ナタリー PowerPush - OBLIVION DUST
KEN LLOYD & RIKIJIが全アルバムを振り返る
OBLIVION DUSTが8月2日、3日に「6IX」と題したライブを東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行う。このライブは、これまでに発表してきた6枚のオリジナルアルバム(「LOOKING FOR ELVIS」「misery days」「REBORN」「BUTTERFLY HEAD」「OBLIVION DUST」「9 Gates For Bipolar」)から各3曲ずつ、年代順に演奏していくという特別な内容。今年4月11日に4年ぶりの新作「9 Gates For Bipolar」をリリースした彼らが、15年間のバンドの歴史を総括するようなライブを進行する。
今回ナタリーでは、KEN LLOYD(Vo)とRIKIJI(B)にインタビューを実施。このスペシャルライブを行うにあたり、過去6枚のアルバムを振り返ってもらった。今だからこそ話せる話題も多く、最近彼らを知った初心者のみならず、古くからのファンにとっても興味深いテキストとなった。
取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 高田梓
自分たちがどう成長したのかを再確認できるライブ
──今回のライブは過去に発表した6枚のアルバムから3曲ずつ演奏していくという、非常に面白い内容です。このアイデアはどういう過程を経て生まれたんですか?
KEN LLOYD(Vo) メンバーとスタッフが普通に集まって、ライブをやろうぜって決めただけ(笑)。で、ただ2日間やるんじゃなくて、ニューアルバムのツアーとは別メニューで、昔からのファンも新しいファンも喜べるようなことをやりたいねってことを話したんです。
──前回のツアー「Static Sound Tour 2012」でも過去の楽曲をかなり演奏してましたが、またそれとは違った内容になるってことですか?
KEN 今までは全アルバム均等の曲数っていうのはやってなくて、特に今回は古い曲から年代順に演奏していくんで、そういう意味ではバンドの成長の過程を楽しめるんじゃないかと。古い曲でも、もしかしたらこないだのアルバム「9 Gates For Bipolar」に入っていてもおかしくないじゃんって仕上がりになってるかもしれないね。
──確かに、昨年末のツアー「Roller Coaster Tour 2011」で演奏された1stアルバムの曲を聴いたとき、あまり古さは感じなかったです。
KEN 15年前の音って、今聴くと少し古く感じたりするじゃないですか。歌もつたないし。でも、今は機材面も演奏の技術面も向上してるし、俺の歌ももちろん上達してるから、昔は難しいと思ってたことでも今はすごく簡単にやれる。そういう意味で今度のライブは、自分たちがどう成長したのかを再確認することができるんじゃないかな。
1stアルバムを今聴くのは個人的に拷問な感じ
──今回のインタビューではこのライブにちなんで、6枚のオリジナルアルバムを年代順に振り返りつつ、当時の話を訊いていきたいと思います。まずは1997年6月発売の1stアルバム「LOOKING FOR ELVIS」から。当時はどういうサウンドを目指していたんですか?
KEN 目指してたわけじゃないんだけど、当時のメンバーはみんな洋楽が好きだったし、ロスでレコーディングしたのもあって、無意識のうちに英語詞で洋楽的なサウンドになってしまって。「売れるような曲を」っていうふうには考えず、とりあえずカッコいいものを作ることは目指してたかな。でも、シングル用の曲だけは日本語詞にしたんだけど、メロディもアレンジも洋楽的だからなかなか日本語詞がうまく乗らなくて。
──1stアルバムって、グランジ以降のアメリカンロックと90年代のイギリスのロックがミックスされたような印象がありますが、そこは意識的だったんでしょうか?
KEN 単純にプロデューサー(レイ・マクヴェイ)がイギリス人っていうのと、当時のベーシスト(デレク・フォーブス)がSIMPLE MINDSの元メンバーだったからかな。それにK.A.Z(G)もKILLING JOKEとかUKのバンドがルーツにあったし、俺もUK出身だから。でも、俺はイギリスの音楽よりもPEARL JAMとかNIRVANAとかが大好きだったから、そういう影響が出てたのかなと思ってます。
──どの曲もメロディが独特で、日本の情緒のあるメロディとも違うし、アメリカンロックみたいにストレートなものともまた違う。UKロックっぽくて独特な浮遊感があるのが、OBLIVION DUSTならではの魅力だと思いました。
KEN 自分でやってるから、そこはよくわかんないですよね。多分曲がもっとストレートだったら、もうちょいわかりやすいメロディになるのかもしれないんだけど。
──この時期はRIKIJIさんはまだバンドに加入する前ですが、「LOOKING FOR ELVIS」についてはどう思いますか?
RIKIJI(B) このアルバムの収録曲は、全部じゃないけど、ライブで演奏してたら好きになった曲も多くて。あと、意外とフレーズが難しい曲が多い。自分が参加してから作った曲は、手癖というか何も考えないで出てくるフレーズが多いから楽なんです。その分、1stの曲はちゃんと考えて弾かないと、ノリが変わっちゃう。
KEN 俺は1st、そこまで好きじゃないですけどね(笑)
──曲がですか?
KEN 曲もすごく良いとは思わないし、自分の歌もつたないから、今聴くのは個人的に結構拷問な感じ(笑)。3rd(アルバム「REBORN」)くらいから自分のやり方を見つけて、歌が安定してきたから、そのへんからは聴けるかな。ただ、1stは当時こういうサウンドをまだ日本でやってるバンドがいなかったから、客観的にはすごく良いアルバムかなって思う。
OBLIVION DUST Live 2012“6IX”
- 2012年8月2日(木)
- 東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 19:30 / START 20:00 - 2012年8月3日(金)
- 東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 19:30 / START 20:00
※ソールドアウト
料金:全立見 5000円(ドリンク代別)
「9 Gates For Bipolar」 / 2012年4月14日発売 / 3150円 / NAYUTAWAVE RECORDS / UPCH-20277
収録曲
- Gateway
- Tune
- Sail Away feat. 土屋アンナ
- Syndrome
- All I Need
- Devil's Game
- Ghost That Bleeds
- In My Rainy Field
- Sink The God
- Baby, It's All Good
OBLIVION DUST(おぶりゔぃおんだすと)
1997年にシングル「SUCKER」でデビューした、オルタナティブロックバンド。曲によって日本語詞と英詞を巧みに使い分け、生音と打ち込みを活かした独特なサウンドで人気を博す。2001年に一度解散するが、2007年にKEN LLOYD(Vo)、K.A.Z(G)、RIKIJI(B)により突然の活動再開。2008年には約7年ぶりのアルバム「OBLIVION DUST」をリリースし、ファンを喜ばせた。2009年に活動が再び停滞するが、2011年2月からライブ活動が活発化。2012年4月に通算6枚目のオリジナルアルバム「9 Gates For Bipolar」をリリースした。