コミックナタリー Power Push - 姉系プチコミック
少女マンガ道は続くよ、どこまでも 30代女子いくつになっても乙女宣言!
30代女子だってキュンとしたいんすよ
──いきなり本題ですが、なぜ30代という世代に着目したんですか?
今現在発行されてる30代女性向けのマンガ誌って、実際の30代が求めている内容とは乖離があると思ってたんです。私自身が30代ということもあってよく考えるんですが、今の30代って昔の30代よりずっと若いんですよ。仕事も恋も現役バリバリ、簡潔に言って浮ついてるんです。
──現在の30代女性向けマンガからは、どういう印象を受けます?
ひと言でいうと地に足が着きすぎているという感じでしょうか。
──地に足が着いている?
30代向けっていうと、どうしても人生のダークサイドがクローズアップされがちなんですよね。酸いも甘いも噛み締めた30代にはそういう面もあって当然だけれど、人生それで満足かと。重たい話っていかにも30代っぽくなるけど、夢がないマンガなんて誰が読む? 女子だったら、もっとキャッキャウフフと浮つきたいじゃないですか!
──先ほどからたびたび「浮ついてる」という言葉が出てきますが「浮ついてる」って?
ファッション誌って「モテ」第一主義じゃないですか。オシャレやメイクに全力投球してる感じってバカバカしく見えるかもしれないけど、でもそれこそが「THE 女子」なんですよね。あの浮ついたパワーを30代女子向けのマンガにも出したいと常々思っていて。
──30代になってもパワーの源はやっぱり「モテたい」?
女子はいくつになっても恋する乙女ですから(笑)。少女マンガを読んで育った人は、いくつになってもマンガを開けば「女子」になるんだと思うんですよ。学園ラブコメを読めば学生の気持ちになって、恋っていいなと考えますよね。ただ本当に少女向けとして描かれているものは、大人が読むにはちょっと物足りない。人生がこなれてきてる30代が読んでキュンとするものってどこにもないのかな、と思ったのが姉系プチコミックを作ろうと思ったきっかけですね。
姉プチは、みんなが歩ける少女マンガ界の商店街
──30代の楽しめる少女マンガ誌がないというお話でしたが、実際に30代のマンガ離れって実感はありますか?
友人にマンガのことを聞くと「マンガは昔読んでたけど、最近は読んでない」「マンガって昔は面白かったよねぇ」という風に、ノスタルジーで語るんですよ。これはどの雑誌を読んでいいんだかわからないということも原因のひとつだと思うんですけど。
──読む雑誌がないのではなく、わからない?
今のマンガ雑誌ってものすごく間口が狭くなっていると感じるんです。萌えとかファンタジーとかジャンルごとに特化したものが多くなって、良くも悪くもシーン全体がタコツボ化している。狭いコンセプトを明確に打ち出したものって訴求力は高いけれど、同時に敷居も高くなっちゃうと思うんですよね。
──一見さんお断りの店みたいな。
子供の頃は雑誌に載ってるギャグもシリアスも一緒くたに読んでいて、その中から自分好みの作品を探しやすかったんですよ。今の30代はマンガで育った世代だから、自分の好みに合ったものが見つかれば絶対に手に取ってくれると思う。だから姉プチは専門店ではなく、商店街的にすべてを扱うメインストリートにしたいと思ったんです。
第1号ラインナップ
北川みゆき「僕だけのバタフライ」/東村アキコ「モトカレWalker」/篠原千絵「夢の雫 黄金(きん)の鳥籠」/赤石路代「エキストラ・ガール」/吉原由起「媚 薬」/高田りえ「おしり愛―診察中―」/長江朋美「あなたのオモチャ新婚編」/よしまさこ「プリンと水平線」/かれん「Myダーリンは肉食なう。」/今井康絵「Flowers 第三部 そして、未来へ」/星野正美「Little Love Nest」/木嶋えりん「きみのいない地上(せかい)」/森つづる「碧い夜の甘い戯れ」/あらいきよこ「お腹の中でかくれんぼ」/小出真朱「はずみでヨメになりました」/ながえ直「若くないのにワカコさん」/他……