森崎ウィン監督のミュージカル映画「せん」を萩尾瞳がレビュー「アクターズ・ショート・フィルム4」 (2/2)

「アクターズ・ショート・フィルム4」は全作見逃せない！

「アクターズ・ショート・フィルム4」に参加した監督陣。左から千葉雄大、仲里依紗、福士蒼汰。

千葉雄大「ハルモニア」

WOWOWプライム初回放送済み
WOWOWオンデマンド配信中

「アクターズ・ショート・フィルム」において初の2回目の監督参加となった千葉雄大。「騎士竜戦隊リュウソウジャー」で知られる一ノ瀬颯を主演に迎え、とある俳優の誕生日に集う仲間たちを描いた「ハルモニア」を監督した。俳優の主人公が見つめる、友人それぞれの人生。心からわかり合える最良の関係だと思っていたけれど、仲間の1人に悲しい知らせが飛び込んでくる。伊藤沙莉と千葉という2人の会話劇が主だった前作「あんた」から、登場人物も増え、より複雑にスリリングに展開していく会話から目が離せない。千葉の演出力と脚本の進化、そして確かな手腕を感じさせる逸品に仕上がった。共演は工藤遥、ヒコロヒー、近藤辰哉、山崎樹範。

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「撮影/鏑木真一」キービジュアル

仲里依紗「撮影/鏑木真一」

WOWOWプライム 2024年3月15日（金）23:30～放送
WOWOWオンデマンド配信中

仲里依紗は、スキャンダル写真で女優を死に追いやった週刊誌のカメラマンを描いた「撮影/鏑木真一」を発表。仲がキャスティングを熱望したという、お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が主演を務めた。シャッターを切ろうとしても震えが止まらず、スランプに陥った鏑木。上司や同僚に再起を誓うが、ある日、追いかけていたアイドルに関する発信元不明のタレコミが携帯に届く。普段は撮られる側の存在である仲が、ファインダーの向こうで影を潜めるパパラッチの精神に肉薄。さらには自ら死んだ女優を演じるからすごい。シリアスとギャグのあんばいが絶妙で、セリフを一切発しないひときわ浅黒い肌の鏑木が笑えそうで笑えない意外性バツグンの1編。

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「イツキトミワ」キービジュアル

福士蒼汰「イツキトミワ」

WOWOWプライム 2024年3月22日（金）23:30～放送
WOWOWオンデマンド配信中

肉体労働で家計を支えながらかつて美大進学を目指していた一葵（清水尋也）は、ギャラリーで自分の作品を見つめる三羽（芋生悠）と出会う。徐々に親密になる2人だが、それでも溶けない壁がある。満月の夜、彼らは互いに一歩踏み込んだ話を始めるが……。福士蒼汰が自ら脚本・監督を務めた「イツキトミワ」では、とある男女の“恋愛ではない”感情でつながっていく関係性が描かれる。福士の熱烈なオファーに応える形で主演を務めた清水尋也は、絶妙な空気感を身にまとい、芋生悠演じる三羽との距離の変容を見事に表現する。映像のみならず、ケレン味あふれる劇団☆新感線への舞台出演で研鑽を積む福士の空間や画の切り取り方にも注目したい。

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