ナタリー PowerPush - MONOBRIGHT
壮絶ライブレコーディングの裏側を語る
MONOBRIGHTが、5枚目となるアルバム「新造ライヴレーションズ」を完成させた。
ヒダカトオルが加入して5人組となった前作「ACME」に続き、新作では「全曲新曲のオリジナルアルバムをまるごとライブ録音する」という、日本ではほぼ初、世界的にもあまり例のない手法に挑戦。観客480人をコーラスや手拍子を担当する"メンバー"として迎え入れ、8月14、15日に新代田FEVERにてレコーディングライブを敢行した。
彼らは何故ライブによるアルバム制作にチャレンジしたのか? そしてMONOBRIGHTというバンドは一体どこを目指すのか? 5人に語ってもらった。
取材・文 / 柴那典 インタビュー撮影 / 上山陽介
「なんか面白くね?」っていうのが一番の判断基準
──まず最初に言っておかなければいけないのですが、我々ナタリー取材陣は今回のレコーディングライブに参加してしまいました。
桃野陽介(Vo, G) ははははは(笑)。じゃあもう、がっつりメンバーとして加入じゃないですか。
ヒダカトオル(Vo, G) ってことは、今回は取材じゃなくてメンバー同士の話し合いということで(笑)。
松下省伍(G) それ、ただの打ち合わせじゃないですか(笑)。
──(笑)。そういうわけで、まずは振り返っての話からじっくり訊かせてください。ライブレコーディングをやるというのは、そもそもどういうところから始まった話なんでしょうか?
桃野 前の「ACME」というアルバムを作り終えてツアーを回った後に、「さて、どうしよう?」ということになって。そこで浮かんできた話なんですよね。「ACME」は「絶頂」という意味で、まさにバンドにとって音楽の絶頂というものを前回のアルバムで表現した、と。そうすると、次はその絶頂を超えるものを作らなきゃいけない。それは何かっていうと……。
ヒダカ 死ぬしかない。
桃野 いやいや、死ぬじゃなくて(笑)。
──ははは!(笑)
桃野 そこでパッと閃いたのが、ライブハウスでアルバムを作って、そこに来てくれたお客さんを全員メンバーに入れてしまえばいいんじゃないかというアイデアだったんですよ。「ACME」はヒダカトオル加入後の初アルバムだったんですけど、音楽好きが1人加入しただけでこれだけ面白いアルバムができたなら、次はお客さんが全員加入してしまえば、音楽好きのエネルギーがグッと集まって、絶頂を超えるアルバムができるんじゃないかなっていう。
──それに、ほとんど誰もやってないことですしね。
桃野 そうそう。新たな挑戦っていう意味でもMONOBRIGHTにとってはすごくやりがいのある内容だったし、そこでの衝動っていうのが、何にも代えがたいすごく大きなエネルギーとして音に入ってくれるんじゃないかなという。
ヒダカ 実際、自分自身もBEAT CRUSADERS時代も含めて全然やったことなかったし。面白いチャレンジだし、すごくいいアイデアなんじゃないかと思いましたね。
──そもそもの話なんですが、今回の作品だけじゃなくて、MONOBRIGHTというバンドは基本的にきっちりとコンセプトを立ててから音楽をやりますよね。そういう意識って結成当時からあったんですか?
桃野 ありましたね。
ヒダカ 確かに、デビューした頃に白のポロシャツを着てたというのも、誰かに頼まれてやってたわけじゃないもんね?
桃野 あれもメンバーでコンセプトを立てて自発的に着てたわけで。
ヒダカ BEAT CRUSADERSがお面をかぶってたのはサラリーマンやってたから顔を隠さなきゃいけないっていう理由があったけど、そういうのじゃなくて、狙いとして共通点を作ってたわけで。
出口 そうっすね。無理やり共通点を作ってた(笑)。
松下 そこでまずは覚えてもらうっていうか。
出口 そもそも最初にMONOBRIGHTを結成したときも、それぞれ好きな音楽とか考え方の違う4人だったんですよ。でも4人集まったらなんか面白くね?っていうのがあって。「なんか面白くね?」っていうところがそもそもの始まりだし、それが今までやってきたことの一番の判断基準だったりするんですよね。
──なるほど。バンドのスタート時点で見せ方を考えてたんですね。そして、誰もやっていない何か面白いことをやろう、という。
桃野 そうですね。新しいことに挑戦するっていうのは、自分が音楽を好きになったきっかけの部分にも共通してるんですよ。音楽を好きになったのって、今まで感じたことのない新しい刺激をもらえるものだったからで。だから、僕らが作る音楽も聴く人にとって新しい何かが見えるものにしたい。そういう思いがすごく強いですね。
松下 あと、バンドというもの自体をお客さんに楽しんでもらいたいというところもあるんですよね。曲だけじゃなくて、集合体としてやってること自体を楽しんでほしいという。
ニューアルバム「新造ライヴレーションズ」/ 2012年10月10日発売 / DefSTAR Records
CD収録曲
- FUNKTOPIA
- E.Z.O.
- DEEP TRICK
- ハートビート
- SHOUT TO THE TOP
- 感情GUN, 薄情DIE
- アブラカダブラ
- ウォークウォークウォーク
- ソシアル
- ACTION!
- 旅立ちと少年3
初回限定盤ボーナストラック
- ゆあそう・びゅーちふる
- ココロニー
- ジャイアントステップ
ニューシングル「ムーンウォーク」/ 2012年11月7日発売 / DefSTAR Records
銀さん盤(DVD付き初回限定盤)CD収録曲
- ムーンウォーク
- 旅立ちと少年3(スタジオREC ver.)
- アンチ・ヴァイオレント・セクシー
- FUNKTOPIA(instrumental)
- ムーンウォーク(less vocal)
銀さん盤(DVD付き初回限定盤)DVD収録内容
- 「ムーンウォーク」ライブ映像(8/14@新代田FEVER)
- 「旅立ちと少年3」ライブ映像(8/14@新代田FEVER)
- 「ハートビート」ビデオクリップ
金さん盤(フルヴォリューム盤)CD収録曲
- ムーンウォーク
- 旅立ちと少年3(スタジオREC ver.)
- LET IT RIDE
- ムーンウォーク(LIVE ver.@新代田FEVER)
- ムーンウォーク(less vocal)
MONOBRIGHT(ものぶらいと)
2006年、桃野陽介(Vo, G)、松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人で結成し、2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビュー。2010年2月には「DO10!!攻約宣言!」と題し、10項目に及ぶライブ・リリースプランを公約として発表。さらに同年11月、新メンバーとしてヒダカトオル(Vo, G, Key / ex. BEAT CRUSADERS)が加入し、ファンを驚かせた。2011年5月に、5人体制で初のフルアルバム「ACME」をリリース。2012年10月にはライブレコーディングで制作したニューアルバム「新造ライヴレーションズ」を発表する。