ナタリー PowerPush - PLAGUES
8年ぶり活動再開! 深沼&後藤が明かすバンド秘話
後藤敏昭の活動
──それで2002年の春に活動休止を発表した後、深沼さんはすぐにMellowheadを始動して、それが現在も続いているわけですけど、後藤さんが何をしていたのか、っていうのはファンにはちょっと見えにくい部分だったと思うんです。そのあたり教えてもらいたいんですけど。
後藤 まずはFOGBOW(フォグボゥ)ですね。マカロニの太田(淳一)さんとちょっと一緒にやってみようって話になってそこでバンドっぽいことを。PLAGUESよりはもうちょっと普通のバンドっていう感じで、ライブとかも一応ちょこちょこやってたんですけど、でもそのうち「まあいっか」って感じで自然消滅して(笑)。
──え、そんな軽いノリで?(笑)
後藤 まあ、基本的に物事をそんなに……ね。
深沼 30代超えてからやるバンドって、いわゆる青春のバンドじゃないからね。うん、その感じはわかる気がするな。
後藤 それでFOGBOWをやってみて、そのときの自分がバンドっていうものを求めてたわけじゃないっていうのがわかった。もうちょっと自分でサウンドを作るっていうことを楽しみたいって思ったんですよね。
──じゃあFOGBOWが自然消滅してその後は?
後藤 ある洋服屋からサントラみたいなアルバムを作ってくれないかっていう話をもらって。とにかく今までとまったく違うアプローチで音楽に接したいっていう気持ちがあったから「やるやる!」って言ってやってみたんですよね。それでまた音楽に対する自分の考えが広がった部分もあったりして。だからやってよかったし、今後それを自分の音楽につなげていくチャンスはたくさんあるだろうなっていうのはそのときに思った。
──それが後藤敏昭名義の「LUVELISH」という作品ですね。そのとき後藤さん自身、ソロアーティストとしてのデビューという意識はあったんですか?
後藤 いや、そういうのはまったくなくて。“後藤敏昭”の名前を出したいっていう欲求は基本的にはゼロなんですね。もう俺ずっとそんな感じなんですよ。その場の気分でもう全然いいんじゃねえかなと思って。そのほうが楽しい。もし最終地点を決めてきっちりやっても、PLAGUESで10年やってきた感覚と同じになっちゃうし、だったら楽しみながらいろいろやるほうがいいなって。要は活動休止をいいことに、これやりたいあれやりたいっていう欲求をぶつけてたっていう感じですかね。
深沼 そのアルバムは生ドラムもまったく入ってないですからね(笑)。
後藤 でも楽しかったんですよね、純粋に。責任感みたいなものもなかったし。
──そして2003年には後藤さんがリミックスと選曲を担当した企画アルバム「space program [MODERN]」と、書き下ろし楽曲を収録した「space program [NON AGE] 」がリリースされましたよね。その後はどんな活動を?
後藤 そこからはちょっとプロデュースやったりしつつ、必要ならドラムも叩いたり。で、そういう仕事で出会った人とちょっと音楽作ってみようかって話をして、今やってるのはもうちょっとクラブ系というか、そういう感じのプロジェクトですね。WIRED CAFEとかああいうところでかかるようなコンピに少し曲を入れてもらってたりしてます。そこで自分の音楽的な欲求を吐き出してるというか。
──それはドラマーとして?
後藤 じゃなくて。基本的にサウンド制作っていう感じで。
──シークレットなプロジェクトなんですか?
後藤 いやいや、別に秘密とかじゃないです。俺、自分で自分のこと話すのが好きじゃないんで(笑)、できれば引っ込んでいたいんですよね。なので元昭さんとかにも「今度こういうの作ったから聴いて」とかっていう話は1回もしたことないね(笑)。
深沼 そうなんだよ。いつも後から知る。
──でも後藤さんの活動が気になってるファンの人はたくさんいると思いますよ。
後藤 別にそれならそれで全然いいんですけどね。何やってるんだろう?って思っててほしいっていうか(笑)。アピールしたりとか、そういうのが苦手なんですよ。
──後藤さんにとって今このタイミングでPLAGUESをやることはどうなんですか?
後藤 このタイミングがベストかどうかっていうのはともかく、やってみて非常に面白いっていうのは間違いないですね。
──深沼さんから「PLAGUESやろうぜ」と声をかけられたわけですよね。どう感じました?
後藤 やっぱりそれまで肉体を使ってなかっただけに「やりたい」っていう欲求はあったんですよ。で、実際に叩いてみたら、やっぱり自分のドラムはPLAGUESのドラムだったし。
──そのPLAGUESのドラムっていうのは?
後藤 なんていうのかな。やっぱり他で叩いたりレコーディングするのとはまったく違うんだよね。
深沼 もうそれなりに音楽のことわかってるはずなんですけど、そのへんほんと説明できない感覚があって。同じセッティングで同じようなコードを弾いても確実にある。PLAGUESの音とかタッチとかあるんだなあと思って。今さらながらそう思いますね。
DISC 1
- ヴィルヌーヴに憧れて
- ニューホライズン
- プルメリア・レイ
- ライド・ライド・ライド
- ワンダー・ワンダー
- スピン
- ブルーズ・フロム・ザ・バスルーム
- 最後のハイウェイの夢
- シトロエン幻想
- ファントムガルシア最後のレース
- ハイビスカス
- すれちがうだけ
- リアル・シング
- どうしようもない世界、寛容な僕ら
- スープ・アップ・バグ
DISC 2
- 凱旋門
- ハッピー・プレイス
- フローズン・ビーチ
- シルバー・チップス
- グッド・ムーン・ライジング
- 音速の箱庭
- ヘイ・ミスター・ドリーマー
- トゥモロウズ・ソロウ
- 1000マイルの彼方で
- グライダー
- まっぷたつの僕
- カリフォルニア・ソロウ・キング
- トランキライザー・ガン
- ワンダリン
- 錆びたワゴンは旅路の果てに
PLAGUES(ぷれいぐす)
深沼元昭(Vo,G)、岡本達也(B)、後藤敏昭(Dr)の3人により1990年に結成。1993年にインディーズより2枚のアルバムをリリースし、1994年にアルバム「シナモン・ホテル」でメジャーデビュー。1996年発売のメジャー3rdアルバム「センチメンタル・キック・ボクサー」がスマッシュヒットを記録する。翌1997年には日比谷野外大音楽堂ワンマンを含む全国16都市のツアーを成功させるが、その年の12月に岡本が突然バンドを脱退。その後は深沼と後藤の2人バンドとして活動を続けるも、2001年5月のインストアライブを最後にバンドとしての表立った活動を停止し、2002年2月に活動“休暇”を発表した。
約8年間の沈黙を経て、2010年春に突如活動再開を宣言。サポートベーシストに林幸治(TRICERATOPS)を迎え、5月に都内ライブハウスにて復活ライブを行った。また、このメンバーで当時の楽曲を再レコーディングしたベストアルバム「OUR RUSTY WAGON」を8月にリリースした。