「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」北条司(原作者)×神谷明(冴羽獠役)インタビュー|オリジナルキャストが奇跡の再集結!“図々しいぐらい変わっていない”20年ぶりの新作アニメ

アニメだからこそ作れる「シティーハンター」

──先日公開された予告編では「キャッツ♥アイ」の3姉妹が登場することも明らかになりました(参照:「劇場版シティーハンター」に怪盗キャッツアイの3姉妹登場!戸田恵子らも出演)。あれも北条先生のアイデアなんですか?

アニメ「キャッツ♥アイ」から登場する怪盗キャッツアイ。左から瞳、愛、泪の3姉妹。瞳と泪の声は戸田恵子が、愛の声は坂本千夏が演じる。瞳役の戸田、愛役の坂本は1980年代にオンエアされたアニメ「キャッツ♥アイ」から続投する形だ。

北条 あれ? 俺じゃないよね?

スタッフ 制作サイドから「キャッツ♥アイ」の3姉妹を出したいという打診をしたら、「それならこういう形で出したらいいんじゃないか」というアイデアをいただきました。

北条 そうそう。「シティーハンター」では海坊主と美樹が「喫茶キャッツアイ」という店をやっているでしょ? そこと絡んだ設定なんです。

海坊主と美樹の店、喫茶キャッツアイ。

──「キャッツ♥アイ」の3姉妹の店も「喫茶キャッツアイ」ということで、ファンの間では「この2つは関係があるのかも」と話題になっていましたが、映画では「海坊主が働いているお店のオーナーが3姉妹」ということになるそうですね。

神谷 違和感ないですよね。ずっとあった疑問が氷解した感じです。

──「最後の作品」ではないですが、かなりオールスター感のある作品になっていますよね。少し観させていただきましたが、原作の懐かしいキャラクターもチラホラいて感激しました。

北条 それぞれちゃんと必要なところで出てきてますよね。懐かしいキャラクターが出てきてくれてうれしかったです。

──「シティーハンター」の冴羽獠が新たに描かれるのは本当に久しぶりですが、今回改めて再会してみていかがですか?

「エンジェル・ハート 1stシーズン」1巻。「シティーハンター」のキャラクターや設定を使って新たな物語を紡いだリメイク作だ。

北条 僕自身は「シティーハンター」のあとに「エンジェル・ハート」も描いているから、ずっと獠は描いてるわけですけども、やっぱり歳とともに獠のキャラって変わるんですよね。考え方にしろなんにしろ。だから、「エンジェル・ハート」の獠と「シティーハンター」の獠は、まったく別人とはいわないまでも、ちょっとキャラクターが違う。だから、久々に「シティーハンター」の獠に接すると「あー、こうだったよねー……」という感慨がありますね。「僕にはもうこの頃の獠は描けないんじゃないかな」という感覚に襲われました。

──それは先生自身の考え方の変化があったから?

北条 それもありますし、ギャグって飽きるじゃないですか。見る分にはまだ笑えるんです。でも、自分でもう1回ギャグを描こうとすると、どうしても「これ面白いかな」って思っちゃうの(笑)。「同じことばっかりやってるな」って。だから、今でもよく「『シティーハンター』描いてくれ」って言われるんですけど、描けるぐらいならアニメにしようって言わないですよ(笑)。僕が今「シティーハンター」を無理やり描いたら袋叩きにあいますよ、「こんなの獠じゃない」って(笑)。当時の獠はもう僕には描けない。アニメだからこそ当時の「シティーハンター」が再現できると僕は思っています。

何回観ても発見がある

──演じる神谷さんはいかがでしたか?

神谷 最初は緊張みたいなものがあったんですけど、現場で一声発して作品が動きだしたら、もうあとは楽しくやらせてもらいましたね。やっぱりレギュラーの皆さんと、いわゆるセミレギュラーでずっと番組を支えてくれた皆さんが一緒で安心感がありました。アフレコ自体もじっくりやろうと思って時間を取っていたんですが、結局2日間で終わって、最後のほうはたたみ込むような勢いで進んでいって、「あれ? もう終わり?」って感じでした。自分の中でのスタミナをもう少し取っといたんですけど、それを残したまま終えられて、その体力を打ち上げで爆発させた感じでした(笑)。でも、打ち上げも本当によかったですね。若手の皆さんが20人ぐらい出られていたんですが、皆さん(TVシリーズを)観てた人ですからいろんな話で盛り上がって、「僕もファンです」「家内も大ファンで」って泣かれたり。それはうれしかったですね。

北条 泣いてたねえ。

「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」より。

神谷 僕自身もスタミナが残っていたから、沢山の方とお話しできて、実に楽しかったですね。充実した、本当に手応えを感じた仕事のあとの打ち上げっていうのかな。北条さんもずっと付き合ってくれて。

北条 ずっと付き合ってた、2日間。

神谷 やっぱり北条さんが喜んでくれる、楽しめるっていうのが第一なんです。原作の先生に楽しんでもらえたというのは僕らにとってみればむちゃくちゃ手柄だし、ご褒美ですから。それを感じられてうれしかったです。

──最後におふたりから今回の作品のここを観てほしい、というポイントを。

北条 今回は僕も楽しんで関われているので。往年のファンの皆さんは、是非この面白さをお子様連れ、お孫さん連れで観てください。1度と言わず2度も3度も観に来てくださると非常にうれしい(笑)。それである程度成功すればその先も何かあるかもしれないので、ファンの皆さま是非よろしくお願いします(笑)。

神谷 初めての方もコアなファンの方も含めてとても楽しめる作品にできあがっています。皆さんが期待する「シティーハンター」の世界がそこにありますので、一緒になって楽しんでもらえるといいと思いますね。場合によっては泣くんじゃないかなと思います。笑ったあとで。で、最後にスカッとしてくれるとうれしいですね。それと、今回の劇場版は音楽が素晴らしい。

──「シティーハンター」といえば「Get Wild」など、過去のアニメシリーズでも音楽が重要な要素のひとつになっていますよね。

神谷 皆さんが過去の作品で聴いてきた曲に加えて、今回の劇場版のために新たに作曲をしていただいた曲があります。その両方ともまったく違和感がありません。僕もまだこれからバランスを整える段階で作品を観せていただいたのですが、動きと音楽がシンクロしてるんですよ。これはすごかったです、ビックリしました。そしてとにかくカッコいい。各キャラクターのファンでも、作品のファンでも、音楽のファンでも、それぞれのみなさんに絶対満足をしていただける作品になっています。北条さんもおっしゃってましたが、できれば何回か観てほしいと思いますね。何回観ても笑えると思うし。

北条 何回も観て、最終的にはみんなで「Get Wild」を歌おうみたいな(笑)。

神谷 ちゃんと「Get Wild」の歌詞入りますからね。つい歌いたくなりますよ。

左から神谷明、北条司。

連載企画第2弾

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映画「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」
2019年2月8日(金)全国ロードショー
キャスト

冴羽獠:神谷明

槇村香:伊倉一恵

進藤亜衣:飯豊まりえ

御国真司:山寺宏一

野上冴子:一龍斎春水

海坊主:玄田哲章

美樹:小山茉美

ヴィンス・イングラード:大塚芳忠

コニータ:徳井義実(チュートリアル)

来生瞳・来生泪:戸田恵子

来生愛:坂本千夏

スタッフ

原作:北条司

総監督:こだま兼嗣

脚本:加藤陽一

チーフ演出:佐藤照雄、京極尚彦

キャラクターデザイン:高橋久美子・菱沼義仁

総作画監督:菱沼義仁

美術監督:加藤浩(ととにゃん)

色彩設計:久保木裕一

撮影監督:長田雄一郎

編集:今井大介(JAYFILM)

音楽:岩崎琢

音響監督:長崎行男

音響制作:AUDIO PLANNING U

アニメーション制作:サンライズ

配給:アニプレックス

北条司(ホウジョウツカサ)
1959年、福岡県生まれ。1980年、週刊少年ジャンプ(集英社)にて読み切り「おれは男だ!」でデビュー。代表作に3人組の女怪盗を描いた「キャッツ♥アイ」、新宿で生きるスイーパー・冴羽獠を主役にした「シティーハンター」など。2001年よりコミックバンチ(新潮社)にて「シティーハンター」の世界をベースにしたパラレルワールド作品「エンジェル・ハート」をスタートさせ、同作は2010年に月刊コミックゼノン(徳間書店)に移籍したのを機に「エンジェル・ハート 2ndシーズン」へと改題、2017年に同誌にて完結した。
神谷明(カミヤアキラ)
1946年9月18日生まれ、神奈川県出身。1970年にTVアニメ「魔法のマコちゃん」の千吉役でアニメ声優デビュー。1980年代には「キン肉マン」のキン肉マン、「北斗の拳」のケンシロウ、「シティーハンター」の冴羽獠など、週刊少年ジャンプ(集英社)作品に数多く出演。そのほかの代表作に「ゲッターロボ」の流竜馬、「宇宙戦艦ヤマト」の加藤三郎、「うる星やつら」の面堂終太郎や「めぞん一刻」の三鷹瞬など。ナレーションや洋画の吹き替えなども数多く担当する。

2019年2月7日更新