音楽ナタリー PowerPush - BiSH

BiSの呪いとBiSHの希望

やべえ女が来た!

──グミさんは2曲を作詞。「DA DANCE!!」と「ぴらぴろ」ですね。

グミ 「ぴらぴろ」の“ぱーぴら”って言ってるところは私じゃないんですけど、それ外は全部書きました。「雑草がさっそうにぴらぴらー」とか。

渡辺 “ぱーぴら”の部分は最初仮歌で入ってたんですけど、そのままでいいかなって思って。

──なんというか、わけのわからない説得力がありますね。

グミ 人をバカにしてる曲なんですよ。普通のことが大嫌いだし、だからこんな曲になったのかな。

渡辺 最初からこれが書けるってすごいなって思ったよ。ライブでもこの曲のときはお祭りみたいになってたし。

グミ でも私的には「DA DANCE!!」のほうが好き。メロディが一番アイドルっぽいなって思った。寂しくて強がってて、そんな暗い感情をあえて楽しく歌いたいって思って。

渡辺 グミは歌詞がダントツで面白かったです。意味わかんないんですけどね。たぶん妄想癖があるんだと思いますよ。

グミ 私が考えた言葉でメンバーのみんながいい声で歌ってくれるのはすごいうれしいです。

──そしてミィさんが「HUG ME」。自分の名前をタイトルにしちゃってますけど。

ミィ 気付いたらその名前になってました。最初はまったく違うタイトルだったんですけどね。

──歌詞に登場する女の子はミィさん自身なんですか?

ハグ・ミィ

ミィ 私は恋愛がテーマでそれ以外は自由だったので、自分の恋愛観を書いたつもりなんですけど、できあがったものをみんなに見せたら「メンヘラじゃん」って言われました(笑)。

──ちょっと重いかもしれませんね。

ミィ 「病んでるの?」って言われて、私の恋愛観って普通じゃないのかって気付きました。

渡辺 うん、キモいね。

ミィ でも2カ月前の感情だから、今は変わってるかも……。

渡辺 実はほかにもいくつか書かせたんですけど、これしかよくなかったんですよ。あとは全部普通でした。この曲だけ「やべえ女がきた!」って思いましたもん。

ミィ この曲だけはなんか降りてきました!

渡辺 さすが巨匠!

BiSの「レリビ」みたいな曲を目指した

──最後はチッチさん。「SCHOOL GIRLS, BANG BANG」と「Story Brighter」を手がけられました。

セントチヒロ・チッチ

チッチ 「SCHOOL GIRLS, BANG BANG」はダメなヤリマンの女の子がテーマの曲です。

──えと、過去の経験を踏まえて……。

チッチ いや、自分の過去の経験じゃないですよ!

渡辺 「これでも彼氏は2人まで」って、ね。

チッチ それも否定します!!

──歌詞って、そういう願望がないと書けないものだと思うんですよ。

渡辺 自分を映す鏡ですからね、歌詞って。

チッチ 違いますよ……。でも歌詞を書くのはすごく楽しかったです。

──そして「Story Brighter」は、感情がすごくストレートに出てる曲だなって思いました。アルバムのトリを飾るナンバーですし、渡辺さん的にも手応えを感じたんじゃないかと思うのですが。

渡辺 たぶんチッチがこの先で何があってもやってやるぞっていう気持ちが一番強いのかなって思って。だからそういうテーマで書かせたんですけど、書けなかったらもう僕が書こうと思ってたんですよ。BiSの「レリビ」みたいな曲にしたくて、そういうのを望んでたんです。で、できあがった歌詞はちょっと僕のほうで修正しましたけど、すごい内容がよかったです。「レリビ」みたいなものをオマエが作ってきたのか、みたいな。

──こうして並べてみると、すごく完成度の高いアルバムができあがりましたね。

渡辺 1曲目からBiSとは違った方向性を示す「スパーク」で始まって、挨拶代わりの「BiSH-星が瞬く夜に-」を2曲目にして。間にメンバーが作詞した楽曲を挟んで最後は「Story Brighter」で締めくくる。僕にとっては1、2、13曲目っていうのは遊ばなかったですけど、ほかの曲はけっこう遊びました。

──5月31日には初のワンマンライブがありますけど、アルバムの曲を全部やる感じですか?

渡辺 全部やるつもりです。4人はすごいプレッシャーを感じてると思いますよ。

チッチ 振り入れも全曲終わったところです。

グミ 先日のライブが人生で初のライブだったんですけど、普通に楽しめたので、きっと大丈夫だと思う。

BiSHがBiSの魂を引き継ぐ

──デビュー以降、さっそく何か面白いことを考えてますか?

渡辺 さっき彼女たちにも言ったばかりなんですけど、夏に面白そうな企画は考えてます。絆を深めるようなイベントをね。

──それはメンバーとファンとの絆を深めるようなイベントでしょうか?

渡辺 はい。メンバー同士もそうなんですけど、ファンとも絆を深め合いたいなって思いまして。過去にBiSがやってるようなものじゃなくて、まったく違うアトラクションです。

チッチ マジかよ、って思いました(笑)。

ミィ 正直できるのかなって……。

アイナ 不安。

グミ え、私だけ聞いてなかったんだけど、バナナボートじゃないの?

渡辺 それはまったく新しいね。ファンと一緒に乗れるバナナボート(笑)。

──そういう何かは予定されているんですね。あとはライブをガッツリやっていくと。

渡辺 そうですね。おかげさまでいろんなところからすでに誘ってもらってます。

──今年のアイドル業界にBiSHがいい風を吹き込ませてほしいです。それでは最後にメンバーから今後の意気込みをいただけますか。

アイナ 渡辺さんに付いていきます。

渡辺 あー、言っちゃったね。もう引き返せないよ。

グミ BiSHとして上に行けるように、みんなとのバランスを考えて楽しみたいと思います。

渡辺 オマエ、最後になんで真面目なんだよ(笑)。

グミ 素が出ちゃいました。

ミィ 楽しいことも悲しいこともあると思うんですけど、楽しい思いをできるだけ共有していきたいです。私はお客さんが楽しい思いをしてくれるのが、アイドルとして活動していく一番の理由だと思ってるので。だからBiSHを応援してくれるお客さんは、ほかのアイドルを応援するよりもめっちゃ楽しんでもらいたいです。

──最後はチッチさん、お願いします。

チッチ BiSHはBiSがいたから今の幸せな状況になってるので、BiSだったメンバーの方々にもBiSHが魂を引き継いでくれてよかったって思ってもらいたい。そんなBiSHになりたいです。

渡辺 感動のまとめをありがとう。みんなでがんばっていこうな!

BiSH
1stアルバム「Brand-new idol SHiT」 / 2015年5月27日発売 / 2500円 / SUB TRAX / DDCZ-2029
1stアルバム「Brand-new idol SHiT」
収録曲
  1. スパーク
    [作詞:JxSxK / 作曲:松隈ケンタ]
  2. BiSH-星が瞬く夜に-
    [作詞:BiSH×JxSxK×松隈ケンタ / 作曲:松隈ケンタ]
  3. MONSTERS
    [作詞:ユカコラブデラックス / 作曲:松隈ケンタ]
  4. Is this call??
    [作詞:アイナ・ジ・エンド / 作曲:松隈ケンタ]
  5. サラバかな
    [作詞:竜宮寺育 / 作曲:慎乃介(蟲ふるう夜に)]
  6. SCHOOL GIRLS, BANG BANG
    [作詞:セントチヒロ・チッチ / 作曲:Mad sounds]
  7. DA DANCE!!
    [作詞:モモコグミカンパニー / 作曲:松隈ケンタ]
  8. TOUMIN SHOJO
    [作詞:ユカコラブデラックス / 作曲:松隈ケンタ]
  9. ぴらぴろ
    [作詞:モモコグミカンパニー / 作曲:松隈ケンタ]
  10. Lonely girl
    [作詞:ユカコラブデラックス / 作曲:真田巧]
  11. HUG ME
    [作詞:ハグ・ミィ / 作曲:コジマミノリ]
  12. カラダ・イデオロギー
    [作詞:YUKARI / 作曲:Limited express(has gone?)]
  13. Story Brighter
    [作詞:セントチヒロ・チッチ / 作曲:松隈ケンタ]
BiSH(ビッシュ)

BiSH

アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、ハグ・ミィ、セントチヒロ・チッチの4人からなるアイドルグループ。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。自らを“新生クソアイドル”と称し、「ファンの総称は“清掃員”」「ライブの写真撮影は可能。なお録画、録音は禁止」「自由。ただしほかのお客さんの迷惑になる行為は禁止」という“クソアイドルの3箇条”を4月30日に東京・TSUTAYA O-nestで行ったライブで発表した。2015年5月27日に1stアルバム「Brand-new idol SHiT」をリリース。同年5月31日には東京・中野heavy sick ZEROにて初のワンマンライブ「THiS IS FOR BiS」を開催する。