少年マンガの王道好きな荒牧慶彦はどう読む?バンダイナムコの新生縦スクマンガ・バンダナコミックの3作品をレビュー

縦スクロールマンガ・バンダナコミックが、4月18日に本格始動を控えている。バンダイとバンダイナムコフィルムワークスが連携して運営するバンダナコミックでは、「コードギアス」シリーズなど同グループが保有するIPのリブート作品に加え、バトルアクションやアドベンチャーといったジャンルのオリジナル作品を発表していく。第1弾作品として、アクション描写が持ち味の3本がラインナップされた。

コミックナタリーでは、バンダナコミックのオープンを記念した特集を展開。マンガ好きとして知られる俳優・荒牧慶彦に、4月に発表される3作品をレビューしてもらった。「王道の少年マンガが好き」という荒牧に、バンダナコミック作品はどう映ったのか? インタビューでチェックしてみよう。

取材・文 / 佐藤希撮影 / 清水純一

バンダナコミックとは?

バンダイとバンダイナムコフィルムワークスが連携し、アニメ制作で得たノウハウを活かして運営する縦スクロールマンガ。今までに見たことのないバトルアクションやアドベンチャーなどの“超大作”を創出し、アニメ化やフィギュア・雑貨などの商品化、加えて世界展開を目指す。
4月に発表される第1弾作品として、陰キャ武士と美少女エルフの“隠し事アドベンチャー”「武士として正々堂々後ろから暗殺します」、人と妖による種の存在をかけた生存競争を描く「黒牛」、周囲に明かせない能力を持った少年と火の神のタッグによるバトルアクション「洗浄のダンタリオン」が公開を控えている。

バンダナコミック第1弾作品。

バンダナコミック第1弾作品。

少年マンガの“王道”が好きな荒牧慶彦、好きな作品の決め手は?

──縦スクロールマンガ・バンダナコミックがいよいよ誕生します。荒牧さんはこれまでたくさんのマンガに触れて来られたと思いますが、普段縦スクロールの作品を読むことはありますか?

縦スクロールのマンガは、実はあんまり馴染みがなくて。今回このお話をいただいてからきちんと読ませていただいたんですが、横読みとはまた違った楽しみができるなと感じました。スワイプしてサッとページが進んでいくので、スラスラ読めて新鮮ですね。あと電子版のマンガはスマートフォンを横にして読むことがあるんですけど、縦スクロールならそのままでいいから「あ、こいつマンガ読んでるんだな」ってバレにくいかも?(笑)

──確かにそうですね(笑)。マンガを読むうえでのこだわりは何かありますか?

特にこれというものはないですが、紙派か電子派かということであれば、最近はもっぱら電子派です。かさばらないですし、移動のタイミングでマンガを読むこともあるのでそういうときに便利ですね。少年マンガが好きで、ジャンルはこだわらずなんでも読みます。「ONE PIECE」や「キングダム」などずっと追い続けているタイトルもありますが、それ以外にも周りから「これ面白かったよ!」とオススメしてもらったものはだいたいチェックしています。

荒牧慶彦

荒牧慶彦

──マンガを読んで「この作品が好きだな」と感じる点は、絵柄だったりストーリーだったりと人それぞれですが、荒牧さんはどういう部分に惹かれるんでしょうか。

いい意味での裏切りがある作品が好きで、そういう作品にハマることが多いですね。初めて読む作品はまず1巻を買って通して読むようにしているんですが、好きになったら全巻買っちゃうこともあります。一気に読みたくなってしまうので(笑)。

「がんばってほしい……!」陰キャ武士の奮闘にエール

──バンダナコミックで4月に発表される3作品分、それぞれ事前に3話まで読んでいただきました。まずは「武士として正々堂々後ろから暗殺します」を読んだご感想をお願いします。

「武士として正々堂々後ろから暗殺します」ビジュアル

「武士として正々堂々後ろから暗殺します」

冒険者である少年ユージンは、人の目を見ると5秒も持たずに倒れてしまう人見知りのポンコツ武士。しかしその正体は、背後を取らせたら無敵の“暗殺者”だった。正々堂々とした武士でありたいがために頑なに力を隠そうとするユージンだったが、何やら怪しいエルフのエルルと一緒に旅することになり……。ともに隠し事を抱えた陰キャ武士と美少女エルフの冒険が描かれる。

脚本・作画:フィジクス・ポイント
作画監督:浜辺ゆき
編集協力:元気(オムカレー)
制作:echoes

面白かったです! 先ほどもお話したんですが、縦スクロールで手軽に読みやすいのでストーリーがすっと頭に入ってきて、わかりやすかったです。自分のなりたい姿を目指してがんばるというユージンの姿は、少年マンガの王道ですよね。それに武士のように振る舞っているのに、本当は暗殺者だったという驚きもあって、続きが気になります。

「武士として正々堂々後ろから暗殺します」より。

「武士として正々堂々後ろから暗殺します」より。

──人の目を見ることができないので背後を取る、という攻撃スタイルは暗殺者としては有効ですが、武士らしくない戦い方にユージンは悩んでいます。自分の理想と現実にもがく彼の姿は、荒牧さんにはどう映りましたか?

とにかく「がんばってほしい……!」と応援したくなります。このまま目標に向かって一生懸命がんばっていくのか、または自分の理想とする武士になることを諦めてスキルを活かしながら暗殺者として生きていくのか……といろいろ想像が膨らみました。でもユージンの姿に共感できる人は多いんじゃないかなと思います。自分の持っている個性や得意とすることと、本当にやりたいことや理想とする姿にズレがある、ということはけっこう多いと思うので。

荒牧慶彦

荒牧慶彦

──今後、ユージンが大きな決断を迫られる場面があるかもしれませんね。読んでいて気になったシーンもお聞きしたいです。

エルルのお父さんの登場シーンが気になりました。お父さんは魔王なんでしょうか……? 1回スーッと読み進めそうになって、「え、もしかして(お父さんに)ツノ生えてた?」って戻っちゃいました(笑)。きっと、この物語を読んだときに皆さんが一度は気になるところだと思います。

「武士として正々堂々後ろから暗殺します」第2話より、エルルの父親が登場する場面。

「武士として正々堂々後ろから暗殺します」第2話より、エルルの父親が登場する場面。

──「武士として正々堂々後ろから暗殺します」はPR文などでは“隠し事アドベンチャー”と銘打っているので、エルルも何か大きな秘密を抱えていそうです。

ありそうですね。お父さんの役に立とうとして魔王の手先になる人材を探してるのかな?とか。ユージンも気になりますが、やっぱりエルルに注目しています。彼女のバックグラウンドをたくさん想像しましたが、なにか僕の想像も付かなかった驚きの展開があると、この作品がもっと気になりそうです。