ナタリー PowerPush - ピコ
ネット発 “両声類”シンガーの魅力に迫る
ボーカロイド曲のおかげで成長できたと思ってる
──お話を聞く限りでは、ピコさんももともと高い声で歌えたというわけではないんですね。
はい。高音で歌う練習ばかりしてたら、知らない間に両声類タグが付けられてて。4年ぐらいそういう練習を続けて今の状態になった感じです。
──だんだん音域が広がっていって?
そうですね。自分の中では成長し続けてると思ってますし。自分の好きなことに関してはけっこう追求していくタイプかもしれないですね。興味のないことには本当に興味ないですけど(笑)。
──じゃあピコさんは、たまたまニコ動で注目されてメジャーデビューしたというより、ニコ動と共に成長してきたという意識が強い?
はい。ニコ動に育てられたというか。例えばニコ動ではボーカロイド曲を歌う機会が多かったんですけど、ボーカロイドの声はいい意味でクセが少ないですよね。それに対して自分のニュアンスや考えを込めながら、自分で作り上げた声を曲に乗っけていくのが面白くて。もともとボーカロイドが歌っていた曲なので誰の真似もできない。そういう過程を通して、自分の歌い方や方向性を確立できたし、ボカロ曲のおかげで成長できたって思ってます。オニキスさんを含め、ボカロPの皆様には感謝しています。
──メジャーデビューはやっぱり目標でしたか?
夢ではあったけど、夢のまた夢みたいな感じで、いずれは普通にサラリーマンになるのかなと思ってたんです。でもニコ動での活動を続けて、たくさんライブとかにも呼んでいただけるようになってからは、やっぱり叶えたい夢になったし、自分はこういう道でやっていきたいという目標になりましたね。
最近は料理カテゴリとゲーム実況を行ったり来たり
──最近もニコ動は観ていますか?
あんまり「歌ってみた」とかは観ないんですよね。週に1回観るか観ないかみたいな感じで。基本的にゲーム実況観てて。あと料理が趣味なんで、料理カテゴリとゲーム実況を行ったり来たりしてます(笑)。僕はニコ動界隈の流行なんかにも疎いほうなんで、ボーカロイドの話題はメールなんかで「こんなのありますよ」って教えてもらったりして。
──ニコ動での活動はこれからも続けていくんですよね?
ニコ生(ニコニコ生放送)は今もちょくちょくやってるんですけど、歌動画のアップも時期を見てやりたいと思ってます。
──そういえばニコ動で活動するようになったそもそものきっかけというのは?
大学の友達にニコ動を教えてもらってずっと観てて、親にも「こんなサイトがあるねん」って教えたんです。で、そうやって観てるうちに「歌ってみた」というのができ始めて、ゴムさんやJさんが活躍してて。僕がファンになったのがジギルさん、のど飴さん、どMさんとか。すごいなって思いながら観てて。で、あるとき母親に「あんたも音楽やってるんやからアップしてみたら?」みたいなことをチラッと言われて、じゃあやってみようかなと。その頃ちょうどhalyosyさんが「メルト」を歌ってて、それがすごく好きだったので自分も歌ってみたのが最初ですね。
──じゃあお母さんはもう全面的に応援してくれてる感じですか。
そうですね。もう「はよ行け!」みたいな感じで。
──今頃、シングルを親戚に配る準備とかされてますよきっと(笑)。
なんか地元の回覧板と一緒に僕のCDがぐるぐる回ってるらしいです(笑)。
ピコ
2007年12月より自分の歌を動画投稿サイト「ニコニコ動画」に投稿。その特徴的な歌声から「両声類」と呼ばれ、多数のファンを獲得する。2009年7月にインディーズより1stシングル「タナトス feat.ティッシュ姫」、同年9月に1stアルバム「INFINITY」をリリースし、2010年3月にはSHIBUYA-AXにてワンマンライブを実施。2010年10月にシングル「Story」でキューンレコードよりメジャーデビューを果たした。