ナタリー PowerPush - coldrain
海外レコーディングで到達した ネクストレベルのラウドロック
「ロックのスイッチ」を押すようなギタープレイをしたい
──ギターに関してはどうですか? 今回Y.K.CさんとSugiさんとの間で、プレイや音作りで意識したことはありましたか?
Y.K.C 僕に関しては今回打ち込みも作ってたので、そこのバランスはいろいろ確かめながら作業を進めてました。サウンドについては、楽曲がヘビーでダークかつディープなものだったので、ちょっとギターのレンジを落としてみたり、そういう工夫はしました。逆にSugiのギターについては、楽曲全体のうごめきを表現してほしかったので、特にフィーリングの部分で今まで以上に細かい注文もしました。
Sugi(G) 以前はクリックにあわせて弾いてたんですけど、今回はそれを打ち崩すいい機会にはなったかな。別にクリックに対してジャストじゃなくても、カッコいいものはカッコいいし。結局はリスナーの中にある「ロックのスイッチ」を押すようなギタープレイをしたいというか。
Katsuma やる気スイッチみたいな?(笑)
Sugi なんだろう……例えば酔っ払ってロックを聴いてたとして、気持ちよくなってきてエアギターとかやるじゃないですか。野性味じゃないんですけど、その感覚がやっぱりロックの原点なのかなと思って。そこをもっとこう強く出せたらいいなっていうのは念頭に置いて弾きました。
Y.K.C 特に今回はリズムギターが前に出る曲が多くて、ギターソロが乗ってきても曲の核になるのはSugiが弾くギター。そういう点では今までの作品以上にSugiのフィーリングが重要になってくるんです。
──Sugiさんのギターリフやリズムギターが核になっていて、そこにリズム隊やY.K.Cさんのソロ、Masatoさんのボーカルが加わることで、鈍器のように重いサウンドが作り上げられていく。その、バンドが一丸となっている感は過去の作品以上に出ていると思います。
Y.K.C そうですね。こういうグルーヴ、こういうフィーリングを表現したいんだってところに向かってみんなが演奏したから、そのベクトルがリスナーに伝わりやすいんでしょうね。
歌詞には少年が持つような衝動的な怒りが詰め込まれている
──歌詞については今回アルバムを作る際に、何か一貫したテーマはあったんですか?
Masato この制作期間は、個人的にはタイミングとしてはあんまりいい時期ではなかったっていうのがあって。そういう意味では怒りだったり悲しみだったりがすごく前に出た歌詞になってる気がするんです。僕は今26歳なんですけど、このアルバムの歌詞には16歳くらいの少年が持つような衝動的な怒りが詰め込まれて。ちょっと幼稚とかそういう言葉で簡単に片付けることもできるかもしれないけど、本能的な感覚で表現しただけなんです。純粋に真実を語っているという意味では、聴いてる人たちに共感されやすいのかもしれない。そういう部分に今回は重きを置いてるし、そこに向けて全部吐き出すことができたんじゃないかな。なので、いつもよりちょっと暗めかなという気がしてるけど、そのぶんリアルなものになったと思います。
──歌詞に込められた怒りはストレートに感じるんですけど、でもただぶつけるだけじゃなくて、そこから前進していこうっていうポジティブさが強く伝わってきます。
Masato 音楽って、例えば中身がどんなにネガティブなものでも、リスナーに対して何かプラスなものとして影響を与えることができると思うんです。僕は音楽を通じて何かを吐き出して、そこでの経験を現実の世界で生かそうと思ってる。そうやってプラスの方向に変えていこうという気持ちが表れてるのかもしれないですね。
Ozzfestでのライブは「戦うタイミング」
──アルバム発売後には全国ツアーも控えてますが、5月12日には「Ozzfest Japan 2013」という一大イベントへの出演も決定しています。「THE REVELATION」という邦楽 / 洋楽を意識させないカッコいいアルバムを作ったあとだけに、会場での反響が気になりますね。
RxYxO やべえ、ハードルが上がった(笑)。
一同 あははは(笑)。
Y.K.C 海外バンドがキャリアある方々ばかりで荷が重すぎます(笑)。
Sugi でもまあ単純に楽しみですよ。
Masato 僕らの出演が発表されたときに、それこそTwitterとかでOzzfest開催を楽しみにしていた洋楽ロックファンから文句を言われて。個人的にはここで戦うタイミングが来たなと思っていて……僕もそうだしほかのメンバーも、彼らと同じような視点で日本のバンドを下に見ていた時期があったと思うんです。だからこそ過去の自分みたいな人たちの考えを変えさせたいし。実際僕らも素晴らしい先輩バンドや同年代の日本のバンドを観て、その考えを改めさせられたので、今度は自分たちがそういう機会を与えられたんじゃないかなと。そこに対してはやっぱり全力でいきたいし、僕らにちゃんと力があれば届く人には届くはずだし、それでもダメならダメ。これができないんだったら世界進出なんて言ってられないと思うんで、そこに対しては本気ですね。
» ツアー情報&PV
収録曲
- The War is On
- The Revelation
- Falling Forever
- Behind The Curtain
- Next To You
- Time Bomb
- Voiceless
- Chasing Dreams
- Given Up On You
- Carry On
coldrain(こーるどれいん)
2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞と、メロディアスパートと過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビュー。2012年にはデビッド・ベンデスをプロデューサーに迎えたミニアルバム「Through Clarity」をリリースし、オリコンCDアルバム週間ランキングで過去最高の14位を記録した。また同年夏には「SUMMER SONIC 2012」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」「MONSTER baSH 2012」といった国内フェスや韓国の「PENTAPORT ROCK FESTIVAL 2012」に出演し、大反響を呼んだ。2013年4月に約2年ぶりとなるフルアルバム「THE REVELATION」を発表する。