「ベルと紫太郎」伊田チヨ子インタビュー|時は大正、此処は東京!貧乏女優と財閥の坊っちゃん たのしいふたりの同棲日記、よってらっしゃい見てらっしゃい!

「ベルと紫太郎」回覧板

「ベルと紫太郎」は浅草の小さな芝居小屋で活動する女優のベルと、そのベルの恋人・紫太郎の同棲生活を描いた大正カップル4コマ。ゆっくりと進展する2人の恋模様を軸として、その端々で描かれる大正時代の風習や大衆文化もなかなか興味深いものが揃っている。ここでは、マンガに登場する大正カルチャーを少しだけ紹介しよう。

グルメ

貧乏長屋で暮らすベルと紫太郎。普段の食事は麦飯に納豆など質素堅実なものが多いが、時には贅沢をすることも?

シウクレーム
シウクレーム……つまり今で言う「シュークリーム」。柔らかい皮の中に甘いクリームが詰まっていると聞き、しけった最中(もなか)のようなものをベルは想像していたが、実物を見てテンションがあがってしまう。
シウクレーム……つまり今で言う「シュークリーム」。柔らかい皮の中に甘いクリームが詰まっていると聞き、しけった最中(もなか)のようなものをベルは想像していたが、実物を見てテンションがあがってしまう。
電気ブラン
酔っぱらいに絡まれ電気ブランを勧められるベル。このエピソードに登場する浅草の神谷バーは現在も営業しており、電気ブランを飲むこともできる。
酔っぱらいに絡まれ電気ブランを勧められるベル。このエピソードに登場する浅草の神谷バーは現在も営業しており、電気ブランを飲むこともできる。
おそうめん
いろんなそうめんの食べ方を試してみる2人。苛性ソーダを入れて茹でると食感が変わるという知恵が紹介されており、当時は劇薬の取り扱いがゆるかったことがわかる。
いろんなそうめんの食べ方を試してみる2人。苛性ソーダを入れて茹でると食感が変わるという知恵が紹介されており、当時は劇薬の取り扱いがゆるかったことがわかる。
ウスターソース
洋食が食べたいという紫太郎の要望に応え、豆腐にウスターソースをかけるベル。もちろん美味しくない。
洋食が食べたいという紫太郎の要望に応え、豆腐にウスターソースをかけるベル。もちろん美味しくない。

娯楽

旅行に行ったり映画に出かけたりと、貧乏はしていても毎日を楽しむことをベルと紫太郎は忘れない。

紙芝居
街角で紙芝居を見つけ、ついつい夢中になってしまう2人。お代はひとり一銭。
街角で紙芝居を見つけ、ついつい夢中になってしまう2人。お代はひとり一銭。
浅草
退屈している紫太郎に、浅草に遊びに行こうと提案する伊之助。日本語オペラ、回転木馬、サーカス、安来節、椰子、花やしき、山雀芸と、当時の浅草は見世物が充実していた。
退屈している紫太郎に、浅草に遊びに行こうと提案する伊之助。日本語オペラ、回転木馬、サーカス、安来節、椰子、花やしき、山雀芸と、当時の浅草は見世物が充実していた。
辻占い
「恋の行方が分かる辻占い」が書かれた便りをお茶菓子と一緒に売る娘。まだベルと恋仲になる前の紫太郎は、恋占いの結果に納得がいかずお茶菓子を買い占める。
「恋の行方が分かる辻占い」が書かれた便りをお茶菓子と一緒に売る娘。まだベルと恋仲になる前の紫太郎は、恋占いの結果に納得がいかずお茶菓子を買い占める。
下駄スケート
凍った湖でスケートをする2人。紫太郎はドイツ製のスケートブーツを履いているが、ベルは「ズックは窮屈」と言って、道具屋で買ってきた下駄スケートを履く。
凍った湖でスケートをする2人。紫太郎はドイツ製のスケートブーツを履いているが、ベルは「ズックは窮屈」と言って、道具屋で買ってきた下駄スケートを履く。

行事

季節ごとのイベントを楽しみたいのは、現代でも大正でも同じ。クリスマスや七夕など、今でも馴染みのある行事が数多く登場する。

クリスマス
クリスマスパーティをしたことがないというベルを楽しませたい紫太郎。モミの木をキレイに飾り付けようとがんばる。
クリスマスパーティをしたことがないというベルを楽しませたい紫太郎。モミの木をキレイに飾り付けようとがんばる。
七夕
七夕行事は明治時代に一度廃れてしまい、大正時代から昭和の初期まではあまり行われていなかったという。そんな中で「あんまり見ないけど僕 七夕って好き」「私も!」と盛り上がった2人は、自分たちで七夕をやることに。
七夕行事は明治時代に一度廃れてしまい、大正時代から昭和の初期まではあまり行われていなかったという。そんな中で「あんまり見ないけど僕 七夕って好き」「私も!」と盛り上がった2人は、自分たちで七夕をやることに。
お花見
お花見に華やぐ上野公園。「出たり出たり花の老若男女」という、大正8年4月4日付け東京朝日新聞の記事から引用されたモノローグが印象的だ。
お花見に華やぐ上野公園。「出たり出たり花の老若男女」という、大正8年4月4日付け東京朝日新聞の記事から引用されたモノローグが印象的だ。
大晦日
毎月ちょっとずつ晦日の支払いを“おまけ”してもらっていたベルは、その未払い分を大晦日にまとめて払うことに。無事に年を越すことはできるのか!?
毎月ちょっとずつ晦日の支払いを“おまけ”してもらっていたベルは、その未払い分を大晦日にまとめて払うことに。無事に年を越すことはできるのか!?

描き下ろしマンガ

インタビューを受けたのは人生初だという伊田チヨ子。緊張をしつつも取材に応じてくれた彼女から、描き下ろしの4コマがコミックナタリー編集部に到着した。そこには「ベルと紫太郎」1巻発売を記念して“演芸ナタリヰ”から取材を受けるベルと紫太郎の姿が。少々気になるオチだが、本特集のインタビューと合わせてお読みいただければ幸いである。

描き下ろしマンガ
描き下ろしマンガ
描き下ろしマンガ
「ベルと紫太郎」月刊ASUKAで連載中