竹宮惠子が思う“色気”とは?恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」制作陣とトーク

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竹宮惠子が登壇したイベント「マンガ家竹宮惠子と恋愛ゲーム制作陣で語るイケメン道」が、去る9月17日に京都・京都国際マンガミュージアムにて開催された。

左から「イケメンシリーズ」のプロデューサー・高聖美、竹宮惠子、京都国際マンガミュージアム研究員の應矢泰紀氏。

左から「イケメンシリーズ」のプロデューサー・高聖美、竹宮惠子、京都国際マンガミュージアム研究員の應矢泰紀氏。

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「イケメン展示◆彼と過ごした恋の園」の様子。

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これはサイバードが手がける女性向け恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」の5周年を記念した企画展「イケメン展示◆彼と過ごした恋の園」が、9月16日から11月7日まで、京都国際マンガミュージアムにて展開されることにあわせた企画。「魅力的なキャラクターとは」をテーマに、「イケメン戦国◆時をかける恋」「イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑」のイラストを手がける山田シロと、ゲームを制作する高聖美プロデューサー、竹宮の3名が、マンガとゲームの世界を比較しながらトークを繰り広げていった。

「イケメン展示◆彼と過ごした恋の園」の様子。

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イベントの序盤では、マンガとゲーム、それぞれの作品の作り方についてが語られる。竹宮は「ストーリーやテーマがしっかり決まっていて、それを語らせるためにはどういうキャラクターを設定しようか考える作品もありますが、キャラクターもストーリーも設定も、すべて一緒にできあがったのが『風と木の詩』。生まれたときからすべてを持っていたもののように感じます」と述懐する。一方の高プロデューサーは、ゲームは大勢が関わるチームで作られていくため、それぞれが意見を出し合いながらよりユーザーに楽しんでもらえる作品を作っていくことを説明。“履歴書”と呼ばれるキャラクターの設定が細かく書かれた資料を制作し、山田やスタッフと共有して魅力的なキャラクターやシナリオ作りを進めていくことを明かした。

竹宮惠子

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キャラクター作りについての話題になると、竹宮が「風と木の詩」に登場するオーギュスト・ボウは、ピアニストのフランツ・リストをモデルにしたと話す。「フランツ・リストって指が長かったらしいんです。それを見て、(オーギュスト・ボウの)手が美しいというエピソードを展開したこともあります」と制作秘話を披露。山田はキャラクターを描く際に、「『イケメンシリーズ』のキャラクターはアニメやマンガ寄りというよりも、街中を歩いていてもおかしくない髪型をベースに考えていて、できるだけ奇抜じゃない髪型にするのを気をつけています」と語る。高プロデューサーも「『イケメンシリーズ』は全員が攻略対象なので、恋愛対象として見たときに違和感なくイケメンだと思えるかという観点では、キャラクターとしての美少年っぽさよりも、自分が感情移入してカッコいいと思えるか。現実味を重要視している」とポイントを述べた。

「イケメン展示◆彼と過ごした恋の園」の様子。フォトスポットも用意されている。

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山田はイラストを手がけるにあたり、「みんなに好いてもらえるように、自分自身が気に入らない要素はできるだけ省いています。“捨てキャラ”なしと言いますか、誰がセンターに立ってもカッコいいように意識してデザインしています」とこだわりを語る。またゲームでは基本的に上半身しか映らないことから、「上半身にゲームにおける“イケメン重要ポイント”が入っていないといけない」と言い、「このキャラクターはハイネックが似合うとか、襟が立っているほうがいいとか、それがキャラの性格と合致していないとイケメンじゃなくなってしまう。鎖骨が見えていたらセクシーというわけでなく、見えていていいキャラとそうじゃないキャラがいて、キャラに沿わない(肌の)出し方だと、皆さんもあまりピンと来ないのではないかと思います」と考えを明かす。

山田シロによるペリー。山田曰く「いろいろ調べたら、ペリーは開国することによって自分の名誉を上げたいと思っていた野心家だったそうで、賢そうな野心家のイメージで眼鏡を付けました。実際にはあまり知名度を上げられなかったそうなので、“残念な眼鏡”な感じがカッコいいかなと思いました」とのこと。

山田シロによるペリー。山田曰く「いろいろ調べたら、ペリーは開国することによって自分の名誉を上げたいと思っていた野心家だったそうで、賢そうな野心家のイメージで眼鏡を付けました。実際にはあまり知名度を上げられなかったそうなので、“残念な眼鏡”な感じがカッコいいかなと思いました」とのこと。[拡大]

シチュエーションのヒントはどこから得るのかという質問について、高プロデューサーは「スタッフ自身が日常生活でキュンとするポイントを生かすこともある」と話し、「上司も『みんな恋愛しようね!』『恋する気持ちを持とうね』という話をしていて、ときめきを忘れないようにしている」とのエピソードも。竹宮も「ほかの人の恋バナを聞いたりして、『このシチュエーション面白い』と思ったり、『それ美しくない?』とつまみ食いすることもあります。身近な兄弟の裏話や、父親の婚約中の話を聞いているだけでもロマンチックなエピソードが出てくることがありますから」とアイデアの生まれる場所を語った。

竹宮惠子による桃太郎。高聖美プロデューサーが「攻略するには難易度が高そう。どうやったら『君ならいいよ』ときびだんごくれるんだろう」と考えていると、竹宮は「きっと誰にでもきびだんごをあげますよ」と語り、高プロデューサーは「ひどい!(笑) でも確かにきびだんごを配ることの意味をわかってなさそう」と妄想した。

竹宮惠子による桃太郎。高聖美プロデューサーが「攻略するには難易度が高そう。どうやったら『君ならいいよ』ときびだんごくれるんだろう」と考えていると、竹宮は「きっと誰にでもきびだんごをあげますよ」と語り、高プロデューサーは「ひどい!(笑) でも確かにきびだんごを配ることの意味をわかってなさそう」と妄想した。[拡大]

“イケメン”である条件について聞かれると、高プロデューサーは「それぞれのキャラにイケメン要素はあるんですが、何かしら掘り下げたい、もっと知りたいと思わされる部分があって、物語を進めたくなることが『イケメンシリーズ』のキャラクターにとって大事なのかなと。クラスに気になる男の子がいて、もっと彼のことを知りたくて話しかけるというプロセスを通るイメージ」と答える。自身の作品の中のイケメンキャラクターとして「私を月まで連れてって!」のダン・マイルドを挙げた竹宮は、「自分のキャラを全部並べて『イケメンシリーズ』ができるかな?って考えたんですが、攻略したくないキャラばかりかも(笑)」と笑った。

またイベントでは竹宮、山田の2人が、お題として用意されたマシュー・ペリーと桃太郎を、それぞれがイケメン風に描くライブドローイングも実施。最後には観客からの質問コーナーも展開され、「どうしてそんなに絵に色気が出るのか不思議」と疑問に思うファンに対し、竹宮は「色気っていうのは、生物であることそのものが色気だと私は思っているんです。例えばミミズはどこが色っぽいかなと考えて、元気にのたうち回っているところが色っぽいとか、そういう気持ちでなんでもものを見ている」と考えを述べ、観客を頷かせた。

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「イケメン展示◆彼と過ごした恋の園」展

日程:2017年9月16日(土)~11月7日(火) ※毎週水曜日、10月8日(日)は休館。
会場:京都国際マンガミュージアム2F ギャラリー4
料金:無料 ※ミュージアムへの入場料は別途必要、11月6日(月)は関西文化の日につき入場無料。

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ペペロンチーノみさき @BLCDLOVERSSWEET

@ptna_web 「風と木の詩」に登場するオーギュスト・ボウは、ピアニストのフランツ・リストをモデルにしたとのこと

https://t.co/4zJutIY03P

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