ナタリー PowerPush - the telephones
「We Love Telephones!!!」全曲解説
My Girl
──続く「My Girl」もアッパーな曲ですね。
石毛 この曲は今までのthe telephonesにはなかったビートを使ってますね。いわゆるUSインディっぽいイメージで。
──リズム隊のレコーディングはどうでした?
長島涼平(B, Cho) 今までにない感じの曲なんで、やってて楽しかったですね。曲が自分の中に入ってくるまで、ちょっと時間かかりましたけど。
松本誠治(Dr) 展開が多いしね。ベースとドラムの絡み合い方も今までとは違ったから、何度も曲を聴きながらリトライする作業が面白かったです。
長島 もし何年か前の自分が弾いてたら仕上がりが全然違ったと思いますね。
──岡本さんは今回のレコーディングはどんな感じでしたか?
岡本伸明(Syn, Cho) 僕はパッションを注入した感じですね。
全員 パッション!?(笑)
──(笑)演奏に関してはどうですか?
岡本 今年の4月ぐらいからキーボードが趣味になりまして。楽譜の読み方とか手の置き方とかをインターネットレッスンで学んで……。キーボードって楽しいんだなって思い始めてます。俺、別にクラシックもたいして聴いてないし、じゃあ一番好きな「ドラゴンクエスト」の曲を全部コピーしよう! と思って。今こつこつ弾いてるんですよね。
長島 なぜ今頃、急にって話ですよね……。
──岡本さんのその熱意はバンドにフィードバックされてます?
岡本 まだ始めて3カ月ぐらいなんで(笑)。だから次のレコーディングには反映されてるかもしれないですね、「ドラゴンクエスト」みたいなフレーズが。
A.B.C.DISCO
──5曲目の「A.B.C.DISCO」はミニアルバム「A.B.C.D.e.p.」の収録曲ですが。
石毛 はい。でもこのアルバムの1曲として聴いてみると、聴こえ方が変わりましたね。で、改めてやっぱりいい曲だなって。
──この曲はすでに何回もライブでも演奏してると思いますが、手応えみたいなものは?
石毛 ぶっちゃけて言うと、今まで出した新曲の中で一番浸透が遅かった。盛り上がるんですけど、ラストの「A.B.C.DISCO」って叫ぶところをお客さんがみんな言ってくれなくて。最近のライブではようやく言ってくれるようになったんですけど。
長島 僕らの場合はツアーをやることによって曲が浸透するんですよね。前のアルバムのときに思ったんですけど、CDを出した直後は「まだ聴いてないのかな?」って感じることが多くて。そのレコ発ツアー終わった後にまた同じ場所行って同じ曲やるとものすごく盛り上がったりして。「あれ、全然違う!」みたいなことけっこうありますからね。
Kung Fu Village
──「Kung Fu Village」は新しいタイプの曲ですね。
石毛 うん、新しいダサさを発見できたかなと。基本的にthe telephonesって「ダサカッコいい」をテーマにしてきたバンドなんで、今回はダサい方向に振り切れたと思います。
──フェードアウトで終わるあたりもダサいですよね。
石毛 この曲はフェードアウト以外ないだろうと思って。この最後のギターソロはナカコーさんと2人でスタジオにいるときに、ワインを飲んでベロベロの状態で録ったんで実はちゃんと弾けてないんですよ。
岡本 ここのコーラス部分はフロント3人で歌ってるんですけど、途中で石毛の声だけ消えて、代わりにギターソロが入ってくるんですよ。レコーディングなのにギターソロだからコーラス外れるっていう(笑)、俺はそこが好きですね。
──いろいろな意味で問題作ですね。曲のタイトルはどこから?
石毛 ナカコーさんがレコーディングで「曲がカンフーっぽいから銅鑼の音入れていい?」って言ってきて、(エンジニアの渡辺)省二郎さんは「これゲイミュージックだよね」って言ってて。それでゲイミュージックと言えばVILLAGE PEOPLEってことで、カンフーとVILLAGEを合体させて「Kung Fu Village」になりました。
──バカっぽいですねえ(笑)。
石毛 こういう曲はノリでつけたほうが面白いですからね。歌詞とタイトルが全部連動すると重いし、バカっぽい曲はバカっぽいタイトルのほうがいいし。全部シリアスにはなりたくないんですよ。
Shit! Shit!! Shit!!!
──「Shit! Shit!! Shit!!!」は「Kung Fu Village」から一転してシリアスな内容ですけど、これは石毛さんのフラストレーションの表明?
石毛 そうですね。怒りに近いものを出した感じですかね。サビは暗いけど、曲調がバカっぽいからいいかなと思って。
──歌詞でいきなり「fight the power(権力と戦え)」っていうフレーズが出てきてびっくりしたんですが、こういう曲はどういうシチュエーションで書くんでしょうか?
石毛 いや、他の曲とあんまり変わらないですよ。アルバムの曲を作るときには「ゆっくりめの曲が多いから激しい曲も書かなきゃ」って感じでバランスを取ることが多くて。今回もこの「Shit! Shit!! Shit!!!」がなかったらゆるいアルバムになりそうだったんであえて書いたんですけど、でもふと「なんでそんなふうに考えて書かなきゃいけないんだ!」ってムカついてきて。その思いが表れた曲ですね。
CD収録曲
the telephones(てれふぉんず)
2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn)、岡本伸明(Syn, Cho)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク/ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻しつつ、インディーズでの音源リリースを経て、2009年にはEMIミュージック・ジャパンと契約。同年7月にメジャー移籍第1弾となるアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」をリリース。年末の「COUNTDOWN JAPAN 09/10」では、GALAXY STAGEのカウントダウンを担当した。2010年春にはコンセプトの異なるミニアルバム2枚を連続リリースし、8月にはフルアルバム「We Love Telephones!!!」を発表。ハイテンションなライブパフォーマンスに定評がある。