ナタリー PowerPush - coldrain
海外レコーディングで到達した ネクストレベルのラウドロック
coldrainのニューアルバム「THE REVELATION」が4月17日にリリースされる。今作は昨年7月に発売されたミニアルバム「Through Clarity」同様にデビッド・ベンデス(PARAMORE、BREAKING BENJAMIN、KILLSWITCH ENGAGE、PAPA ROACHなど)をプロデューサーに迎え、アメリカでレコーディングされた意欲作。3カ月にわたる現地でのレコーディング中に生まれた楽曲も含まれており、これまで以上に濃厚でエネルギッシュなヘヴィロックを堪能することができる。
ナタリー初登場となる今回は、メンバー5人にインタビューを実施。2度目の海外レコーディングで得た手応えや世界的名プロデューサーとの作業で学んだことなどをじっくり語ってもらった。
取材・文 / 西廣智一
海外マーケットを意識している人と制作したかった
──今回のアルバムでは、前作を手がけたデビッド・ベンデスと再び一緒にレコーディングを行いましたが、これは前回手応えを感じたから?
Y.K.C(G) そうです。前回はアメリカに滞在してる期間内に6曲録り終えるのが精一杯で。「じっくりやったらもっと面白いものができるのにな」と感じながら帰国したのもあって、また一緒にやりたいなと思ってたんです。それにデビッドのようなプロデューサーは、日本だけで活動してたら出会えないような人で。例えば彼の視点は日本人の視点とは違っていて、常に海外のマーケットを意識している。そういう人とがっつり制作に取りかかりたいということをメンバー同士で考えてました。
Masato(Vo) 僕ら、今まで1枚のフルアルバムを通して同じエンジニアと一緒に作業していて。シングル(「Fiction」「8AM」)と1stアルバム(「Final Destination」)は同じエンジニアで、最初のミニアルバム(「Nothing lasts forever」)と2ndアルバム(「The Enemy Inside」)がまた別のエンジニア。で、今回もミニアルバム「Through Clarity」と同じ人(デビッド)っていう。出会って間もない頃にシングルやミニアルバムでcoldrainのことをわかってもらった上で、本チャンっていうかフルアルバムに挑んでもらうのがいいなと勝手に思ってるんです。デビッドも最初にミニアルバムを録ったときから「次のフルアルバムのときは、また一緒にやろう」みたいな話をしていたし、自然な流れだったと思いますよ。
──前回のレコーディングと比べて何か変わった点はありましたか?
Masato 終わってみて気付いたんですけど、デビッドの楽曲に対する口の出し方が前回とは違っていて、作品に対するまとめ方も前回とは違った気がします。やっぱり「Through Clarity」のときはデビッドがまだcoldrainのことをよく知らなかったから「とりあえずお前らの感覚に任せるよ」って部分が大きかったけど、今回は僕らも「将来は海外で活動したい」という考えを伝えて、「日本のファンや日本のマーケットのことを考えずに作ってみようよ」っていう話になって。それも大きいと思います。
いちリスナーみたいな感じで曲に接してくれる
──オフィシャルサイトでレコーディングのドキュメント映像が公開されていますが、皆さんがデビッドを前にして新曲を実際に演奏したり歌ったりしてみせるシーンが印象的でした。このようなやり取りを経て、このアルバムは完成したんですね。
Y.K.C 彼はたくさんのアーティストと一緒に仕事してきた経験を踏まえて、僕らの曲に対しても「そんな当たり前なことはやめて、もうちょっと今回の作品だからこその流れを作ってみないか」とか「この曲の雰囲気だったら、もっとこうしようよ」っていうことを言ってきて。例えばコード1つにしてもアコースティックギターで弾いたときのメロディの響きとか、そういった音楽的な深みを重視して作業を繰り返しました。
Masato 映像では僕らが楽器を弾きながら歌って曲を聴かせてますけど、実は事前にデモを渡してるんですよ。でもちゃんと聴いてくれないんですよね(笑)。で、1回歌ってみせたときに、その場で聴いた感想を言ってくれる。それでよかった曲は彼の頭の中に残っていて、よくなかった曲は次の日はもう覚えてないんです。いちリスナーみたいな感じで曲に接してくれるので、それは今までのレコーディングとの大きな違いですね。
──なるほど。
Masato しかも57、8のおじさんで、聴いてきた音楽の幅がものすごく広い。いろんな知識を持っているぶん、僕らが「今これが熱いんですよ!」みたいに訴えかけただけじゃ意見が通らないし、彼を納得させるためにはいろんな要素が揃ってないとダメなんです。
──例えばメロディについて「ここは日本っぽい」とか、そういうリアクションはありましたか?
Y.K.C なかったかな。メロディに関してはMasato自身そんなに海外だとか日本だとか、そこまで意識してやってないと思う。過去の作品でも「ここは日本っぽいメロディ」とかそういうことはあるけど、全体を通して「coldrainならではの感じにしたいね」とはずっと話してます。メロディに限らず、楽曲の頭から最後まで、いろんなところに自分たちならではのオリジナリティを織り交ぜたいんです。
収録曲
- The War is On
- The Revelation
- Falling Forever
- Behind The Curtain
- Next To You
- Time Bomb
- Voiceless
- Chasing Dreams
- Given Up On You
- Carry On
coldrain(こーるどれいん)
2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞と、メロディアスパートと過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビュー。2012年にはデビッド・ベンデスをプロデューサーに迎えたミニアルバム「Through Clarity」をリリースし、オリコンCDアルバム週間ランキングで過去最高の14位を記録した。また同年夏には「SUMMER SONIC 2012」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」「MONSTER baSH 2012」といった国内フェスや韓国の「PENTAPORT ROCK FESTIVAL 2012」に出演し、大反響を呼んだ。2013年4月に約2年ぶりとなるフルアルバム「THE REVELATION」を発表する。