アディムは完全にルックスで選びました

──吉田アディムさんが加入したのはどういう経緯だったんですか？

武井　もともとバイト先の友達だったんですよ。でもこんなにいいオーラを出してるのに、街では沈んでる生き物だった（笑）。だから「ステージ立ちたいんじゃないの？」って言ったら、「出たいっす！」って言われて。バンドって、とりあえず見た目も大事だと思っているので、こういうキャラクター性に富んでる人がいたら、それだけでも楽しいかなって思って、完全にルックスで選びました。いいオモチャ落ちてたな！っていう（笑）。

──じゃあ、アディムさんとしては、バンドに入って「いける」と思った瞬間はありました？

吉田アディム（G）　いや、最初はとりあえず必死でしたね。でもやってみたら楽しかったんで。

──去年の5月にはお2人はThe Mirrazのサポートでステージに立ってましたよね。

武井　あれ、結構いいライブだったんですよね。そのときはバイト先から引っ張ってきた2カ月後だったんで、ド素人だったんですけど、すごく華もあって。大舞台にやけに強かったんですよね。「こいつには何かあるな」って思いましたね。

──この4人の中で最後に加入したのは八木さんですけれど、その経緯は？

八木類（G）　共通の友人がいて、ギターを探しているということだったんで一緒にスタジオに入ったんです。そしたら「次のライブに出てよ！」と言われて、そこから始まった感じですね。最初は「メンバー明るいな」くらいの第一印象でした。

時にやってくる切なさにスポットを当てる

──この4人でいるときのムードって、鳴っている音楽と近かったりします？

武井　そうですね。あんまりしんみりムードではないです。気取ってないよね（笑）。

──ガツガツしてない感じがします。

山崎　それはほんと、あります。ガツガツしてないです。

武井　もっとガツガツするべきなのかと思ってるくらいで（笑）。

──そういうところも、音楽に出てますよね。ヘラヘラしてる印象もあるんですけど、それは拳を突き上げたり青筋立てたりするのに性が合わないだけで、「やりきれなさ」は一緒だという。

武井　そうですね。一緒だと思います。ポップではあるんですけど、エモさも含まれていて。単純に自分の性格も明るいけど暗いというところがあるんですよね。ただはしゃいでる若者の感じとは違って。

──あれですよね、パーティではしゃいでるんだけど、家に帰った後の寂しさをわかった上で楽しんでる、みたいな。

武井　そうそう！ そうなんですよ。

吉田　切ねえ！（笑）

武井　そういう、時にやってくる切なさにスポットを当てる人たちなんです。

──アルバムではシンセの音が重要なポジションにあると思うんですけれども。自分たちの鳴らす音にシンセが欲しいと思ったのは？

武井　シンセのあるバンドはVeni Vidi Viciousの頃からいいなと思っていて。で、チェコをやるようになって、いよいよ鍵盤を入れたり、鉄琴を入れたりして。いろいろ試して、ハマっていくのをチョイスした感じですね。

──ギターだけでいくとガレージロックっぽい尖った感じになるんですけど、それとはちょっと違う音にしたいと。

武井　好きなんですけど、単純に自分がやってて気持ちいいし、似合ってるのはこっちだったのかなって思います。