Crystal Lake「HELIX」 PR

Crystal Lake「HELIX」発売記念 Ryo(Crystal Lake)×Masato(coldrain)×Koie(Crossfaith)|「自分たちのやってきたことを文化にしなきゃいけない」ワールドワイドに活躍する“3C”が生み出し、受け継ぐヘヴィミュージックの遺伝子

Crystal Lakeが2年ぶりのフルアルバム「HELIX」を11月28日にリリースした。本作は主催フェス「TRUE NORTH FESTIVAL」を2年連続で東京・新木場STUDIO COASTで行ったり、海外ツアーを回ったりと、精力的に活動した彼らの成長が詰まった1枚に仕上がっている。

音楽ナタリーでは本作の発売を記念して、Ryo(Vo)、coldrainのMasato(Vo)、CrossfaithのKoie(Vo)の鼎談を実施。互いにワールドワイドに活躍する3組に、国内外でのヘヴィミュージックの現在の傾向や、その中で見えた自らの戦い方などを語り合ってもらった。

取材・文 / 矢島大地 撮影 / 後藤壮太郎

日本人ならではの歌心が武器

──ヘヴィな音楽性、ワールドワイドな活動、2000年代中盤に洋楽・邦楽の概念ごと飛び越えようというオルタナティブな価値観を持って登場した世代。共通するところはたくさんある3バンドなんですが、だからこそ最初に、お互いの音楽性に対する印象から伺いたいと思って。

Koie(Crossfaith) いきなりそんなに核心的なところ聞きます!?(笑)

Ryo(Crystal Lake)

Ryo(Crystal Lake) ははははは(笑)。coldrainもCrossfaithも、ほかに見当たらないことをやっているバンドだと思っていて。それは何かって言うと、いい意味での日本っぽさがメロや曲構成に出ているんですよね。僕らもcoldrainもCrossfaithも日本だけじゃなく世界で戦ってますけど、そこでも結局は日本人でしか作れない部分が受け入れられてる気がしていて。Crossfaithがへヴィミュージックにエレクトロミュージックを導入する感じもほかにはないし、coldrainのメロディも、ダークだけどメジャー感がある。そのミクスチャー感と湿った感覚は日本ならではだと思います。

Masato(coldrain) でもさ、これはCrystal LakeにもCrossfaithにも言えることだけど、出会った頃はただただパンチ勝負だったと思うんですよ。Crossfaithで言ったらハイパーな音にさらにハイパーな要素を組み合わせていたし、Crystal Lakeだったらメタルとハードコアの一番極端なところをやっていて。だけど歳を重ねるごとに、Crystal LakeもCrossfaithも深みと色が付いてきたなあって思うんだけど。

──それは具体的にはどういう部分を見て思うことですか?

Masato もともとは海外で「日本人、どんなもんだよ」って見方をされていたということすらも、日本人ならではのアドバンテージになり始めた時期だと思うんですよ。そもそも俺たちみたいにヘヴィな音楽は日本でも壁を作られて、そこで戦ってきたわけで。そういう経験を持って海外に行ってみると、そこには人種の壁しかなくて、音楽の壁はなかったんですよね。極端なことを日本のシーンで貫いてきたからこそ、最終的には音楽に対するパッションで伝えられるんだっていう実感を持てている3バンドな気がする。

Koie そうやな。それこそMasatoが特にそうやけど、日本人としての歌の幅は間違いなく武器になっていると思ってて。もともとシャウト一本で始まったのがCrossfaithとCrystal Lakeだったと思うけど、曲や作品を重ねるたびに歌心が増していってる。歌が好きであるというのは間違いなく日本のバンドとして持っている武器やと思うし。

海外に飛び出して見えたこと

──まさにそうですよね。時代的にも、その国々で純粋培養された音楽の独自性を寛容に受け入れようという向きが強まっていると思っていて。そういう世界で戦ってきた結果、日本人として鳴らせる音楽、そしてそれが武器になると自覚されてきた2、3年がそれぞれにあったんじゃないかと思うんですが。特にCrystal Lakeの新作「HELIX」はかつてなくハードコアもメタルもラップも振り切れた形でごった煮された作品ですし、それぞれがそれぞれの立ち位置に自覚的になってきたここ数年を象徴する自由さを感じました。

Ryo 俺らとしては、ようやく今年の春にヨーロッパでツアーを回れて、そのうえで「やってきたことは間違ってなかった」って実感できたことが大きかったんですよ。どういうことかと言うと、貫いてきたヘヴィな音楽が海外でもちゃんと響くんだとツアーで確認できたんです。例えば「ラウド」って同じくくりで語られがちなこの3バンドで言っても、それぞれミックス具合も特徴も全然違う。その中で「俺らの強みは何なんだ」って考えてみたら、極端なくらいヘヴィであることだなと。そういう特徴と武器が今までで一番自然な形で出てきたと思うんですね。

──具体的に言うと、ヨーロッパツアーのどういう部分で、その武器や特徴の部分を自覚できたんだと思います?

Ryo 日本で言うと、どうしても俺らみたいにヘヴィな音楽はワイワイ騒げるものとして捉えられる向きがあって。だけど海外だと、もともとヘヴィな音楽が好きな人たちの土壌がある。騒げるかどうかじゃなくて、本当にこういうヘヴィな音楽が好きな人たちが受け入れてくれた実感があったんですよ。海外はそれぞれの土地にシーンがあって、その独立したシーンの人たちがウェルカムな状態で聴いてくれたっていうのはすごく自信になりましたね。今までは意図的に「ここはキャッチーにしよう」とか、「ここは言葉を減らして歌いやすいようにしよう」とか、日本のリスナーに対して考える部分があったんですけど、海外でのツアーを経たことで、言語や言葉数とかとは関係ないところで人は歌ってくれるんだとわかったんです。そういう現場を見て、無理せず自分から出てくる歌こそが一番受け入れられるんだなって改めて実感したんですね。だから、自然な形で自分を表現すること、感情を乗せて歌うことだけに集中しようと思えて。

Masato(coldrain)

Masato 例えばこれまで日本から海外へ出て行ったアーティストの多くは、どこかが極端だったと思うのね。THE MAD CAPSULE MARKETSのデジタルの混ぜ方も新しかったと思うし、DIR EN GREYやMUCCはヴィジュアル面も含めて新しかった。Crossfaithみたいにハイパーとハイパーを掛け合わせたバンドも、あるいはBABYMETALみたいにアイドルとメタルを混ぜた表現も新しかった。だから俺らが海外に出て行ったときにはすでに、新しいもの尽くしなのが日本のアーティストだっていうイメージが強烈に根付いてた。でもCrystal Lakeは海外の土壌ではもっとストレートに受け入れられてるんだろうなって気がしてて。

──あくまでストロングスタイルのロックバンドとして。

Masato そうそう。俺の場合で言えば、そういうほかのバンドの立ち位置や海外のシーンを見たときに改めて、やっぱりcoldrainっていうバンドの武器を最も生かす道として、王道でタイムレスなアルバムを作るべきだなって思ったんだよね。例えばcoldrainが「Warped Tour」を回ったときに実感したのは、今はとにかくパンチ勝負のバンドか、あるいは歌モノでもEDMの要素が強いバンドか、その2通りくらいしかいなくて。

──今や、海外ではEDMがポップミュージックの大きな要素になってますからね。

Masato そう。そういう状況を見ると、王道にロックをやっているバンドの位置付けが今なくて。だったら、今の世界で最先端ではなかったとしても、自分たちが影響を受けてきた音楽をどれだけ深く掘って王道にできるかなんだよね。それすらも海外では違和感として見られるけど、だけど音楽の聴かれ方としてようやく、ジャンルだったり洋楽や邦楽だったりっていう分け方もなくなってきてて。それによってもともとオルタナティブだった自分たちのやり方がだんだん受け入れられ始めた気がする。

Koie ほんまにその通りやと思ってて。俺はcoldrainとCrystal Lakeって職人やと思うねん。日本にはもともとヘヴィな音楽の土壌がなかった中で、それでも同じ金属をキンキンに叩きまくってとにかくとがらせてきたバンド。だから海外でも受け入れられるし、特にCrystal Lakeに対しては「なんでまだ海外行かへんの?」「海外のシーンでも突出したものを見せられるバンドやのに」って思って見ててん。Crossfaithはそれとは少し違っていて、国境があまり関係ないボーダレスな音楽をやっていると言うか、人が持っている原始的な「踊りたい」っていう感情を解放させるバンドやと思っていて。ロックフェスでもダンスミュージックのイベントでもアゲることができる戦い方……その意識に至ったのは、2014年にイギリスの「Download Festival」のメインステージに出たのが大きかったんやけど。前のほうにいる2000人、3000人を犯せばいいんじゃなくて、そこにいる全員を犯すためにどうしたらいいのか?って考えたことが、今の音楽性につながってると思うかなあ。