和希そらの“らしさ”と“意外性”を詰め込んだBillboard LiveをWOWOWで

2024年11月に行われた和希そらのソロライブ「Sora Kazuki Billboard Live 2024」の模様が、2月22日21:00にWOWOWライブ・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。

2024年2月に宝塚歌劇団を退団した和希は、現在、ミュージカルを中心に活躍している。退団から約半年後に行われた「Sora Kazuki Billboard Live 2024」は、和希の抜群の歌唱力に加え、観客を楽しませるために練られたセットリストにより、“和希らしさ”を象徴するステージとなった。今回は、「Sora Kazuki Billboard Live 2024」の最終公演となった、11月20日の大阪公演2ndステージがオンエアされる。

ステージナタリーでは、放送・配信に先駆け、ライブのレポートとライブ後に行われた和希のインタビューを届ける。

取材・文 / 大滝知里撮影 / 大木慎太郎(fort)ヘアメイク / 栗原里美(Three PEACE)スタイリスト / 中村加奈子アクセサリー協力 / MESSIKA

和希そら「Sora Kazuki Billboard Live 2024」レポート

和希そらは、歌も踊りも芝居も魅力的な、三拍子そろった元宝塚歌劇団の俳優として知られる。退団後の1年間で「Sora Kazuki Billboard Live 2024」のほか、ミュージカル「9 to 5」、ミュージカル「SIX」日本キャスト版に出演し、2025年はさらに2作の大型ミュージカルへの出演が控えるという活躍ぶり。そんな和希の「Sora Kazuki Billboard Live 2024」は、2024年11月に神奈川・大阪で計4ステージ開催され、自然体な和希の魅力あふれるライブが展開された。

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

シンバル、コントラバス、ピアノの音色が重なり、大人っぽいサウンドによりライブの開幕が告げられると、ブラックドレス姿の和希が、昭和世代には懐かしい「タッチ」(岩崎良美)を歌いながら、客席の間を練り歩いて登場した。呆気に取られる観客を、和希は満面の笑みで迎え入れ、手を振り、観客とコミュニケーションを取りながらステージへと進む。

ライブでは、和希の宝塚歌劇団在団時から近作までのミュージカルナンバーや、自身も大好きな作品だというミュージカル「キンキーブーツ」のナンバー、ディズニーの楽曲などが次々と披露された。華やかな高音から色気のある低音まで、さまざまな声色を使い分けながら、楽曲ごとにまとう空気を変えていく和希。加えて、MCパートでは「盛り上がっていますか?」と常に観客を気にかけ、配信視聴者に向けて「置いていかないぞ!」とちゃめっ気たっぷりにコメントするなど、ナチュラルな魅力を振りまく。ライブ中の和希は常に笑顔なのが印象的で、楽曲ごとに世界観を作りつつも、曲終わりにはふと柔らかな表情に戻り、和希自身がライブを心から楽しんでいる様子が伝わってきた。

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

中盤に入るとギアが1つ上がったかのように、パフォーマンスに熱が入る。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」より「目の前の君」、「夢千鳥」より主題歌「夢千鳥」、「双曲線上のカルテ」より「もう誰も愛さないと決めていた」を堂々と歌い上げ、さらに意外な選曲となった尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」では丁寧に歌声を届け、アーティストとしての新たな一面を見せた。

吐息が聞こえる距離感での、ぜいたくなライブとなった「Sora Kazuki Billboard Live 2024」。歌唱力の高さに定評がある和希が、飛んだり跳ねたり、生き生きとしたパフォーマンスを見せ、演劇の劇世界では観ることができない、本人の飾らないキャラクターとその魅力が満ちるライブとなった。

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

和希そら インタビュー

たくさん歌っちゃえ…の精神で全14曲

──「和希そら Sora Kazuki Billboard Live 2024」は、2024年2月に宝塚歌劇団を退団された和希そらさんにとって、退団後初のミュージカル出演である「9 to 5」閉幕後に開催されたライブとなりました。初のBillboard Live体験は、いかがでしたか?

ありがたいことに、舞台に立つときは、多くのファンの皆さんが応援に駆け付けてくださって、それがいつも心強く、うれしく思っています。宝塚歌劇団を退団して初のライブでしたが、多くの皆さんに足をお運びいただき、会場には来られなくても心を寄せていただいたファンの皆さん、応援してくださる方々の熱い思いを日々感じていたので、緊張もなく、ただただ喜んでいただけるものができたらという思いでやることができました。

──アンコールを含めると14曲もの楽曲を歌われ、和希さんの歌声をたっぷりと堪能できるライブになりました。

1人でMCをすることが苦手なので、たくさん歌っちゃえと(笑)。私自身、ライブを観に行ったときに、曲数を多く聴けるとうれしい気持ちになるんです。一方で、「もうちょっと聴きたかったな」と惜しみながら帰るのもすごくいいと思っていて。セットリストではその“絶妙のライン”を探るべく、最後まで調整をしていました。私のことを宝塚時代から知っている方、最近応援し始めてくださった方、性別問わず、どの世代のどんな方にも喜んでいただけるものを中心に、バランスを計算して考えていきましたね。

和希そら

和希そら

狙いはBillboardの空間に似合う、和希そらの“らしさ”と“意外性”

──ディズニーの楽曲や在団時代の出演作からのナンバーなど、バラエティ豊かな曲目の中には、懐かしい歌謡曲もありました。それにはどのような意図があったのですか?

私の好みなのですが、昭和歌謡は情緒があってオシャレで好きなんです。覚えやすく、キャッチーな曲も多いですし、昭和歌謡のクラシカルな雰囲気が、Billboardという空間が持つ“大人っぽさ”に似合うんじゃないかなと。例えば、オープニングで歌った「タッチ」は1980年代のアニメ主題歌ですが、Billboardらしい雰囲気のオーバーチュアから突然「タッチ」が始まる。バンドの方に“Billboardらしい、でもワクワクするような、和希そらのイメージを踏襲したオリジナルのアレンジ”を作っていただいたんです。「Billboardなのに!?」という予想を裏切る驚きと、「この空間で今から何が始まるんだろう?」とお客様に期待を感じてもらえるようなオープニングが、“私らしい”のではないかなという思いがありました。

──和希さんの中で一番気持ちが盛り上がったシーンはどこでしたか?

いろいろありますが、中森明菜さんの「飾りじゃないのよ涙は」をスタンドマイクで歌ったんです。最後のナンバーだったのですが、曲始まりでスタンドマイクを出すときに、お客様の「何をしてくれるんだろう?」という期待を感じながら歌うことができたのが、私としてはすごくワクワクしました(笑)。

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

「Sora Kazuki Billboard Live 2024 in Osaka」2ndステージの様子。(撮影:ハヤシマコ)

──今回、劇中歌をライブで歌うことや、オーケストラの生演奏で歌ってきた楽曲を、新たなアレンジで歌うことについては、どのように感じましたか?

歌った曲の中で、意外性を感じたものはたくさんありました。宝塚時代にお芝居の中で歌った曲をライブ会場で1曲だけ歌うとき、自分の中で“どの程度が役で、どの程度が今の自分なのか”を感じることは、すごく面白い体験でしたし、お客様も、それぞれいろいろなことを感じて受け取ってくださったのではないかなと。宝塚時代に主演させていただいた「夢千鳥」「双曲線上のカルテ」も、選曲の時点ですごく懐かしい気持ちはありましたが、ライブでは私自身、ただただその場を感じて歌っていた気がします。また、フルオーケストラの演奏とバンド演奏では聴こえ方が違うので、懐かしさもありつつ、新しいものとして聴いてもらえたのではないかと思いますし、私も歌っていて楽しかったです。

和希そら

和希そら

心を動かして歌った曲をお客様の心に届けたい

──宝塚歌劇団出身で、退団後の初ライブをBillboardで行うアーティストはあまりいなかったように思うのですが、歌に対する強い思いがあってのことでしょうか?

ファンの方には、私が宝塚歌劇団を辞めて、いろいろなことにチャレンジしたり、選択していく様子から、和希そらがどのようなアーティストになっていきたいのかを感じ取っていただければうれしいなと思っています。

──俳優として歌、踊り、芝居それぞれを魅力的にご自分のものとして表現されている和希さんですが、和希さんにとって歌とはどのようなものですか?

昔からそうなのですが、歌もお芝居もダンスも、とにかく心が大切だと思ってやっています。どんな舞台を観ても、パフォーマンスにはその人の人間性が出ると感じるので、歌を歌うときも、私は心をいっぱいに動かして歌いたい。それがお客様の心に伝わればいいなと思いながら歌っています。

──「和希そら Sora Kazuki Billboard Live 2024」の放送・配信での見どころを教えてください。

実際に会場でご覧いただいた方、ライブ配信をご覧になった方、残念ながらご覧になれなかった方、どの方にもお楽しみいただきたいなと思っています。MCでは客席の皆さんと、ファンクラブで恒例のガチャガチャを使って交流を持ちながら、いろいろなお話をさせていただきました。宝塚の舞台は、映像に残る作品が多くありますが、退団してから出演するミュージカルや舞台作品が映像に残ることはそう多くありません。そんな中、今回のWOWOWの放送・配信では、映像を通して、生の舞台というもののまた別の楽しみ方を感じていただけるのではないかと思っていますので、ぜひ、この機会にご覧いただければうれしいです。

和希そら

和希そら

プロフィール

和希そら(カズキソラ)

1992年、岡山県生まれ。2010年、宝塚歌劇団入団。宙組に配属され、2021年に雪組に組替え。歌、踊り、芝居の三拍子そろった男役スターとして人気を集め、2024年2月に宝塚歌劇団を退団した。同年10・11月にミュージカル「9 to 5」に出演。3月16日までミュージカル「SIX」日本キャスト版に出演中。6月にミュージカル「梨泰院クラス」、9月から12月にかけてミュージカル「SPY×FAMILY」への出演が控える。