WOWOW「宮藤官九郎ウーマンリブシリーズ3カ月連続大特集」Vol.2|“宮藤ワールド”炸裂!「熊沢パンキース03」「ウーマンリブ先生」「サッドソング・フォー・アグリードーター」の魅力に迫る

宮藤官九郎が“その時々で最もやりたいことをやる場所”として、不定期に、かつ全力で公演を行うユニット・ウーマンリブの特集放送が、6月にWOWOWライブでスタートした。ステージナタリーでは、この放送に合わせて毎月3作品ずつピックアップし、各作品の見どころを紹介している。

今回の特集で取り上げるのは、7月22日にオンエアされる「熊沢パンキース03」「ウーマンリブ先生」「サッドソング・フォー・アグリードーター」。それぞれ異なるテイストながらも、“宮藤ワールド“が炸裂した人気作3本を宮藤自らが振り返る。

構成 / 興野汐里

「木更津キャッツアイ」の原案からホームドラマまで
「熊沢パンキース03」「ウーマンリブ先生」「サッドソング・フォー・アグリードーター」の魅力に迫る

ウーマンリブvol.7「熊沢パンキース03」ビジュアル

──1995年に「熊沢パンキース」として初演され、2003年に再演された「熊沢パンキース03」は、岡田准一さん、櫻井翔さん、岡田義徳さん、佐藤隆太さん、塚本高史さんなどが出演したテレビドラマ「木更津キャッツアイ」(2002年放送)の原案となった作品です。「木更津キャッツアイ」を経て再発見した、「熊沢パンキース03」の面白さはどこにあると感じますか?

「熊沢パンキース」では、がんじがらめの人間関係を描きたいと思いました。二十代の頃、アルバイト先の居酒屋に、かつての高校球児が毎晩のように飲みに来て、自分たちがなぜ地区予選で負けたのかを、まるで昨日のことのようにしゃべってるのを聞いて、その閉塞感というか、過去の栄光にすがる男たちの話を描きたいと思いました。「木更津キャッツアイ」はガンで余命宣告されている友人を気遣う、という設定ですが、こちらは感染症なので、より皮肉が効いているというか、自分の命よりも地元の交友関係を優先する、狂った世界と言えますね。

「熊沢パンキース03」は再演ですが、登場人物を2人増やし、全体的に書き直したので、ほとんど初演です。

ウーマンリブvol.10「ウーマンリブ先生」ビジュアル

──2006年の「ウーマンリブ先生」では、主演を務めた松尾スズキさん、古田新太さんを中心に、アダルトな魅力が詰まった“宮藤ワールド”が繰り広げられました。「ウーマンリブ先生」で特に思い入れのあるシーンを教えてください。

冒頭の体育教師の会話。星野(源)くんの服を着られない設定。宮藤の頭から血が流れて止まらない場面。皆川(猿時)くんのストッキング破り、古田さんが松尾さんの小説にダメ出しするセリフの情報量。荒川(良々)くんの吊り橋のくだり。タイトルが出るタイミング。古田さんが懺悔するシーンのスピード感。ラストシーンに流れるマッドネス。振り返ると、いろんな意味で、キレキレだったなあ、恐いものナシだなあと思います。

ウーマンリブvol.12「サッドソング・フォー・アグリードーター」ビジュアル

──「人はどこまで分かりあえるのか」をテーマにした2011年の「サッドソング・フォー・アグリードーター」では向井秀徳さんが楽曲を手がけられました。

「熊沢パンキース」の劇伴を作ってもらったとき、向井さんはZAZEN BOYSを始動したばかりでした。以来、そのときそのときの、向井さんの音楽的な指向を意識しつつ「今回はハードな感じで」「打ち込み系で」「和のテイストで」と、漠然とオーダーして、いろいろ試してもらう、という感じです。「サッドソング~」のときは、向井さんがOPの「ダイニングキッチン」を作ってくれて、そこから全体のイメージを決めていったような気がします。ちょっと硬質なロック、というか、作品自体が、ホームドラマなので、あえてヒンヤリした、薄気味悪い感じで作ってもらいました。

岩松さんと松尾さんのやりとりを俺が書く。そこに宮﨑あおいちゃん、田辺誠一さんが絡むなんて、こんなスペシャルな体験、二度とないだろうと思って、楽しんで書きました。

──ウーマンリブでは、今回放送される3作品のように、1つのストーリーが展開していく作品と、「七人の恋人」シリーズのようにオムニバス形式の作品がありますが、それぞれの作り方にはどのような違いやこだわりがあるのでしょうか?

もともと、俳優の魅力を前面に押し出しつつ、ストーリー重視の舞台をやりたいと思って始めた企画でしたが、4本目の「ウーマンリブ発射」あたりで早くも飽きてしまい、バラエティショーの要素を入れたり、コントやったり、突き詰めたら、役者が面白ければ何でもいいんだと思います。

WOWOW「宮藤官九郎ウーマンリブシリーズ3カ月連続大特集」Vol.3
「ウーマンリブ発射!」「キラークイーン666」「『轟天VS港カヲル』~ドラゴンロック!女たちよ、俺を愛してきれいになあれ~」
coming soon
宮藤官九郎(クドウカンクロウ)
1970年生まれ。1991年より大人計画に参加し、脚本家・監督・俳優として活動している。1995年に結成したパンクコントバンド・グループ魂ではギタリストを務め、作詞・作曲も担当。第25回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第53回芸術選奨文部科学大臣新人賞、第49回岸田國士戯曲賞、第29回向田邦子賞、東京ドラマアウォード2013脚本賞、第67回芸術選奨文部科学大臣賞など多数の賞を受賞。2019年に放送されたNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では脚本を手がけた。10月にはねずみの三銃士「獣道一直線!!!」の公演を控えている。