日本におけるミクスチャー・ロックバンドの先駆けとして、90年代後半から独自のスタンスで活動を続けたOBLIVION DUST。2001年6月末に突如解散を発表し、9月にはラストライブを敢行。2007年の半ばまでは各メンバーがそれぞれのスタイルで音楽活動を続けていた。しかし、2007年9月に突然の復活ライブを開催。公演終了後には新作制作をアナウンスするなど、本格的な再結成を果たすことになった。

「ナタリー」では7年ぶりのニューアルバム「OBLIVION DUST」リリースにあわせ、KEN LLOYD(Vo)、K.A.Z(G)、RIKIJI(B)の3人にインタビューを敢行。再結成に至るきっかけから新作に込められた思い、そして今後の活動について話を聞いた。

「3人で集まって、5分後には『やろう』と」

KEN「2006年の秋に、FAKE?のリミックスをK.A.Zに頼んだんですよ。解散後はまったく会ってなかったんだけど、仕事をするにあたって何回か食事したり飲みに行ったりしてね。ひさしぶりにゆっくり話せて、昔の話をしてたら『OBLIVION DUSTっていいバンドだったね』『またなんかやりたいね』という話題になって。それがだんだんと『やるんだったら、どうなるのかな?』『こうしたいよね』という具体的な話になっていって」

K.A.Z「もちろん一度壊れたバンドだから不安もあったけど、6年経ってみんながどんな音を出すか、そういう部分にすごく興味がありましたね。解散したけど、バンドや曲、メンバーのことは好きだったから」

KEN「で、RIKIJIと3人で会わない?という話が出て、その年の年末に3人で集まって、5分後には『やろう』と。特に感動的な話はないんだけど(笑)、ただ単純にやりたかったんですよ」

RIKIJI「最初K.A.Zさんからメシに誘われて、その場でオブリの話を聞いて『いいっスよ』と即答しました。そこではまだKENには会ってなくて、それで『実はこの後KENと待ち合わせしてるんだよ』と言うから、ひさしぶりに会ったんですよ。『ひさしぶり。元気?』なんて挨拶してすぐに『話はK.A.Zから聞いたと思うけど』という話題になって。『じゃあ来年すぐにミーティングしよう』と、そういう感じで決まって、あとはテキーラショットをみんなで飲んで(笑)」

KEN「俺ら、なにかが決定したときは、かならずテキーラ(笑)。うまくいってないときは、そういうのがないからね」

KENはバンド解散以来、メンバーとは会っていなかった。ひさしぶりに会ってみて、以前と印象は変わってなかったのだろうか。

KEN「根本は変わってないと思うんですよ。でも俺を含めて、成長している感じはしたな。それは人間的にもそうだし、ミュージシャンとしてもそうだし、だからまた一緒にやりたいと思ったんです。それは他の2人も同じ考えだと思う。3人とも自分の意見が強くて、あまり譲らないし、イエス/ノーがはっきりしてるからいろいろぶつかったりしたけど、でもみんな昔のことを根に持つタイプじゃないから。だから6年ぶりに会っても、客観的に『昔はこうだったよね』と笑いながら話せるんだよね」

RIKIJI「まったくそのとおり。みんな大人になってるんだけど、変わってない。エゴが取れたのが一番大きいですね。話してるかぎりでは、ネガティブなところが消えてる。だから、飲んだときも楽しかったですよ。途中から覚えてないけど(笑)」

「不思議だけど、6年のブランクはまったく感じなかった」

6年ぶりにファンの前に姿を現したOBLIVION DUST。2日間行われたライブは、各日セットリストが異なる、これぞ「ベスト・オブ・OBLIVION DUST」と呼ぶにふさわしい内容だった。

RIKIJI「選曲はモメずに、すんなり決まりましたね」

KEN「多分そこが成長の表れだと思うんだけど、復活一発目だからファンの気持ちを考えて。自分たちの中では新曲をいくつかやりたい気持ちはあったんだけど、そこは抑えてグレイテスト・ヒッツ的な内容になったんですよ。曲に関しては話し合った記憶はあまりないかな。ブランクはあっても、この曲は聴きたいだろうなというのはわかってるから」

6年のブランクがあったにもかかわらず、ライブからはそういったぎこちなさは一切感じられなかった。むしろ、6年前からそのまま続いていたかのような錯覚に陥ったほどだ。

RIKIJI「やってるほうとしても不思議なんですけど、まったく違和感がなかったですね。半年ぶりくらい、へたすりゃ先月にライブやったんじゃないかってくらいの感覚なんですよ。なんの不安もなかったです」

KEN「K.A.ZやRIKIJIが横にいるのは不思議じゃなくて、むしろFAKE?でずっと一緒にやってきたサポート・ギタリストがそこにいることのほうが不思議だった(笑)」

勘を取り戻すというよりは、ごく自然に戻ってきたといったイメージだろうか。

KEN「スタジオでもそうで、みんな成長してるんだろうなとは感じるけど、基本的には今までどおりだった。サウンド面はK.A.Zが仕切って、その上で俺が好き放題に歌う。RIKIJIはRIKIJIでその間に入って、バランスを取る。だから、昔からそのまま続けてる感じ。ただ、ところどころ成長が見えたりするから、不思議な感じだよね」

RIKIJI「成長してないところもありますよ。まったくリハーサルを始めようとしないKENとか、ずっと楽器をいじってるK.A.Zさんとか。そういうところは変わってなくて、だからこそ自然にやれたんだと思うんですよね」

それは観ているファンも一緒で、6年前が昨日のことのように、自然に入っていくことができた。そんな『いつもどおり』に進んだ復活ライブからは、これまでとは違った印象も受けた。

KEN「やっぱり、お客さんから返ってくる『待ってました!』みたいな感触がすごかった。今まで感じたことがないくらいに熱いものが伝わってきましたね」

特にバンド後期は、ファンにもバンドの不安定さが間接的に伝わり、『解散するんじゃないか?』という空気がつねに漂っていた。そういう昔からのファンにとって、今回のライブは『これから始まる』という印象が強かったのではないだろうか。

KEN「オブリをカッコよくしてたのは、その危機感とか、ダークなイメージとか怒りとか、そういったエネルギーだったと思うよ。でも、今のこのバンドは、すごくポジティヴなエネルギーが流れてる。どっちも強いものだと思うけど、そういう意味では今は過去になかったような固い結束があって、よりバンドらしくなってる」

ライブ2日目の最後に、スクリーンにてアルバム制作についての発表があった。しかし、当日のMCでKENは2日だけの復活ではなく、本格的に活動してほしいというファンの声に対し『ヤダ!』と言い放った。

KEN「そういうところは変わってないから」

RIKIJI「ドSバンドだからね(笑)」

KEN「どのバンドでもそうだと思うけど、ファンって『次はこうくるだろうな』とか先を読みたがるじゃない? でも、オブリの場合はそれが素直に当たってほしくないという気持ちがあって絶対に復活しないだろうと思われていたバンドだったからこそ復活させたという快感もあるし。そういう意味ではつねに裏切っていきたいよね。活動にしてもサウンドにしても、先が読めるバンドにはなりたくないし、映画みたいにいつもどこかでビックリさせたい気持ちが強いんだよ」

そんな思いから、完全復活がアナウンスされたのは2日間のライブがすべて終了した直後。あの瞬間、会場には悲鳴にも近い歓声があがったが、その声はにステージを降りた3人には聞こえていたのだろうか。

K.A.Z「聞こえてた。俺『すごいな』って言ってたよ」

RIKIJI「俺は袖で観てたよ。オープニングでSEが流れてメンバーが登場するときよりも、声がデカかったもん。してやったりだよね(笑)」

ニューアルバム『OBLIVION DUST』2008年1月23日発売 / cutting edge / [CD+DVD]\3,600(税込) CTCR-14555/B / [CD]\2,800(税込) CTCR-14556

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CD
  1. Red Light Green Light
  2. Never Ending
  3. Haze
  4. When You Say...
  5. More Than That
  6. Daisy
  7. Man In The Sky
  8. Alone With Everybody
  9. The Ocean
  10. Microchipped
DVD

*2007.9.8&9に SHIBUYA-AXにて行われたLIVE "Resurrected"の9/9公演を全曲収録+[Never Ending]のMusic Videoを収録!!

-LIVE "Resurrected" 2007.9.9-

☆OPENING
☆NO REGRETS
☆PLASTIC WINGS
☆THERAPY
☆TRUST
☆COME ALIVE
☆WHICH HALF DO YOU OWN?
☆SELFISH
☆DISAPPEAR
☆BLURRED
☆CRAWL
☆30
☆S.O.S.
☆RADIO SONG
☆GIRLIE BOY IMITATION#6
☆DESIGNER FETUS
☆GOODBYE
☆YOU
☆OUTRO

-Music Video-
☆Never Ending

メッセージ動画
ツアースケジュール
  • 2008年2月4日(月)
    心斎橋CLUB QUATTRO
    open 18:00 / start 19:00
    一般問合せ:ソーゴー大阪 06-6344-3326
  • 2008年2月5日(火)
    名古屋ボトムライン
    open 18:00 / start 19:00
    一般問合せ:ジェイルハウス 052-936-6041
  • 2008年2月10日(日)
    恵比寿LIQUIDROOM
    open 17:00 / start 18:00
    一般問合せ:DISK GARAGE 03-5436-9600
    (平日12:00-19:00)
  • 2008年2月16日(土)
    Shibuya O-East
    open 17:00 / start 18:00
    一般問合せ:DISK GARAGE 03-5436-9600
    (平日12:00-19:00)