映画ナタリー Power Push - 「ザ・コンサルタント」"

会計士と殺し屋、2つの顔を持つ謎の男。新たなアンチヒーローの正体とは──?

「ザ・コンサルタント」作品紹介

若杉公徳インタビュー

作品自体が持つ二面性

ウルフが会計コンサルタントと殺し屋という2つの顔を持つように、「ザ・コンサルタント」はサスペンスとアクションという二面性を兼ね備えている。ここでは、ウルフを取り巻く謎多きキャラクターたちを起点に本作の重厚なサスペンス要素をあぶり出す。また、劇中で展開するアクションの見どころを探っていく。

サスペンス 5人のキャラクターが抱える謎

ウルフをサポートする会計士補
デイナ・カミングス(アナ・ケンドリック)
デイナ・カミングス(アナ・ケンドリック)

ウルフが財務調査を行うことになった大手電子機器メーカーであるリビング・ロボ社の会計士補。カミングスは当初ウルフに邪魔者扱いされるが、数字に関して優れた感覚を持っていることから、2人の間には次第に絆が生まれ始める。そしてウルフがリビング・ロボ社の重大な不正を暴いたことにより、彼女が巻き込まれていく思わぬ運命とはいったい?

大手電子機器メーカー創立者
ラマー・ブラックバーン(ジョン・リスゴー)
ラマー・ブラックバーン(ジョン・リスゴー)

リビング・ロボ社の創立者であり、四肢を損傷したり失ったりした人々のために、筋肉と神経系統を義肢とつなげる“神経補装具”を製造している。また財務上の不正を見つけたウルフに対し、調査は終了だと一方的に通告。ブラックバーンが自らの会社の財務調査を中止した理由とは……?

ウルフの正体を探るアメリカ政府・財務省局長
レイモンド・キング(J・K・シモンズ)
レイモンド・キング(J・K・シモンズ)

犯罪者たちを次々に逮捕する凄腕の捜査官であり、アメリカ政府の大物。世界的な犯罪者たちを顧客に持つウルフを長年にわたり追っている。キングはなぜウルフの正体を追い求めるのか? 物語が進むにつれて、キングの過去が明らかになっていく。

真実を追う若き分析官
メリーベス・メディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)
メリーベス・メディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)

アメリカ政府所属の若き分析官。未成年時代の犯罪記録を公表するとレイモンド・キングに脅され、やむを得ずウルフの調査を行うことになる。鋭い観察力とよく働く勘を武器に、ウルフの使っている偽名がすべて天才数学者の名前であることに気付く。そして彼女がたどり着いた真実とは?

ウルフを狙う謎の殺し屋
ブラクストン(ジョン・バーンサル)
ブラクストン(ジョン・バーンサル)

ウルフの命を狙う腕利きの殺し屋であり、その戦闘能力はウルフに匹敵するものがある。まるで予測のつかない行動をとり、殺しという仕事を楽しんでいるような極めて危険な男だ。多くの仲間を率いてウルフと激しい攻防戦を繰り広げるのだが、物語の終盤で衝撃の事実が明らかになる……。

アクション 圧巻の戦闘シーンを実現させた3つの理由

「バットマン vs スーパーマン」から「ザ・コンサルタント」へ
クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)

2016年公開作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」でバットマンを演じたアフレックは、本作の撮影に臨むにあたりすでにアクション向きの体つきを有していた。しかし、大きさを重視したその体格はウルフとして適したものではなかったという。アフレックは毎日2時間ほどトレーニングを行い、ウルフに合った格闘スタイルを追求。その結果、劇中にはしなやかで瞬発的な戦闘アクションがたっぷりと収められた。

監督ギャヴィン・オコナーの手腕が光る
「ザ・コンサルタント」撮影現場の様子。

総合格闘技の世界を描いたトム・ハーディ主演作「ウォーリアー」。ギャヴィン・オコナーは同作で迫力満点の格闘シーンを演出し、映画好きの心をつかんだ。「ザ・コンサルタント」では、「ウォーリアー」の系譜に連なる肉弾戦だけでなく、臨場感ある銃撃アクションも展開される。アフレックが「現実性を持たせられる監督が必要だった」と語っている通り、劇中の銃撃戦は非常にリアリスティックだ。さらにウルフの動きからは形式美が感じられる一方、ブラクストンは自由な戦い方をしており、対照的に描かれるアクションが観る者を飽きさせない。

なぜプンチャック・シラットなのか?
クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)

プンチャック・シラットは、インドネシアを中心とするマレー地域で発祥した1000年の歴史を持つ伝統武術だ。ブルース・リーが生み出した武道・截拳道(ジークンドー)にもシラットが取り入れられており、軍隊格闘術としても発展している。また、2012年の公開作「ザ・レイド」ではシラットを用いた激しいアクションが繰り広げられた。天才的な頭脳を持つウルフは戦闘において無駄な動きはせず、効率のいい方法で相手を打倒。その設定にオコナーがぴったり合うと考えたのがプンチャック・シラットであった。

冒頭からちりばめられた謎のパズルが、最後にすべてカチリとはまった瞬間、あなたはもう一度最初から観たくなる──。