「歌」という言い方は気持ち悪い
安田 ちょっと気になってたんだけど、歌のことを「お歌」って言いますよね?
ReoNa そうですね(笑)。昔からずっとそうで……。
安田 その感性がすごいなと思って。それはだから、お地蔵さんのことを「地蔵」とは言えないような感覚ってことですよね?
ReoNa まさにそうです。なんか気持ち悪いですね、「歌」って言うのは。
安田 それだけ、歌というものに対する自然な敬意があるわけですよね。「人形」と言うか「お人形」と言うかは、そこだと思うから。
ReoNa 意識的なものではないので、改めて「なぜ“お歌”なのか」と問われると、うまく答えられないんですけど……(笑)。
安田 そうだと思いますよ。ずっと自然にそうしてきたんだろうから。やっぱりすごい感性の持ち主なんだろうなというのが、その言葉遣いひとつで伝わりますね。すみません、余談です(笑)。
人生にケリなんてつかない
ReoNa 私、最終巻というものがすっごく苦手なんですよ。「これで終わりです」を突きつけられるのが……。
安田 ああー、わかるなあ。
ReoNa アニメとかでもなかなか最終話が観られなかったり、マンガでも、最終巻を買ったはいいものの読む踏ん切りがつかなかったりすることがよくあるんです。でも「ちひろさん」の最終10巻に関しては、一応最後のページに「完結」とは書かれているものの、取り残された気持ちにはなっていないんですよね。
安田 それはとてもうれしい。そのつもりで描いてましたしね。
ReoNa 読む前は「ちひろさんに置いて行かれるような気持ちになっちゃうんじゃないか」と不安だったんですけど、お話としては別に何も終わっていなかったので(笑)。そういう意味では、怖がらずに最後まで読ませていただくことができました。
安田 実際、ちひろの人生は終わってないですからね。その場面、その期間を切り取って記録しただけ、という感じに描きたかったし……今言ってもらったとおり、「完結」と書いてはあるけど全然終わってないの。
ReoNa まさに「ここまでの期間をひとまず見せ終わりました」という感じの最終回だったので、すごく安心しました。
安田 読者からも「ホッとした」という声をたくさんもらいましたよ。「何かにケリがつく感じの最終回じゃなくてよかった」って。だってケリなんてつかないもんね、人生って。
ReoNa ふふふ(笑)。そうですよね。
安田 この記事を読んでいる人の中にも「ケリをつけられちゃうんじゃないか」と怖がって読めていない人がいるかもしれないけど、大丈夫です。
ReoNa 私も大丈夫でしたから(笑)。
プロフィール
安田弘之(ヤスダヒロユキ)
3月2日生まれ、新潟県出身。1991年、「MOZOO」が月刊アフタヌーン(講談社)で四季賞佳作を受賞しデビュー。1995年には「ショムニ」で第27回ちばてつや賞の準大賞を受賞した。「ショムニ」は江角マキコ主演により1998年にTVドラマ化、映画化されヒットを飛ばす。そのほか著書に「鉄魂道!」「ちひろ」「紺野さんと遊ぼう」「寿司ガール」などがある。2013年からは「ちひろ」の続編となる「ちひろさん」を月刊エレガンスイブ(秋田書店)で連載。「ちひろさん」は2023年に有村架純主演により実写映画化された。
ReoNa(レオナ)
10月20日生まれ。“絶望系アニソンシンガー”を掲げる女性アーティスト。TVアニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」にて神崎エルザの歌唱を担当しプレデビュー。2018年8月にはReoNa名義でTVアニメ「ハッピーシュガーライフ」のエンディングテーマを表題曲とした1stシングル「SWEET HURT」をリリースし、ソロデビューした。2026年3月7日には初の故郷凱旋ライブ「ReoNa Free Live 2026 in 奄美大島 “シマユイあまみ”」を開催。7月からは全国6都市を巡るオールスタンディングライブハウスツアー「ReoNa Live Tour 2026 “De:TOUR-動脈-”」が行われる。

