ナタリー PowerPush - coldrain

海外レコーディングで到達した ネクストレベルのラウドロック

同期を加えても今ならバンドのスタイルはブレない

──今回は日本である程度作ってから持っていった曲のほかに、現地で新たに作った曲もあるそうですね。日本で作っていった曲とアメリカで作った曲とでは、何か違いはありましたか?

Y.K.C(G)(「MONSTER ENEGY OUTBURN TOUR 2013」より)

Y.K.C もともと日本で10~11曲くらい作って向こうに行ったんですけども、アメリカで2、3日生活している間にそこで受けたインスピレーションから新たに2、3曲できて。それらは打ち込みを同期させたアレンジを取り入れた曲で、今回向こうでいろんな影響を受けて最初から同期ありきで曲を作ってみようと思ったんです。

──日本で作った曲では試してみなかったんですか?

Y.K.C 日本から持っていった曲でも試したけど不自然というか、取って付けたような感じになってしまって。きっと向こうはそういった曲が生まれやすい空気感だったんでしょうね。そのへんの違いは感じました。

──打ち込みを同期させたアレンジはすごく新鮮でしたし、今までのcoldrainにはなかった色合いを感じました。

Y.K.C バンドとしては別に「打ち込みはなし」だったとかそういうことじゃなくて、以前は自分たちがそれを操れるだけの創造性や技術を持ち合わせてなかっただけで。今回決して簡単ではなかったけど、1曲試したらいい感じになって、じゃあ別の曲でも試してみようと。生楽器だけでは出せない色合いを足すことができたと思います。

Masato こういう電子音を取り入れるバンドが近年すごく増えて、そこに軸を置いたバンドもいて。それもあってcoldrainとしてはちょっと距離を置いてた部分もあるんです。でも今なら曲に同期アレンジを加えたところでバンドのスタイルがブレるわけでもないし、今まで培ってきた土台があるから今回新しい武器として取り入れることができたのかな。そういう意味ではバンド内で誰も違和感を覚えてないし、そこはすごくオープンだった気がしますね。

──実際にすごく自然でしたよ。打ち込みがなくても曲としてちゃんと成立するし、入ったら入ったで新たな味付けになってるし。実は打ち込みを取り入れるのは今回が初めてだってことを忘れてたくらい、自然に溶け込んでいたと思います。

Y.K.C それは狙い通りですよ(笑)。

技術的な面よりも気持ちの面でアドバイスを受けた

──リズム隊のお2人に聞きたいんですが、レコーディングの際に演奏についてデビッドから「こうしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスをもらうことはありましたか?

Katsuma(Dr)(「MONSTER ENEGY OUTBURN TOUR 2013」より)

Katsuma(Dr) 今回はどちらかというと、技術的な面よりも気持ちの面についていろいろアドバイスを受けました。デビッドが過去にプロデュースしたBREAKING BENJAMINのドラムの人(チャド・スゼリガー)をスタジオに呼んでくれて、いろいろアドバイスをもらったり。あとはレコーディングに苦戦した曲で、僕が気持ち的に下を向いちゃってたら、いきなりデビッドがギターを弾けないのにレコーディングのガイドギターの弾き真似を始めて「俺を見ながら叩け」って言うんです。で、その通りにやってみると、デビッドはずっとニヤニヤしながらこっちを見てギターを弾く真似をしてるんですよ。それを見てたら俺、だんだん面白くなってきちゃって、結果としてわりと冗談ぽい感じで叩いたそのテイクが一番よかったんです(笑)。

RxYxO(B) とにかく楽しめっていうスタンスだったよね。

──音楽をプロデュースするだけじゃなくて、バンド全体の空気や雰囲気も演出したと。

Katsuma ええ。でもそれは(「Through Clarity」に続いて)2回目だからっていうのも大きいと思うんです。

──RxYxOさんは今回のレコーディング、いかがでしたか?

RxYxO(B)(「MONSTER ENEGY OUTBURN TOUR 2013」より)

RxYxO 前回初めてアメリカに行ったときに、音楽に対する意識をデビッドに変えられたというか。例えばベースプレイ1つ取っても、以前はギターとのユニゾンが多かったんですけど、デビッドから「お前はもっとベースを弾け」と言われたことで帰国してから自分の中で意識が変わって。ベーシストとしていろいろ考えてなかったわけではないんですけど、今回は曲のクオリティも雰囲気もネクストレベルに到達してるんで、表現として今までとは違った面を見せたいと思ったんです。そこに関してはデビッドからの影響が強くて、実際すごく楽しんでやれたなと思ってます。

──「Next To You」でのドラムとベースが絡み合うようなアレンジは、聴いていてすごく気持ちよかったです。

Katsuma 「Next To You」は作曲段階からこういうアプローチをするぞと言ってたんです。

Y.K.C あの曲はオープニングのリズムが超無機質ですけど、Katsumaのドラムの音を加工して作ったものなんです。こういうちょっと機械的なイントロから始まって、途中からKatsumaのドラムとRxYxOのベースが絡み合うことで人間味が加わる。ただの打ち込みっぽい曲にしたくなかったのもあって、2人の生み出すグルーヴが前に出たアレンジにしたんです。今よかったと言ってもらえたのは、その意図がちゃんとうまく伝わったんだなという気がしてます。

ニューアルバム「THE REVELATION」 / 2013年4月17日発売 / 2500円 / VAP / VPCC-81765
ニューアルバム「THE REVELATION」
収録曲
  1. The War is On
  2. The Revelation
  3. Falling Forever
  4. Behind The Curtain
  5. Next To You
  6. Time Bomb
  7. Voiceless
  8. Chasing Dreams
  9. Given Up On You
  10. Carry On
coldrain(こーるどれいん)

2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞と、メロディアスパートと過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビュー。2012年にはデビッド・ベンデスをプロデューサーに迎えたミニアルバム「Through Clarity」をリリースし、オリコンCDアルバム週間ランキングで過去最高の14位を記録した。また同年夏には「SUMMER SONIC 2012」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」「MONSTER baSH 2012」といった国内フェスや韓国の「PENTAPORT ROCK FESTIVAL 2012」に出演し、大反響を呼んだ。2013年4月に約2年ぶりとなるフルアルバム「THE REVELATION」を発表する。