ナタリー PowerPush - いきものがかり

いきものがかり、新章幕開け! 久々シングルの裏側に迫る

約11カ月ぶりとなるニューシングル「笑ってたいんだ / NEW WORLD MUSIC」をリリースするいきものがかり。昨年11月にこれまでの活動を2枚組ベストアルバムとしてまとめ、今年3月にデビュー5周年を迎えた彼らは、このタイミングを節目とし、新たなステージへ踏み出すことを強く意識したという。そんな思いを抱いて生み出された2曲は、それぞれにバンドとしての“革新”と“らしさ”を詰め込んだ痛快なアップテンポナンバーへと仕上がった。

7月23日・24日には「いきものまつり2011 どなたサマーも楽しみまSHOW!!! ~横浜スタジアム~」と題したスペシャルライブを敢行する彼らに、いきものがかりの新章を告げる本作の制作エピソードを訊いた。

取材・文/もりひでゆき

この区切りのあとにはちゃんと次へ進まなきゃいけない

──両A面となるニューシングルの2曲は、どちらも水野さんが作詞作曲を手掛けています。制作はいつ頃から手をつけ始めたんですか?

水野良樹(G) 順番としては「NEW WORLD MUSIC」のほうが早くて、今年の1月から2月に制作とレコーディングをしました。「笑ってたいんだ」は3月くらいからで、わりと長くやってたんですよ。4月か5月くらいまで。

──では時系列に沿って話を伺いましょう。「NEW WORLD MUSIC」はフジテレビ系「めざましテレビ」のテーマソングとして4月からオンエアされている楽曲ですが、いきものがかりとしては新しい雰囲気を感じさせますよね。

水野 そうですね。昨年ベストアルバムを出して、今年の3月にデビュー5周年を迎えたんですけど、そこでひとつ区切りがついたねっていうことは認識していて。さらにこの区切りのあとにはちゃんと次へ進まなきゃいけないなっていう気持ちが、年明け頃は特に強かったんですよ。そこで個人的には、やっぱりどんどん違うことをやっていったりとか、さらに幅を広げていかなきゃいけないっていう、いい意味でのプレッシャーみたいなものを感じていたりもしていて。普段はあんまり自分たちの置かれている状況を曲に反映させることはないんですけど、この曲にはそういう気持ちを強く反映させたんですよね。

──タイトルからして、そういう気持ちが込められているような。

水野 そのままズバリなんですけど(笑)。

山下穂尊(G, Harmonica) “曲出し会”でデモを一聴して、(水野が)そういう気持ちでいるんだなっていうのはなんとなく感じましたね。デビューから5年間、その前も含めると12年間の活動がベストアルバムを出すことでひと区切りついた感じがあったので、作り手としては新しいものを作りたいんだなって。元々、新しいことを楽しんでやるっていうのがバンドの欲求としてありますしね。

吉岡聖恵(Vo) 「めざましテレビ」のテーマソングっていう部分でも、今までだったら朝の番組っていうことで爽やかな、明るく抜けのいい方向に行っていたと思うんですよ。ストレートな感じで。でも今回はアレンジにしてもちょっとひねった感じもあるし、韻を踏んで遊んでるような歌詞になってたりもするし、そういうところでも新しさは感じましたね。

水野 「めざましテレビ」のお話がなければ「夜の歌かな!?」って聴いてもおかしくない感じですからね。結果として、番組にもうまくハマッてくれたので良かったです。

曲のイメージを蔦谷さんとしっかり共有できた

──蔦谷好位置さんをアレンジャーに迎えたのも“ニューワールド”に向けたトライですか?

山下 そうですね。お会いしたことは何度かあったんですけど、なかなかお仕事をお願いする機会がなくて。今回はタイミングがぴったり合ったのでお願いした感じです。「うまく新しいところに連れてってもらえるだろうな」って思ったので。決めだったり、リズムだったりっていうところで、すごく力をお借りしました。

水野 デモの段階から、この曲はとにかく4つ打ちでいきたいなっていう思いがあったんですよ。僕らがそんなことを軽々しく言うのもアレですけど、ダンスミュージックっぽいエッセンスが入ったら面白いなあ、なんて思っていて。蔦谷さんにお願いしたことで、そういうリズムがより強調される形になりましたね。ベースにしても、4つ打ちのリズムのベースはやっぱりこうですよねっていうものになったし。その他の音に関しても、今までのいきものがかりにはない音色をどんどん入れてくださいっていうお願いをしました。

──気持ちいいホーンがすごく印象的です。

水野 「じょいふる」でホーンを入れたことはありましたけど、ここまでホーン隊がメロディを奏でるっていうのは今までにやったことのない珍しいパターンではありますね。あとは吉岡の声をオートチューンで加工して楽器みたいに使ったりもしました。

吉岡 すごく新しい感じがして面白かったですね。歌ってても楽しかったです。イントロだけ聴くと「これ、いきものがかり!?」って感じもあるんですけど、最終的にはすごくハマッてるなあって思えました。蔦谷さんがすごく私たちのことを理解してアレンジしてくれたからでしょうね。

水野 うん。この曲のイメージを蔦谷さんとしっかり共有できたんだと思いますね。

ニューシングル「笑ってたいんだ / NEW WORLD MUSIC」 / 2011年7月20日発売 / 1223円(税込) / EPICレコードジャパン / ESCL-3720

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CD収録曲
  1. 笑ってたいんだ
  2. NEW WORLD MUSIC
  3. 笑ってたいんだ -instrumental-
  4. NEW WORLD MUSIC -instrumental-
いきものまつり2011
どなたサマーも楽しみまSHOW!!!~ライブ・ビューイング in シアター~

横浜スタジアムで行われる初のスタジアムライブの模様を全国の映画館および香港・台湾にて同時生中継!
オフィシャルグッズの販売も実施!

2011年7月24日(日)START 17:00

アーティスト写真

いきものがかり

吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(G)、山下穂尊(G, Harmonica)の3人組ユニット。1999年結成。当初は地元・神奈川での路上ライブを中心に活動し、2003年にインディーズで初CDをリリース。2006年に発売したメジャー1stシングル「SAKURA」がスマッシュヒットを記録し全国区の人気を獲得する。2007年3月には1stフルアルバム「桜咲く街物語」を発表。切なくて温かい等身大のポップチューンが老若男女問わず幅広い層から強い支持を集めている。2010年には初のベストアルバム「いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~」をリリースし、ミリオンセラーを記録した。同年秋からは初の全国アリーナツアーを敢行。こちらも大成功に終わり、ライブバンドとしても大きな成長を遂げた。2011年7月に約11カ月ぶりとなるニューシングル「笑ってたいんだ / NEW WORLD MUSIC」をリリース。同月23日・24日には初のスタジアムライブとなる「いきものまつり2011どなたサマーも楽しみまSHOW!!!」を横浜スタジアムで開催する。