵役にも注目していただきたいです。
菜々緒の婚約者でありながら、あやかしに攫われ妖印を刻まれた菜々緒を捨てた元許嫁の麗人。
菜々緒を虐げる彼らの行動は正直腹立たしいことこの上ないですが、激しい感情をあらわにするそのキャラクター性は必見だなと個人的には思っています!
また、本作は現在第3章に入っており、さらにさらに魅力的なキャラクターたちが増えてきておりますので、今後もぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
Q. 制作時の裏話や先生との印象的な思い出を教えてください。
本作は友麻碧先生が原作を、藤丸豆ノ介先生がマンガを担当されているのですが、おふたりがタッグを組むまでのエピソードが個人的にとても感動的だったなと思っています。
本企画は、友麻先生にマンガ原作の依頼をさせていただいたところから始まったのですが、「傷モノの花嫁」として形がある程度固まった段階で、友麻先生とどなたにマンガをご依頼しようか、という話になりまして。その際、友麻先生から真っ先に藤丸先生のお名前が上がりました。というのも、藤丸先生は友麻先生の小説を一度コミカライズされているのですが、友麻先生の中で、「ぜひもう一度組みたい……!」というのがあったそうです。そこで藤丸先生にご依頼をさせていただくことになったのですが、当時藤丸先生は他社様で2作品を連載中でして……本作で3本目になってしまう状況だったんですね。ですので、さすがに難しいのでは……と思っての依頼だったのですが、なんとOKしてくださったんです。「一度コミカライズさせていただいた作家さんにもう一度と言っていただけるのは本当に光栄なことなので、厳しいかもしれませんがなんとかスケジュール作ります」とおっしゃっていただいたときは、おふたりの強い絆を感じて感動しました……!
Q. ぜひ読んでほしいというエピソードや話数、シーンはどこでしょうか?
見てほしいシーンはいくつもあるので絞るのが難しいのですが、第1章からいくつか紹介させていただければと思います。
まずはやはり1巻1話ラスト。夜行が菜々緒を見初め、彼女を虐げていた白蓮寺家の面々から救い出すところです。
今まで菜々緒を虐めていた敵役へのスカッともありつつ、夜行の「今日からお前は我が妻だ」というセリフに胸キュン間違いなしです。
そして次に2巻収録の8話。菜々緒の持つ簪をきっかけに、2人の間にすれ違いが起きてしまった際、菜々緒が簪を持っていた理由を語るシーンです。
菜々緒のトラウマや抱える思いを聞いた夜行は彼女を受け止め、2人はここで初めてキス。お互いを思い合う2人の姿に、何度読んでも涙ぐんでしまうシーンです。
そして3巻収録の12話。生家・白蓮寺家との騒動を終え、菜々緒は人生で初めて海に行くことになります。「幸せだ」と言う菜々緒に、夜行は「これくらいで満足してもらっては困る」と告げるシーンです。
「傷モノの花嫁」には数々の名言があると思っているのですが、ここでの夜行のセリフはその中でもベスト3に入る素敵なセリフだと思っています。実際に読者の方からも「こんなこと言われたい……!」というようにおっしゃっていただきました!
また、先ほどもお伝えした通り、本作は現在第3章に突入し、物語は菜々緒の「傷」の謎に迫りつつあります。今後も夜行と菜々緒のストーリーはもちろん、その他ぜひ様々な要素を楽しんでいただけたらうれしいです!