BiTE A SHOCK|“第2のBiSH”オーディション発、男女6人の物語はまだ始まったばかり

“第2のBiSH”を生み出すオーディション番組「BiSH THE NEXT」から男女6人組の新グループBiTE A SHOCKが誕生した。7月1日の「BiSH THE NEXT」最終オーディションでメンバーがRYUUSEi、HANANO、SAORi、RiNA、HARUTO、MAHiTOに決定。そのわずか2時間後、6人は日本テレビ系で生放送された音楽特番「THE MUSIC DAY 2023」でいきなりパフォーマンスを披露した。華々しいデビューから約2週間後、BiTE A SHOCKは東京・東京国際フォーラム ホールCでお披露目ライブを行った。

音楽ナタリーでは(sic)boyが手がけた楽曲「Patient!!」でデビューを果たしたBiTE A SHOCKにインタビュー。メンバーのバックグラウンド、初ライブの感想、“第2のBiSH”という看板を背負う思い、「世界をとりたい」という目標などについて話を聞いた。

取材・文 / 矢島由佳子撮影 / 塚原孝顕

応募動機はバラバラ、それぞれのバックグラウンド

──まずは6人それぞれのバックグラウンドについて聞かせてください。どんな思いがあって“第2のBiSH”を生み出すオーディション「BiSH THE NEXT」に応募したのでしょうか。

RYUUSEi 僕は幼い頃から音楽が大好きで、SUPER BEAVERさん、UVERworldさんなど、熱いライブをするバンドが特に好きでした。月2、3回はライブに行くくらい、お金を全部音楽に使うような学生で。歌うことも好きだったんですけど、アーティストになるほどの自信はなかったので、そういう夢を抱いていたわけでもなくて。地元の福岡でBiSHさんの特典会に参加しようと思っていたら、並行してオーディションが行われることと、オーディションが福岡で始まることを知り、ご縁を感じて応募しました。審査で憧れのBiSHさん全員を前に歌を歌ったときに、初めてアーティストになるという目標に強い意志と覚悟が湧き上がってきたと思います。音楽に人生を支えてもらったからこそ、音楽への恩返しとして、自分が誰かの感情を揺さぶったり、人生を支えられたらいいなと思っています。

RYUUSEi

RYUUSEi

SAORi 私ももともとBiSHさんが好きで、お母さんが背中を押してくれて応募しました。オーディションを受ける前は1日ずっとベッドで過ごすような生活を繰り返していたんですけど……。

MAHiTO 一緒だ!

SAORi やりたいことも全然なくて。お母さんとしてはやりたいことを見つけてほしいという思いから「応募してみたら?」と言ってくれたみたいで。お母さんに助けられたなって思います。

SAORi

SAORi

RiNA オーディションに応募したとき私は看護師をしていたんですけど、私の病棟はがん患者さんとか終末期の人が多くて。手術をしたり抗がん剤を打ったり、自分を傷付けてまで生きることを選択する人がたくさんいて、それをお手伝いする仕事だったんです。もともと私はBiSHさんが好きで、BiSHさんの曲から「生きたい」「明日をがんばりたい」という刺激をいただいていて、看護師としてそういう世界を見ていたからこそ、傷付かないで生きるという選択をお手伝いする世界ってどんなものなのだろうと思って飛び込みました。

HARUTO 僕は高校を卒業して進学したんですけど、このまま就職するイメージが湧かなくて。中学生の頃から清水翔太さんが好きで、歌うことも好きだったので、これが最初で最後だという思いでオーディションを受けたら、受かったという感じです。

RYUUSEiMAHiTO 天才じゃないか!

HANANO 私は事務所に入ってお芝居のお仕事を何年間かやっていたんですけど、何百回もオーディションに落ちたり、いざ現場に行けてもまったく爪跡を残せなかったりして、どんどん自信が持てなくなって、自分のことを平凡な人間だと感じてしまっていたんです。この業界にはわけがわからないくらい個性にあふれた人たちが集まっているし、自分で人と比べようとは思っていなくても勝手に比べられてしまう仕事だなって。もともとBiSHさんが大好きでライブにも行っていたんですけど、BiSHさんを見ているとすごく人間臭いし、社長(WACK代表・渡辺淳之介)も含めて平凡じゃない人たちで。そういう人たちに何か1つでも私の平凡じゃない部分を見出してもらえないかなと思って応募したのがきっかけでした。もしこのオーディションに落ちたらもう芸能活動は辞めようと思ってました。

HANANO

HANANO

MAHiTO 僕はこのオーディションを受ける前は本当にやりたいことがなくて、めちゃくちゃ怠惰な日々を過ごしていたんです。面接で「やりたいことは?」と聞かれて「わかんないっす」と答えたのはネタでもなんでもなくて。今年は海外に住もうかなとも思っていたんですけど、そんなときにたまたまSNSでオーディションの広告が5回連続で流れてきて、これは運命だろう……と思って今に至ります。

いろんな感情が込み上げたお披露目ライブ

──7月17日のお披露目ワンマンライブ「Why don't you BiTE??」でBiTER(BiTE A SHOCKファンの呼称)の前で初めてライブをして、どんなことを感じましたか。

MAHiTO 僕、ライブを観たことが人生で2回しかないんですよ。そのうち1回がBiSHさんの東京ドームで、もう1回がEXILEさんのライブ。人生3回目のライブでまさか自分がやる側になるとは思ってなくて、「これ本当に俺の人生だよな?」って自問自答してました。ライブをやるまではデビューした実感がなくて、ステージで1曲目に「Patient!!」をパフォーマンスしてお客さんの声が聞こえた瞬間、デビューしたんだなと実感が湧きました。

MAHiTO

MAHiTO

SAORi ステージに歩いていった瞬間、思っていた以上にお客さんがたくさんいてすごくびっくりしました。

RYUUSEi どのくらいお客さんがいるのか、客席がどのくらい埋まっているのか、まったくわからないままステージに行ったもんね。

SAORi しかもお客さんの顔がよく見えて。こんなに見えるんだって驚きました。

RYUUSEi 今までは客席で観る側だったもんね。

HANANO でも初っ端が「Patient!!」だったから、驚きをなんとか隠して、クールな顔をしっかり作ったよね(笑)。

HARUTO 自分たちのことを好きな人がこんなにもたくさんいるんだということがわかって、「HARUTOー!」って言ってくれるのもすごくうれしかったです。でもライブを映像で見返すと、パフォーマンス中の表情、歌、振りとか、反省点がたくさん見つかりました。自分たちならもっとできると思ったので、次のライブはもっといいものを見せられるように努力していきたいなと思います。

HARUTO

HARUTO

RYUUSEi よくアーティストさんがステージ上から「見えてるよ!」って声をかけてますよね。正直、ライブを観てる側としては「リップサービスなのかな?」と思っていたんですけど、本当によく見えて。嘘じゃなかったんだなって自分の目で確かめることができました。本当に、会場の奥の奥まで1人ひとりの表情が見えるんですよ。それに感動したし、こっちの立場になれてよかったなと思いました。

RiNA 最終審査で落ちてしまった子たちが客席にいるのもステージから見えたんですよね。「Patient!!」や「THE NEXT」で自分が歌っているパートは、オーディションでは違う子が歌っていたので、その子が悩んでいた姿とかを思い出したらステージ上で半泣きになったり、いろんな感情が生まれましたね。これからもいろんなものを抱えながら、背負っていきながら、パフォーマンスしないといけないなって。気を引き締めていかなきゃなと思いました。

HANANO オーディションの結果が出た7月1日の当日には、落ちちゃった6人から「がんばってね」と連絡をいただいたんですけど、それ以降は連絡を取ってなくて。少し時間が経って、改めて6人がどう思っているのか、やっと本心が聞けた気がしたんですよね。自分が落ちた側だったら絶対に悔しい気持ちでいっぱいだし、「がんばれ」と言うのも苦しいと思う。このタイミングで6人に会えて、メッセージやライブの感想をもらえて、やっと6人の言葉が自分の心にすっと入ってきたというか。苦しさから解放された感覚があったし、この人のたちのためにもがんばらなきゃなって、改めて思えた、そんな実りのある1日になりました。

RiNA ライブのあとは関係者の方たちにもご挨拶させていただいたんですけど、本当にたくさんの方々が自分たちのためにわざわざ足を運んでくださっていることがわかって……正直に言うと、恐ろしいなって感じました。たくさんの目が私たちに向けられてるんだなと思うとゾッとしたというのが正直なところですし、それにちゃんと応えていかなきゃといけないと思うと、自分たちの考え方が甘かったなって、悔しい気持ちもありました。

RiNA

RiNA

──今のRiNAさんの言葉を受けて、さらに踏み込んで聞かせてください。ポジティブな手応えもあった反面で、1500人キャパの東京国際フォーラム ホールCのチケットはソールドアウトに至りませんでした。まず、その事実についてはどう受け止めていますか?

RYUUSEi お披露目ライブで大きな会場を用意していただいたにもかかわらず、完売できなかったことは本当に僕たちの力不足で。これから1つひとつのお仕事を通して、僕たちの魅力を丁寧に伝えていきたいです。それが少しでも多くの方々に響いたら、会場をファンの皆さんで埋め尽くせるアーティストになれるはずなので。どんなお仕事も泥臭くがんばっていかないといけないなと改めて思いました。あと僕がライブをして思ったのは……表現する側として、パフォーマンスさせていただいたあとにSNS上の声をよくチェックしているんですけど、やっぱり賛否両論で。「いい」という意見もたくさんいただけたことは大きな一歩だと思うんですけど、「悪い」という意見もしっかり消化して、1つずつ改善していきたいなと思います。そうすればもっともっと僕たちの音楽が広がっていくと思うので。向上心を忘れないことが僕たちにとっては大切だと思います。