Cornelius「Mellow Waves」PR

Cornelius|10年半ぶりのアルバムをより深く楽しむためのサブテキスト

Corneliusの10年半ぶりの新作「Mellow Waves」がついに完成。オリジナルアルバムとしてはひさしぶりだが、その間、Salyuのプロジェクト・salyu × salyuのプロデュースをはじめ、映画やテレビ番組のサントラ制作、高橋幸宏を中心にしたバンド・METAFIVEへの参加など、Cornelius=小山田圭吾はとどまることなく動き続けてきた。そうしたさまざまなプロジェクトからの刺激も受けながら完成させた本作は、メロディを重視した歌モノが中心になっており、サウンド面では2006年発売の前作「Sensuous」とは違ったアプローチを展開。坂本慎太郎が提供した歌詞や、イギリスのロックバンド・Lushのミキ・ベレーニ(Vo, G)の歌声もCorneliusの世界に新たな息吹を与えている。

このメロディに対するこだわりや、アルバムを包み込む“Mellow”なムードはどこから来たのか。アルバムの魅力を解き明かすべく、小山田に収録曲について1曲ずつ話を聞いた。Corneliusが切り開いた新たな世界をより深く理解するための手掛かりとして、このインタビューを読みながらアルバムを楽しんでほしい。

取材・文 / 村尾泰郎 撮影 / 寺沢美遊

目指したのは「グリッドじゃない世界」

──10年半ぶりの新作ですが、前作「Sensuous」以降、レコーディングは断続的に行われていたんですか?

うん。アルバムに入っている曲で一番古いのは「Mellow Yellow Feel」っていう曲で2012年くらいに作った。「夢の中で」もその頃の曲。新しい曲を作り始めたのがそれくらいだったと思う。

──作った曲が、そのときにやっていたプロジェクトの曲に発展していくこともありました?

けっこうあったね。METAFIVEとか攻殻(映画「攻殻機動隊ARISE」「攻殻機動隊 新劇場版」)とか。CM曲にもなったし。

──そんな中で、新作の方向性が見えてきたのはいつ頃ですか?

2年ぐらい前かな。曲が貯まってきて、方向性がなんとなく見えてきたのがそれくらいで、去年の年末から詰めていった感じ。

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──最初から歌モノが中心になりそうな予感はありました?

曲を作り始めたときからなんとなく歌モノっていうのは意識してたけど、ほかのプロジェクトをやっていくうちに方向性がはっきりしてきた。いろんなことをやってきたけど、歌モノって最近やってなかったしね。ここ数作で声を組み合わせて現代詩みたいな感じの曲を作ったりもしたけど、今回はそういうのじゃなくてメロディを聴かせる曲をやってみようかと。

──「Point」(2001年発売)から「Sensuous」(2006年発売)に至る中で、音を点として捉えてモザイクのように曲を構築するという手法を追求してきましたが、また違うアプローチをやってみようと。

そういう手法をやり切った、という気持ちもちょっとありつつ、もっと違う要素が欲しくなった。グリッドじゃない世界と言うか、面とか線とか曲線みたいなもの。鳴っている音の中に不確定要素が入ってきたり。

──その線とか曲線が“Wave(波)”でありメロディなわけですね。タイトルにある“Mellow”っていう感覚は最初から意識していたんですか?

ぼんやり意識はしてたけど、それがどういう感覚なのかは明確じゃなかった。いろんなテンションの曲を書いて、ちょっとテンションが高い曲はMETAFIVEや攻殻に使ったり、いまいちしっくりこなかったらこのアルバムから外したり。その結果、アルバム用に残った曲に共通するものを考えたときに、“Mellow”と“Wave”の2つの要素が思い浮かんで。文字をつなげてみたら字面が波っぽいと思って、このタイトルにしたんです。

01. あなたがいるなら

──意識はしていないものの、どこかでメロウな気分を感じていたわけですね。それは何か原因があったわけではなく、自然な成り行きで?

たぶんそう。中年が深まってきた感と言うか(笑)。

──メロウな年頃になったと(笑)。ここからは各曲について話を伺っていきたいのですが、オープニング曲「あなたがいるなら」は坂本慎太郎さんが歌詞を手がけています。最近、坂本さんが歌詞を書いて小山田さんが曲を書く、というコラボレーションが多いですね。

salyu × salyuのときからなんだけど、坂本くんにやってもらったものが全部気に入ってるので、僕も自分ので頼んでみようかなって。

──歌詞を依頼するとき、曲のイメージや歌詞の方向性について2人で何か話をしたことはありました?

このときは珍しくあったんだよね。坂本真綾さんの曲(坂本真綾が歌う「攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE」の主題歌「あなたを保つもの」「まだうごく」。作詞を坂本、作曲を小山田が手がけた)の歌入れのときに坂本くんが来てくれて。そのとき、坂本くんに「小山田くん、ブルースロックやったほうがいいよ」って言われたんだよね。「ブルースロックかあ……」って思ったんだけど、そういう僕がやらなそうなものというか、エモーショナルな感じなものは面白いかも、と思って。そこから「ラブソングをやったら面白いじゃん」って話になって、それを持ち帰って曲を書いて坂本くんに歌詞を頼んだんです。

──なるほど、ブルースロックですか。それでギターを弾きまくってるんですね。

ちょっとチョーキングしたりしてね(笑)。こういうギター、自分の作品でやったことがなかったけど、ぎりぎりアリの感じで演奏できたと思う。この手のロック系ギタリストが絶対弾かないようなフレーズを混ぜたりしながら。

──歌詞がまた坂本さんらしいですね。ラブソングだけどすごく冷めてる。

僕が歌っても違和感ない歌詞になってるよね。たぶん、坂本くんが自分で歌うんだったらこういう歌詞は書かなかっただろうし、僕も自分で歌うんならこういう歌詞は書けないし。そういう絶妙な距離感がある。すごい普遍的なラブソングなんだけど、「あなたが いるなら この世は まだましだな」っていうフレーズなんて坂本くんっぽいって思う。

02. いつか / どこか

──「いつか / どこか」は小山田さんの作詞ですが、坂本さんの歌詞の世界に通じるものがありますね。穏やかな虚無感というか。

「結局、みんな死んじゃう」みたいな(笑)。

──坂本さんが書いた次の曲「未来の人へ」に通じる世界です。

坂本くんも僕と同世代だし、お互い中年感が深まってる感じ(笑)。去年、デヴィッド・ボウイとかプリンスとか子供の頃に憧れてた人が死んだりしたし、この歳になったら身の回りの人が死んだり病気になったりすることが多くなってくるじゃない? そういう感じが歌詞に出てるよね。遠くのほうに死が見えてきちゃったみたいな。

──世界が終わるとかじゃなくて、自分の体が滅びていくという実感が。

うん。そういうリアルな感覚。だんだん目が見えなくなってきたとか。

──クライマックスで曲のテンションが高まっていくあたりは「死が迫って来た!」という感じもしますね(笑)。

これはね、「ライブであんまりまったりしすぎるのもな」と思って。今回のアルバムはまったりした曲ばっかりでしょ。1曲くらい歪んだギターでソロを弾いたりするのもいいかなと。

──「Point」や「Sensuous」ではアルバムのクライマックスで爆発していましたが、今回は早めに出てきましたね。

次のアルバムにはなくなるかもしれないけど(笑)。

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03. 未来の人へ

Cornelius「Mellow Waves」
2017年6月28日発売 / ワーナーミュージック・ジャパン
Cornelius「Mellow Waves」初回限定盤

[CD]
3024円 / WPCL-12660

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収録曲
  1. あなたがいるなら [If You're Here]
  2. いつか / どこか [Sometime / Someplace]
  3. 未来の人へ [Dear Future Person]
  4. Surfing on Mind Wave pt 2
  5. 夢の中で [In a Dream]
  6. Helix/Spiral
  7. Mellow Yellow Feel
  8. The Spell of a Vanishing Loveliness
  9. The Rain Song
  10. Crépuscule
Cornelius Mellow Waves Tour 2017
  • 2017年10月9日(月・祝)新潟県 新潟LOTS
  • 2017年10月11日(水)宮城県 Rensa
  • 2017年10月13日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年10月14日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年10月19日(木)香川県 高松festhalle
  • 2017年10月21日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2017年10月22日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2017年10月25日(水)東京都 新木場STUDIO COAST
  • 2017年10月26日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
  • 2017年10月28日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2017年11月3日(金・祝)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年11月4日(土)福岡県 DRUM LOGOS
Cornelius(コーネリアス)
Cornelius
小山田圭吾によるソロユニット。1991年のフリッパーズ・ギター解散後、1993年からCornelius名義で音楽活動を開始する。アルバム「THE FIRST QUESTION AWARD」「69/96」は大ヒットを記録し、当時の渋谷系ムーブメントをリードする存在に。1997年の3rdアルバム「FANTASMA」、続く4thアルバム「POINT」は世界21カ国でリリースされ、バンドThe Cornelius Groupを率いてワールドツアーを行うなどグローバルな活動を展開。2006年のアルバム「Sensuous」発売に伴う映像作品集「Sensurround + B-sides」は米国「第51回グラミー賞」最優秀サラウンド・サウンド・アルバム賞にノミネートされた。現在、自身の活動以外にも国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広いフィールドで活動を続けている。2016年1月には、高橋幸宏、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井と共に結成したバンド・METAFIVEが初のアルバム「META」をリリース。2017年6月には、Corneliusとしての10年半ぶりのオリジナルアルバム「Mellow Waves」を発表した。