少年マンガの王道好きな荒牧慶彦はどう読む?バンダイナムコの新生縦スクマンガ・バンダナコミックの3作品をレビュー (2/2)

「こういうシーンを読めてよかった」少年マンガの“王道”堪能

──お次の作品は「黒牛」です。剣と魔法の世界を舞台にした「武士として正々堂々後ろから暗殺します」とは打って変わって、和風かつダークな世界観です。

「黒牛」ビジュアル

「黒牛」

人の世界である内界と妖の世界である外界で、種の存亡をかけた生存競争“百鬼戦争”が勃発。圧倒的な力を要する妖に対抗するため、人は科学の力と生物兵器・半妖の力で、外界へ反撃の一手に出る。主人公・青灯せとと仲間たちは、妖の討伐と戦火の中で失踪した姉、そして外界の主である妖の王の探索に挑む。戦火に揺れる世界の真実に、青灯が切り込んでいくさまが描かれる。

原作・脚本:ブリたろ・相馬六郎(プラス81)
キャラクターデザイン:三色網戸。
作画:ごましいよ
制作:プラス81 / Futurehands

「黒牛」は読ませていただいた3作品の中で、絵が一番好きです! キャラクターデザインも凝っていて、カッコいいなと思いました。それにアクションシーンがすんなりとわかりやすかったように感じます。

──縦スクロールのマンガは、スワイプのスピード感でアクションシーンに迫力を持たせやすい点も強みの1つですね。

なるほど、確かに。特に「黒牛」のアクションシーンは疾走感がありますよね。アクションに着目すると第1話で黒牛が現れてからの一連の場面がカッコいいなと思います。主人公の青灯も含めてどういう人物なのかという自己紹介パートにもなっていて、わかりやすい。(マンガを眺めながら)とにかく絵がきれいですね……。

「黒牛」第1話より、妖と戦う黒牛。

「黒牛」第1話より、妖と戦う黒牛。

──作家さんも喜ばれると思います! ストーリーの面ではいかがでしたか?

青灯の師匠であり育ての親・水蓮の悲しい展開は「ああ……」と落ち込みました……。でも、その出来事が青灯にとって強くなりたいと思えるきっかけになり、物語にも必要な展開ですから。僕はやっぱり少年マンガの王道のような展開が好きなので、こういうシーンを読めてよかったと思っています。

「黒牛」第3話より、幼い頃の主人公の青灯と育ての親である水蓮。

「黒牛」第3話より、幼い頃の主人公の青灯と育ての親である水蓮。

──最後は「洗浄のダンタリオン」。こちらは周囲には言えない力を持つ少年・デルと火の神であるアグニの共闘を描いたバトルアクションです。

「洗浄のダンタリオン」ビジュアル

「洗浄のダンタリオン」

物語の舞台は、300年前に冥府との壮絶な戦争に巻き込まれたヴィクター島。この島では普通ではない能力を持つ人間は異端者として処罰され、妖精や不思議なものを見る力を持つ騎士の少年・デルは、その力を隠していた。ある日、デルは炎の神を名乗る不思議な生物・アグニと出会い、彼と心を通わせるようになり……。騎士と火の神がタッグを組み、大切な人を守るため戦いに身を投じていくバトルアクションだ。

脚本・ネーム:さくらい
作画:echoes B-Studio
編集協力:元気(オムカレー)
制作:echoes

3作品の中では、「洗浄のダンタリオン」のストーリーが一番好きでした! 僕は正直デルのように妖精と話したりできる能力は欲しいとは思わないんですが、人にないものを持っているという点ではうらやましいなと思います。今後の展開はまだわからないですが、きっと小さくなってしまった神のアグニがデルに力を貸して強くなっていくのではないかなと。そういう展開も少年マンガらしくていいですよね。特別な力を活かして、さまざまな人の問題を解決してほしいなと思います。

「洗浄のダンタリオン」第3話より。

「洗浄のダンタリオン」第3話より。

──3話はとても気になる終わり方をしていたので、続きが気になる方も多いと思います。

そうですね、3話目のいいところで終わっていて、引きの作り方がとてもうまいなと思いました。こういうふうに気になることの積み重ねがあって、いつの間にかハマっていっちゃってるんだと思います。

──先ほど荒牧さんがおっしゃった通り今後の展開はまだわかりませんが、逆にどういう展開を見てみたいですか?

例えば、アグニが主人公に憑依して強くなるけど、力を貸した反動で2人の身体が離れてしまって……というようなシーンを見てみたいです。僕のように少年マンガが好きな読者にすごく突き刺さるんじゃないかな、と思います。でも少年マンガって敵キャラにも魅力がないとダメだなと思っていて。

荒牧慶彦

荒牧慶彦

──なるほど。

「DRAGON BALL」でいうとベジータは敵でもありカッコいいライバルでしたし、「NARUTO-ナルト‐」も大好きなんですが、暁のメンバーに惹かれていました。ああいうふうに、敵だけど魅力的なキャラクターがいることも作品が人気になる要素なんじゃないかなと考えているんです。「洗浄のダンタリオン」にも今後そういう悪役が出てきたらいいな、と思いました。

──これからとてもカッコいい悪役が出てくるかもしれませんね。

そうですね、期待しています!

「洗浄のダンタリオン」第3話より。

「洗浄のダンタリオン」第3話より。

バンダナコミックで読んでみたいジャンルは?「あったらいいな」を考えてみる

──今回バンダナコミックのオープンに先がけて、第1弾作品を誰よりも早くご覧いただきました。これらの作品はどういう人にオススメしたいですか?

公開よりひと足先に読ませていただき、本当に光栄でした。誰に、と考えると難しいんですが、本当に3作品とも万人受けするストーリーだと思います。まだバンダナコミックのイメージを固定していきたくはないので、皆さんにとりあえず読んでみてほしいですね。

──より多くの方に楽しんでいただきたいですね。ちなみに、荒牧さんが今後「バンダナコミックでこういう作品を読んでみたい」と思うものはありますか?

ギャグマンガがあるとうれしいですね! アクションシーンが豊富な作品は読ませていただきましたし、ギャグマンガのほかにラブストーリーもあれば、バランスがよくなっていろんな方が気になるんじゃないかなと思います。週刊少年ジャンプなどいろんな雑誌を読みますけど、バランスがいいといろんなジャンルの作品を楽しめてうれしいですよね。楽しみにしています!

荒牧慶彦

荒牧慶彦

プロフィール

荒牧慶彦(アラマキヨシヒコ)

1990年2月5日生まれ、東京都出身。2012年、「ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン」(甲斐裕次郎役)で本格的に俳優デビュー。主な出演作に、「舞台『刀剣乱舞』」(山姥切国広役)、「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」(白膠木 簓役)など。またプロデューサーとして「演劇ドラフトグランプリ」「荒牧慶彦俳優10周年記念公演『殺陣まつり ~和風三国志~』」などを手がけた。4月5日からは企画・主演を務める剣劇「三國志演技~孫呉」が東京・明治座で上演される。