音楽ナタリー Power Push - 米津玄師

“アンビリーバーズ”の代弁者

米津玄師がニューシングル「アンビリーバーズ」を9月2日にリリースする。

エレクトロニックなサウンドを導入し、ギターレスという新機軸の作風に踏み出した表題曲。高揚感あふれる曲調、シンプルだが強いメッセージの込められた歌詞は、彼の持つ変化への意志が反映されたものだ。今作ができあがるまでの経緯を米津に語ってもらった。

取材・文 / 柴那典

 
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変わらなければならないから制約を課した

──「アンビリーバーズ」は米津さんの作ってきた楽曲の中で、1つの転機になる楽曲なんじゃないかと思いました。

米津玄師

転機になるとは思ってなかったですけど、ものすごく自分に制約を設けて作った曲でした。

──制約を設けて作った?

わかりやすく言うと、ギターを使わないっていうこと。ほとんど打ち込みで完結させて、あとはピアノを基調に曲を作る。それは今までやったことがなかったし、そういう制約ありきの曲でした。

──ただ、その制約っていうのは、別に誰かから頼まれたとか、誰かに課せられたというものではないですよね。

確かにそうですね(笑)。

──なぜ自分に制約を課そうと思ったんでしょうか。

自分の中に「変わらなければならない」という考え方がすごく大きくあって、「サンタマリア」(2013年5月発売のシングル)からその考えがどんどん大きくなっていった。「アンビリーバーズ」もその考えを持って作った曲だったんです。で、いざできあがったものを聴いてみると、今までの自分の曲とは全然違ったものになったと思いました。それが転機なのかどうか、今の自分ではそこまで客観視できていないんですけれど。

これからもバンド編成でやっていくかはわからない

──「Flowerwall」のときのインタビュー(参照:米津玄師「Flowerwall」インタビュー)で、ライブをやったことでバンドにこだわらなくなったということを言っていましたよね。サウンドの変化の背景にはそういうこともあった?

ありました。バンドで録音したアルバムを1枚作って、ライブをやって、そのことで自分がフラットになったというか。もともとバンドの音楽に憧れを持って、それをやりたくてやってきたんですけれど、それを実際にやったことによってあまりそこに執着しなくなったというのは確実にあります。だから、いろんな音楽を聴いてインプットする中でも、今はむしろエレクトロなほうが好きだったりするし。「バンドかどうか」ということをあまり考えなくなりましたね。

──ライブにおいても、ギターとベースとドラムとの4人編成が大前提ではなくなった。

そうですね。あの4人で今やれてることっていうのはすごく代えがたいことだなとは思うし、ものすごく助けられて今までやってきたって感覚もあります。彼らのことはすごく信頼しているし、欠かせない存在だと思ってますけど、それでもこれから先ずっとこの編成で続けていくかどうかはまだ自分の中ではよくわかってない。また全然違うことになるのかなっていう予感もあります。

ニューアルバム「Bremen」/ 2015年10月7日発売予定 / UNIVERSAL SIGMA
「Bremen」
画集盤 [CD+画集] 4212円 / UMCK-9772
映像盤 [CD+DVD] 3564円 / UMCK-9773
通常盤[CD] 3240円 / UMCK-1522
米津玄師(ヨネヅケンシ)

男性シンガーソングライター。2009年より「ハチ」という名義でニコニコ動画にボーカロイド楽曲を投稿し、代表曲「マトリョシカ」の再生回数は800万回を、「パンダヒーロー」の再生回数は400万回を超える人気楽曲となる。2012年5月に本名の米津玄師として初のアルバム「diorama」を発表。全楽曲の作詞、作曲、編曲、ミックスを1人で手がけているほか、アルバムジャケットやブックレット掲載のイラスト、アニメーションでできたビデオクリップも自身の手によるもの。マルチな才能を有するクリエイターとして注目を集めている。2013年5月、シングル「サンタマリア」でユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。同年10月にメジャー2ndシングル「MAD HEAD LOVE / ポッピンアパシー」、ハチ時代のアルバム「花束と水葬」「OFFICIAL ORANGE」の再発盤をリリースした。2014年4月、米津玄師名義としては2枚目のアルバム「YANKEE」を発表。同年6月には初ライブとなるワンマン公演を東京・UNITで開催した。2015年1月にシングル「Flowerwall」をリリース。4月には全国ツアー「米津玄師 2015 TOUR / 花ゆり落ちる」を開催し、10公演を行った。同年8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」で野外フェス初出演を果たす。9月にシングル「アンビリーバーズ」を発表。10月にはアルバム「Bremen」をリリースし、2016年1月からワンマンツアー「米津玄師 2016 LIVE TOUR / 音楽隊」を実施する。