ナタリー PowerPush - the telephones
「We Love Telephones!!!」全曲解説
My Final Fantasy
──次の「My Final Fantasy」はナカコーさんのプロデュースですね。
石毛 これは最初からナカコーさんと一緒にやろうと思ってた曲なんですよ。
──ナカコーさんに頼むかどうかの基準はどこにあるんですか?
石毛 僕の中ではシンセの使い方ですね。僕の持ってるシンセだと曲のイメージに合わなくて、ナカコーさんならアナログシンセもいっぱい持ってるし、普遍的で懐かしい音が作れそうだなと思って。プログラミングの面でも僕はまだ技術が足りないんで、ナカコーさんに頼ろうと思ってお願いしました。
──確かにこのシンセはちょっと懐かしい音ですね。
石毛 仮タイトルは「虹」だったんです。制作中に電気グルーヴの「虹」をイメージしてた部分もあったりして。
──ゲームの「ファイナルファンタジー」とは関係あるんですか?
石毛 いや、それは関係なくて、どちらかというと恋愛というか……ロマンですね(笑)。
──この曲の「na-na-nanana」っていうフレーズは破壊力ありますよね。
石毛 「na-na-nanana」はいろんな人が使ってるし、僕らも使ってみたいなと思って入れました。万国共通語みたいな言葉でピースな感じが出せたかなと。
Re:Life
──「Re:Life」はすごく感動的な名曲だと思うんですけど、これよく聴くとAメロしかないんですよね。この後にBメロやサビを作らなかったのはなぜですか?
石毛 シンプルな曲を作りたかったんですよね。この曲を作ってた頃、PASSION PITとかネオンゴールド系のレーベルのエレクトロポップを聴いてたんですけど、そのへんのバンドの曲にシンプルな展開のが多かったんでその影響があると思います。
──シンプルな分、メロディの良さが際だちますよね。
石毛 他の曲がわりとごちゃごちゃしてるんでバランスが取れてるかなって。the telephonesの曲ってAメロからサビに行って、途中で変な展開があって、最後はサビで終わるっていうのが必勝パターンなんですけど、そういうパターンから逃れたかったんですよ。これはメロディがすごく良くて、それだけで曲が成立すると思ったのであえてシンプルにしました。
──必勝パターンを外れても勝てるんだぞ、と。
石毛 うん、今度フェスで披露してお客さんの反応を見てみたいですね。盛り上がってほしい。
kiss me, love me, kiss me
──「kiss me, love me, kiss me」は「Oh My Telephones!!! e.p.」に収録されていた曲ですが、これもアルバムの流れで聴くと新鮮に聴こえる気がします。
石毛 アルバムの曲順はだいぶ考えました。1~3曲目までパンチがあるものを並べて、4~7曲目はちょっとアッパーなものを持ってきて、8~10曲目はエレクトロサウンド、11曲目以降はUSインディのようなロックに流れる形にしたんです。
──2枚のミニアルバム(「A.B.C.D.e.p.」と「Oh My Telephones!!! e.p.」)を別々に聴くと全然印象が違うのに、このアルバムではそれぞれの収録曲がうまく混ざり合っていて。
石毛 「Re:Life」の後に「kiss me, love me, kiss me」が来ても違和感がないっていうね。ミニアルバムはそれぞれコンセプトは違うけど、つながりを意識して作ってたし、結局the telephonesの曲だなってところに落ち着くんですよ。
I Wanna Die
──そして「I Wanna Die」はまた軽快なナンバーで。
石毛 歌詞は「I Wanna Die(死にたい)」だけど音は軽快っていうのがキモで。なんか俺はやっぱ楽観的な曲を楽観的に歌えないんですよね。逆にシリアスな曲をシリアスに歌うのも嫌いだし。それを天邪鬼って言う人が多いんですけど、俺にとってはすごく素直なことで。
──演奏面では新しいチャレンジがありますね。
石毛 the telephonesではあんまりやったことのない、トロピカルなビートを使ってます。
──松本さんは実際叩いてみてどうでしたか?
松本 展開が激しいので初めは考えながらやってたんですけど、途中で「これは全体をちゃんと捉えて叩けなきゃいけないな」って気がついて。自然な流れがイメージできてからは難しくなかったですね。
石毛 誠治くんの中にトロピカルなビートがなかったんで、そのビートを理解するまではすごく苦労してましたね。
松本 基本的にもっつりとしてますからね。
長島 豚骨系だよね。
松本 でも叩いてるうちに、どこかのタイミングで頭と体のつじつまが合ってきた気がして。まだ少し距離はあるんですけど、それを埋めていくともっといい塩梅でやれるような気がします。
CD収録曲
the telephones(てれふぉんず)
2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn)、岡本伸明(Syn, Cho)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク/ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻しつつ、インディーズでの音源リリースを経て、2009年にはEMIミュージック・ジャパンと契約。同年7月にメジャー移籍第1弾となるアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」をリリース。年末の「COUNTDOWN JAPAN 09/10」では、GALAXY STAGEのカウントダウンを担当した。2010年春にはコンセプトの異なるミニアルバム2枚を連続リリースし、8月にはフルアルバム「We Love Telephones!!!」を発表。ハイテンションなライブパフォーマンスに定評がある。