ナタリー PowerPush - PLAGUES

8年ぶり活動再開! 深沼&後藤が明かすバンド秘話

ライブの圧迫感

──5月にはShibuya Milkywayで復活ライブも行いましたね。どうでした?

深沼 思ったよりもヘビーだったよね。あんなに大変だったかなって。

──深沼さんはずっと現役でライブをやってるのに?

深沼 いや、ぜんっぜん大変だった。あのね、PLAGUESの曲は体に厳しい(笑)。とにかくいろんなオカズとかキメとか多いし、声はハイトーンだしね。あとあの日のお客さんの盛り上がりもすごかったから、それを受け止めてたら最初の5曲目ぐらいでガス欠になって、「やばい!」と思ったね。「そんなバカな!」って(笑)。

インタビュー写真

後藤 最初ステージに出たところからもうお客さんの雰囲気が異常で「うわー、これやばい乗せられるなー」と思って、そしたらやっぱり最初の5、6曲でもう息絶えて。

深沼 あとから映像見たら力み過ぎだもん(笑)。技術的にも体力的にも問題ないはずなのに、お客さんの“気”と自分らの気合でここまで消耗するかと。

──あの日のライブは観てるこっちも消耗しましたからね。

深沼 でもぶっちゃけ全盛期含めてね、一番盛り上がってたと思いますよ。

後藤 ドラムはステージの奥にいるから、わりかし客観的でいられるんですよ。でもやっぱり5月のライブはすごかったですね。圧迫感が。

深沼 もうちょっと「おかえりー!」みたいなあったかい感じかと思ってたのに、みんな攻撃的すぎんのよ(笑)。

後藤 当時からライブ来てくれてた人は一緒に歳をとってるわけで、やっぱ温かく「おかえり」が妥当なところだと思うんだけど……。

深沼 それが全然違った! みんな「ウォー!!」って。中盤こっちもゼェハァしながら。面白かったけどね(笑)。

──林さんも消耗してました?

深沼 林くんはポーカーフェイスだけど終わった後にすごい疲れてた(笑)。

──でも林さんがいたからこそ、今回の活動再開が実現したというところもありますよね。

深沼 うん、ライブでもやっぱり林くんがいるから気合が入るっていうか、ちゃんとやんないとなって思うし。で、今までそんなに俺らの中でプライオリティが高くなかった曲が林くんが入ってすごく変わったり。

──例えば?

深沼 「スピン」とか(笑)。

──え、「スピン」って代表曲のひとつな気がしてたんですが。

深沼 いやいや。実はあんまりライブではやってないよ。あとは「ニュー・ホライズン」かな。「ニュー・ホライズン」はベースが変わって「あっ、これいい曲だな」ってすごく思った。

今後の展望

──PLAGUESの今後の活動はどうなるんでしょうか?

深沼 とりあえず5月にライブやってみて「どうなっていくのがわかんないのがバンドなんだな」って思った。俺はライブ1本やって「これで解散です」でもいいと思ってたんだよ。でも実際やってみてやっぱりライブが面白かったし、アルバムも作っててすごく楽しかったから、そういうふうに予定立ててできないのがバンドなんだなと思って。

──じゃあこれからの活動にも期待していいですか?

深沼 「ここから再結成してがんばってやっていきます!」とか、そういう気負いはないんだけどね。

──後藤さんも同じ気持ちで?

後藤 まあ簡単に言うとそうですね。当時音楽に対して考え過ぎてた部分があるだけに、今はやりたかったことを純粋に楽しめる気がするし。これからのPLAGUESのあり方としてはそこだけ貫いていければ。だから先がどうなるっていうのはあまり関係ないかな。

深沼 でもどうせやるんだったら、当時できなかったことをちゃんとやりきりたいっていうのは今回すごく思った。ライブやってても特に。もちろん当時もいいライブはたくさんあったと思うけど、でも今のような気持ちでできてたかどうかはちょっとわからないなあ。こんなに一生懸命「スピン」とかやったことあったかな。こんなに一生懸命8ビートを刻んだことがあったかなと(笑)。でも今だと「スピン」ってカッコいい曲だなとも思うわけですよ。いいバンドだなとすら思うわけですよ、自画自賛だけど。

──なんだか素直になりましたね。

後藤 そうそう! そういうことですよ!(笑)

深沼 そういうこと!

──昔のPLAGUESは少し肩肘張った、バンドとしての美学みたいなものが強かったと思うんですが、今はそこから自由になったというか。

深沼 そう、バンドの美学があるのはいいんだけど、その中に、普通にロックバンドとしてカッコいいっていう部分もなくちゃならなかったんだよね。

後藤 だけどやっぱりあの頃はそこにまったく目がいってなかった。

深沼 本当はそれも含めての美学だし、普通にリラックスして演奏するとか、そういうのが大事だったりするんだけどね。とりあえず今はPLAGUESを待ってくれてる人のために9月のツアーをがんばろうと思って。これからも長くやっていくかどうかはちょっとわかんないけど、求められるんであればやろうかなという気持ちはありますよ。

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ニューアルバム「OUR RUSTY WAGON」 / 2010年8月25日発売 / 3500円(税込) / LAVAFLOW RECORDS / DDCO-4004/5

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DISC 1
  1. ヴィルヌーヴに憧れて
  2. ニューホライズン
  3. プルメリア・レイ
  4. ライド・ライド・ライド
  5. ワンダー・ワンダー
  6. スピン
  7. ブルーズ・フロム・ザ・バスルーム
  8. 最後のハイウェイの夢
  9. シトロエン幻想
  10. ファントムガルシア最後のレース
  11. ハイビスカス
  12. すれちがうだけ
  13. リアル・シング
  14. どうしようもない世界、寛容な僕ら
  15. スープ・アップ・バグ
DISC 2
  1. 凱旋門
  2. ハッピー・プレイス
  3. フローズン・ビーチ
  4. シルバー・チップス
  5. グッド・ムーン・ライジング
  6. 音速の箱庭
  7. ヘイ・ミスター・ドリーマー
  8. トゥモロウズ・ソロウ
  9. 1000マイルの彼方で
  10. グライダー
  11. まっぷたつの僕
  12. カリフォルニア・ソロウ・キング
  13. トランキライザー・ガン
  14. ワンダリン
  15. 錆びたワゴンは旅路の果てに
PLAGUES(ぷれいぐす)

深沼元昭(Vo,G)、岡本達也(B)、後藤敏昭(Dr)の3人により1990年に結成。1993年にインディーズより2枚のアルバムをリリースし、1994年にアルバム「シナモン・ホテル」でメジャーデビュー。1996年発売のメジャー3rdアルバム「センチメンタル・キック・ボクサー」がスマッシュヒットを記録する。翌1997年には日比谷野外大音楽堂ワンマンを含む全国16都市のツアーを成功させるが、その年の12月に岡本が突然バンドを脱退。その後は深沼と後藤の2人バンドとして活動を続けるも、2001年5月のインストアライブを最後にバンドとしての表立った活動を停止し、2002年2月に活動“休暇”を発表した。
約8年間の沈黙を経て、2010年春に突如活動再開を宣言。サポートベーシストに林幸治(TRICERATOPS)を迎え、5月に都内ライブハウスにて復活ライブを行った。また、このメンバーで当時の楽曲を再レコーディングしたベストアルバム「OUR RUSTY WAGON」を8月にリリースした。