役に入れ込みすぎないからこそ、自分の中で整理がしやすい(村瀬)
古川 村瀬さんはどうやって役作りをしていくんですか?
村瀬 僕はキャラクターの気持ちがそんなにわからないというか……もちろん「こういうふうに感じているんだろうな」とか感情の動きはわかるんですけど、自分はそのキャラクターではないので、それ以上でもそれ以下でもなくて。「このときこう思っているだろうから、こういうふうに声を出してあげたいな」とか、自分の気持ちにつながるところを見つけて、「こうやってお芝居したいな」とは考えるんですけど、役に入り込むタイプの方に比べて、キャラクターに対しての接し方がちょっと冷めてるのかもしれないです。ただ自分でもそれを悪いことではないと思っていて。入れ込みすぎないからこそ、お芝居するときに自分の中で整理がしやすいんです。
古川 キャラクターを1歩引いて見ているというか。
村瀬 そうそう。あとは収録のときに監督や音響監督の方から「もう少しこうしてください」って言われたときに微調整がしやすかったりもして。でも入り込むタイプの方が役にカチッとハマった瞬間はすごいなと思いますし、そういうところは自分にない部分なので刺激を受けます。
古川 僕はキャラクターに対して主観的なんですけど、村瀬さんは客観的なんですね。
村瀬 たぶん、そういうアプローチの仕方でありたいんだと思う。でも主観でやっていても客観でやっていても、「いいな」と思うものはすごくいいし、こういう話をできる現場があるっていうのが素敵なことだよね。本当にありがたいなって思います。
──それぞれのアプローチが違う中で、1つの作品ができあがるわけですもんね。
村瀬 最終的にそれをまとめてくださる音響監督や監督の方々が作品のことを一番に理解して作っているからこそ、僕らもそんな提示をしていけるんだと思います。
一方的に好きです(村瀬・古川)
──マフムートとザガノスは作品を象徴するキャラクターでもありますし、演じられているおふたりが一緒に取材やイベントなどに参加する機会は今後もあると思うんですが、おふたりの相性はどうでしょうか?
村瀬 僕は一方的に好きですけど。
古川 僕も一方的に好きです。
──じゃあ一方的ではないですね(笑)。
村瀬 相手にどう思われてるかわからない(笑)。そういうところは似てるのかもね、もしかしたら。
古川 かもしれないですね。
村瀬 あんまり自分が人に好かれてるっていう自信がない(笑)。
古川 いや、村瀬さんは好かれてます。好かれてるんですよ。
村瀬 いやいやいや。
古川 村瀬さんはコミュニケーションの取り方が本当に上手だから、何もしなくても友達ができるタイプなんですよ。僕はホントに何もしないと友達ができない。だからうらやましいなって思います。
歴史の裏側の人間ドラマを楽しんで
──ちなみに「将国のアルタイル」は架空の国を舞台にした戦記ものですが、おふたりは戦記ものの作品って読まれますか?
村瀬 僕はもともとマンガ自体、あまり読むほうではなくて。小説も「新世界より」の貴志祐介さんの作品を何作か読んだりとかそれくらいで、「アルタイル」のような作品には触れてこなかったんです。
古川 僕も戦記ものというと「アルスラーン戦記」くらいで、あまりなじみはありませんでした。なので「アルタイル」も最初はちょっと難しそうだなと思っていたんですが、原作を読ませていただいて、ページをめくるうちにどんどん惹き込まれてすぐに夢中になりました。
──確かに「戦記」や「戦術」などを題材にした作品は、読む前に「難しそうだな」と感じる方もいそうです。
村瀬 ちょっと敷居が高いイメージはあると思うんですけど、まずは気楽な気持ちで観てほしいですね。僕は「アルタイル」は少年が“理と情の間で大人になっていく物語”だと捉えていて。難しく感じる部分もあると思うんですが、国家間の陰謀や戦術という部分だけでなく、人間ドラマに注目して観ても面白いと思います。複雑に絡んでいた人間関係や戦略が1つの戦いで一気に総崩れする様子とか、観ていてゾクゾクしたり。そういう気持ちも味わえるので。
古川 この作品って大河ドラマっぽい部分もありますよね。村瀬さんがおっしゃったように、1つの戦でいろんなものがひっくり返ってしまうところだとか、歴史が動くさまを大河ドラマのように楽しめる作品だと思います。皆さん大河ドラマを観るときって、題材はもちろん、好きな俳優さんが出ているとか、いろんな取っ掛かりがあって観始めると思うんです。「アルタイル」もどんなきっかけでもいいと思うので観ていただけたら、好きになるポイントがたくさんある作品なんじゃないかと思います。
村瀬 物語のスケールは大きいけど、国の背景や設定は細かく考えられていて、月並みな言葉ですけどとても面白い作品なんです。カトウ先生は「アルタイル」が初めての連載作品なんですよね? ホントにすごいなって思います。僕、世界史も日本史も進級ギリギリの点数しか取ったことないので(笑)。こういった戦記ものの作品に楽しく関わらせていただけることがすごくありがたいです。
古川 こんなに読みやすい歴史のお話はなかなかないですよね。世界史が「アルタイル」だったらいいのに(笑)。世界史の勉強をするときに、教科書には簡潔にしか書かれていないことも「実はここではこういう人間ドラマがあって……」って妄想すると、覚えられたりするじゃないですか。
村瀬 そうだよね。歴史に対して苦手意識を持ってる人って結構多いと思うんですけど、歴史に興味を持つきっかけになるようなアニメにしていけたらうれしいですね。
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ロジカルシンキングでひとつ上の男へ
- テレビアニメ「将国のアルタイル」
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放送情報
MBS:2017年7月7日(金)より毎週金曜26:25~
TBS:2017年7月7日(金)より毎週金曜26:25~(第1話は26:27~)
BS-TBS:2017年7月8日(土)より毎週土曜24:30~スタッフ
原作:カトウコトノ(講談社「月刊少年シリウス」連載)
監督:古橋一浩
シリーズ構成:高木登
キャラクターデザイン・総作画監督:菅野利之
アニメーション制作:MAPPA
製作:将国のアルタイル製作委員会キャスト
マフムート:村瀬歩
ザガノス:古川慎
キュロス:KENN
アビリガ:諏訪部順一
スレイマン:小西克幸
カリル:緒方賢一
ルイ:津田健次郎
レレデリク:小林ゆう
グララット:櫻井孝宏
ルチオ:小野大輔
ブレガ:山路和弘
バラバン:中井和哉
バヤジット:内山昂輝
アイシェ:茅野愛衣
オルハン:島崎信長
イスマイル:岡本信彦
イブラヒム:佐藤拓也
シャラ:日笠陽子
ほか
- カトウコトノ「将国のアルタイル⑲」
- 発売中 / 講談社
“警告の鐘”をもって、ついにバルトライン帝国の喉元・城壁の町(ミュール)に刃をつきつけたザガノス軍。帝国存亡の危機ともいえるこの戦況に、皇帝に忠誠を誓った新貴族(ヘルマン)が、獅子奮迅の戦いを挑む。レレデリク率いる重騎兵4千の大軍団の増援を待ち、自ら囮となり戦場を駆ける新貴族。トルキエとバルトライン。暁が昇るとき、勝利を手にするのはいずれの陣営か!?
- 村瀬歩(ムラセアユム)
- アメリカ合衆国出身、12月14日生まれ。主な出演作は「ハイキュー!!」(日向翔陽役)、「D.Gray-man HALLOW」(アレン・ウォーカー役)、「怪盗ジョーカー」(ジョーカー役)など。
- 古川慎(フルカワマコト)
- 熊本県出身、9月29日生まれ。主な出演作は「ワンパンマン」(サイタマ役)、「orange」(須和弘人役)、「タブー・タトゥー」(赤塚正義)など。
©カトウコトノ・講談社/将国のアルタイル製作委員会
©カトウコトノ/講談社
2017年8月2日更新