ナタリー PowerPush - MONOBRIGHT

5人体制初のフルアルバム「ACME」完成! 果たしてバンドはどう生まれ変わったのか?

リミッターを完全に取っ払った状態

──アルバムを聴いて非常に面白かったのは、ヒダカさんがプロデューサー的な目線でかかわったことによってMONOBRIGHTのとっ散らかった要素が整理されるのかな、と思っていたら、その逆だったことだったんです。いい意味で、余計にとっ散らかっている。音楽の引き出しを次々に開けていくようなアルバムだと思うんですよ。

インタビュー風景

桃野 感覚的には「もっと極端にやろう!」ということなんですよね。もともと僕ら4人は「ハミ出し感」を持ってやってたつもりだったんですけれど、ヒダカさんに言われたのは「まだまだハミ出てない」ということで。だからスイッチを解放する感じはすごくありました。「もっと行け!」ということを言ってもらって、「どんなにやっても、このメンバーでやればMONOBRIGHTらしさは失われないから」って。思い切ってやることで、いびつさも強調されるし、ポップさも強くなる。あらゆる要素が全部強力になっているというのが、「ACME」の“絶頂感”につながってると思いますね。

ヒダカ 確かに、リミッターがないよね。

桃野 完全に取っ払った状態ですね。

ヒダカ 例えば全部2ビートの曲をやったところで、MONOBRIGHTがメロコアバンドになったと思う人は、きっといないんですよ。そういう確信があって。逆に「メロコアバンドになっちゃった」って思われてもいい、ってくらいのことをやる。そういうハミ出し感ですね。さっき言った“21世紀のリテラシー”に照らし合わせてみれば、逆にそっちに行ったほうが面白いという気がするんで。

お客さんにいじられてナンボ

──ヒダカさんの言う“21世紀のリテラシー”って、なかなか面白い話だと思うんですけど。それはどういうことなんでしょう?

ヒダカ お客さんにいじられてナンボみたいなことですよね。もっとツッコんでもらいたいというか。「なんだこれ、メロコアじゃねえか!」って言われてもいい。音楽的なスキルが高い人ほど、そういうことをやったほうがいいんですよ。MONOBRIGHTはまさにそういう人たちだし、そこから音楽上のコミュニケーションが始まるわけだから。そういうことはずっと思ってましたね。

出口博之(B) 自分たちとしてはツッコミどころだと思ってるところが、実はお客さんになかなか伝わってなかった。そういう温度差は感じてたかもしれないですね。

松下省伍(G) ヒダカさんにメンバーに入ってもらったことで、その伝え方を教えてもらったという。

ヒダカ やっぱり、20代のバンドって内弁慶になりがちなんですよ。ライブだとクールな人たちって思われちゃいがちで。だから、まずは「ツッコんでいいんだよ」ってのを知らしめたかったんですよね。隙だらけな20代の若者ですから。

僕らがやりたいのは、バンドの面白さでメジャーで勝負していくこと

インタビュー風景

──アルバムのリード曲「WONDER WORLD」はヒダカさんの作曲です。これをリード曲に選んだというのは、非常に挑戦的だと思うんですよね。この意図は?

桃野 5人でやってるMONOBRIGHTを見せたいと思ったんです。ヒダカさんにもガンガン曲を書いてほしいし、日本語の歌詞を歌ってもらいたい。その象徴的な曲だったんです。

ヒダカ ただ、作曲のクレジットは俺ですけど、それはたまたまメロディを書いたのが俺だっていうだけで、実際は5人でセッションで作った感じですね。基本、全員で曲を作ってるんですけれど、この曲はその感じが一番強い。

桃野 これからのMONOBRIGHTは、ヒダカさんが曲を書いて歌ってもいいし、まっつん(松下)が歌ってもいい。誰がメインをとって歌うかわからないくらいのバンドになりたいんです。もともとユニコーンにしても、THE BEATLESにしても、XTCにしても、僕が好きなバンドはそういうバンドだから。

ヒダカ たまたま「WONDER WORLD」が今回のアルバムの中で、そういう自由度の高い結晶だったってことです。

──この曲は5人のアレンジに必然性がありますからね。

松下 僕らとしてはMONOBRIGHTというキャラクターのイメージがあって、誰が脳で誰が手で誰が足かは、別になんでもいいんですよ。僕らがやりたいのは、バンドの面白さでメジャーで勝負していくこと。それが、たまらない快感。だから、いわゆる「MONOBRIGHTくん」というようなキャラをわかってもらって、それで一緒に楽しんでもらうのがバンドならではの魅力だと思うんですよね。

ニューアルバム「ACME」 / 2011年5月11日発売 / DefSTAR Records

  • 初回限定盤 / DFCL-1772 / 2730円(税込) / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 / DFCL-1773 / 2730円(税込) / Amazon.co.jpへ
初回限定盤CD収録曲
  1. 淫ピーDANCE (Instrumental)
  2. DANCING BABE
  3. NO CONTROL
  4. 宇宙のロック (淫ダストリアルver.)
  5. Timeless Melody
  6. 踊りませんか
  7. Pet
  8. 夜明けのバル
  9. スロウダイヴ
  10. COME TOGETHER
  11. miu
  12. WONDER WORLD
通常盤CD収録曲
  1. 淫ピーDANCE (Instrumental)
  2. DANCING BABE
  3. NO CONTROL
  4. Timeless Melody
  5. 踊りませんか
  6. Pet
  7. 夜明けのバル
  8. スロウダイヴ
  9. COME TOGETHER
  10. miu
  11. WONDER WORLD
MONOBRIGHT(ものぶらいと)

2006年、桃野陽介(Vo, G, Key)松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人で結成し、2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビュー。2010年2月には「DO10!!攻約宣言!」と題し、10項目に及ぶライブ・リリースプランを公約として発表。さらに同年11月、新メンバーとしてヒダカトオル(Vo, G, Key / ex. BEAT CRUSADERS)が加入し、ファンを驚愕させた。2011年5月に、5人体制で初のフルアルバム「ACME」をリリース。