いろんな場所でいつでもライブができるように

──ここからは15周年記念ツアー「aiko 15th Anniversary Tour」について聞かせてください。このツアーを企画したのはやはり15周年記念に何かやりたいと思ってのことですか？

私、あんまりこう……15周年とか誕生日とか、記念日が苦手で。なんかしれっと過ぎていくほうが好きなんです。だから15周年もいろんなことをやってしまうと、そのあとでふわっと気が抜けたりするのも嫌だし、普通の通過点として過ごそうと思っていたんですけど、数年前からツアーでいろんな場所を回ってみんなで夜ごはんを食べてるときに、イベンターさんに「aiko、15周年は何かするの？」って言われたことがあって。それで「特に何も考えていません」って言ってたんですけどツアー中に各地でそういうふうに言われる機会が多かったんです。

──それでツアーをやろうと？

そうですね。「15周年だし、東名阪でライブハウスから今までの軌跡をたどるライブをやろうか」ってプロデューサーと話してたんです。それでどんどん構想が広がっていって「それだったら行ける場所のライブハウスは全部やりたい！」ってことになったんです。

──なるほど。そして最終的には会場の規模もセットリストも演出も異なる4つのツアーを同時期に開催するという前代未聞の内容になりました。こういう形にしたのはどうしてですか？（参照：aiko、感謝の4本同時ツアー！200人キャパから武道館まで）

以前からライブハウスを回る「Love Like Rock」というツアーをやっているんですけど、それを始めたのは「いつでも帰れるように」っていう思いからだったんです。いろんな場所でいつでもライブができるようにっていう気持ちがずっとあって。だから15周年でツアーをやるなら、小さいライブハウスから武道館のようなところまで、いろんな規模の会場でライブをやりたいなって思ったんですよね。あと、ファンの人たちもこのお祭り感を楽しんでくれたらいいなって。もうホントに感謝の気持ちしかないです。

自分の立っているところに戸惑いを感じる

──ツアーで回るのは、これまでにライブをしたことがある会場ばかりですよね。

そうなんです。

──中でもファンクラブ会員限定ツアー「Love Like Rock vol.0 ～パンツの替えは持って来いよ～」は江坂MUSEやShibuya O-nestなど、キャパが200～300人台の、aikoさんが初めてワンマンライブをやった会場も含まれていて。

なんかね……こう、体で感じられることがいっぱいあると思うんです、あの場所でライブをやると。

──体で感じられることというのは？

15年もやらせてもらっていると、例えばテレビ番組で「今日、最年長です」って言われるようになったり、スタッフも年下の人が増えてきたり、同期のミュージシャンにも「中堅だからがんばろう」って言われたりして、自分の立っているところに戸惑いを感じることが増えてきたんですよね。だからこそ今回そういうライブハウスに行って、もう汗でドロドロになりながらみんなと同じ時間を過ごすことで、自分が思っている以上に昔を振り返ることができるんじゃないかなって。

──ここでまた初心に返ろうということですね。

はい。今まであまり過去を振り返るということがなかったんですけど、やっぱりずっとやってると、知らず知らずのうちに落としてしまったものがあるんじゃないかなって不安になることもあります。