人間の負の感情から生まれる呪いと、呪術師との戦いを描いた芥見下々の人気マンガ「呪術廻戦」(集英社刊)が待望の舞台化。脚本を喜安浩平、演出を小林顕作が手がける舞台版では、虎杖悠仁役の佐藤流司ら強力なキャスト陣によって「呪術廻戦」の世界が立ち上げられる。
本作では劇場での上演に加えて、U-NEXTにてライブ配信を実施。7月15日の東京公演初日と8月14日の大阪公演最終日の計3公演が、スイッチング映像・全景映像のマルチアングル対応でライブ配信される。ステージナタリーでは、公演に向けて稽古に励む虎杖役の佐藤、伏黒恵役の泰江和明、釘崎野薔薇役の豊原江理佳、七海建人役の和田雅成に本作の注目ポイントを聞いた。また本特集の後半には、五条悟役を演じる三浦涼介のコメントも掲載している。
取材・文 / 興野汐里
佐藤流司・泰江和明・豊原江理佳・和田雅成が語る
舞台「呪術廻戦」の見どころは?
4人中2人が推す、密かに人気のキャラクターは…
──4月に行われた製作発表会で、皆さんそれぞれ、舞台「呪術廻戦」にかける思いをお話しされていました(参照:舞台「呪術廻戦」虎杖悠仁役は佐藤流司!「負の感情をふっ飛ばします」)。改めて、原作「呪術廻戦」やご自身が演じるキャラクターのどんなところに魅力を感じるかお聞かせいただけますか?
佐藤流司 「呪術廻戦」は連載初期から読んでいて、周りに紹介するくらい好きな作品だったんです。「週刊少年ジャンプ」らしい王道の主人公と、今のトレンドでもあるダークファンタジーの要素がうまくマッチしていて、これはハマる人が多いだろうなと思っていました。
──佐藤さんが演じる
佐藤 そうですね。自分にないものを多く持っているキャラクターなので、悠仁を演じるうえで擦り合わせをしていく必要があるなと思っています。一方で悠仁とは共通点も多くて、宮城県出身だったり、空手をかじっていたり、おじいちゃん子なところだったり……あとは「ゆうじ」と「りゅうじ」で名前も少し似ているっていう(笑)。
──確かにそうですね(笑)。虎杖と同じく呪術高専の1年生・
泰江和明 誰が観てもカッコいい、しかも自分が好きな作品のキャラクターを演じるチャンスがあったら……とずっと思っていて、自分ができることをすべて披露して(小林)顕作さんにアピールしました。「呪術廻戦」は純粋に面白い作品だと思いますし、「この先の展開はどうなっていくんだろう?」というワクワク感がありますよね。
──豊原さんは、虎杖や伏黒の同級生・
豊原江理佳 兄の影響でもともと「ジャンプ」の作品が好きだったこともあり、「呪術廻戦」の世界観にはスッと入っていけました。ヘビーな描写が多いかと思いきや、コメディ要素もあって驚いたというのが最初の印象です。野薔薇ちゃんの役作りに関しては、まだカッコいいところまでいけていないんです。自分が演じている間、ずっと“2頭身”な感じがしていて……(笑)。
和田雅成 2頭身って!(笑)
豊原 お稽古を積んで、野薔薇ちゃんのカッコいいところを表現できるようにがんばります!
──8頭身になった姿を楽しみにしています(笑)。和田さんは1級呪術師・
和田 「呪術廻戦」に登場するキャラクターの中でも、七海が一番人間臭いんじゃないかと思っていて。原作者の芥見下々先生も、七海については心情をさらけ出すように描いているので、彼の人間らしさがより一層際立つように演じられたら良いなと思っています。僕も「ジャンプ」作品やバトルマンガが好きでよく読むんですが、「呪術廻戦」では呪霊サイドに共感する部分があるというか、「正義って何だろう?」ということを考えさせられますよね。
──どちらかが正義で、どちらかが悪である、と切り分けられないところに「呪術廻戦」の奥深さがあると感じます。和田さんが今「呪霊サイドに共感する部分がある」とおっしゃっていましたが、登場人物の中で魅力的に感じるキャラクターはいますか?
泰江 僕は最初、
和田 自分が最初に好きになったのは
一同 ははは!
和田 でも今はやっぱり七海が好きです。七海を知れば知るほど素敵な人間だなと思う。
豊原 私、実は
一同 えー!
豊原 見た目はちょっと怖いけど、自然を愛する心を持っていて、すごくピュアじゃないですか。「人間が環境を破壊しなければ、地球は平和なのに」っていう花御の考えに、すごく共感するんです。皆さんと同じく、稽古が始まるとやっぱり自分のキャラクターのことばかり考えてしまうんですが。
和田 今は
豊原 ははは! 漏瑚も好きですけどね!(笑) みんな、壁にぶち当たったら回り道をすると思うんですが、野薔薇ちゃんはすべてぶち破って突き進んでいくので、そんな野薔薇ちゃんを演じていると自分自身もパワフルになれるんです。
佐藤 俺も花御が一番好きなんですよ。
泰江 4人中2人が被ることってある!?(笑)
一同 ははは!
佐藤 花御を除くと、パンダですかね。芥見下々先生が2年生のキャラクターを考えるときに、1人目は呪具使いの
注目シーン多数で目が足りない!
──お稽古が始まって2・3週間とのことですが、お稽古はどのような雰囲気で進んでいるのでしょうか?
佐藤 笑いが絶えない稽古場で、みんな「こんなに楽しい現場はない」って言ってます。目まぐるしいスピードで稽古が進んでいって、もうできあがっちゃった!みたいな感覚になることもしばしばで。
和田 とにかく、顕作さんは遊び心がすごいよね。「呪術廻戦」って作品的にダークなイメージがあると思うんですけど、自分が出ていないシーンの稽古を見学しているとき、「こんなに笑う!?」っていうくらい笑ってしまって(笑)。
一同 ははは!
和田 役者さんも皆さん素敵なお芝居をしていますし、締めるところはしっかりと締まっているので、楽しみにしていただけたらと思います。
泰江 2.5次元というジャンルの幅が広がるんじゃないかっていうくらい、今回はいろいろなことに挑戦していますよね。そこが役者としても楽しいですし、やりがいがあるところだと思います。
──「呪術廻戦」が舞台として立ち上げられるうえで、アクションシーンがどのように表現されるのかも非常に楽しみです。
豊原 (間髪入れず)もうね……すっごいですよ!!
和田 食い気味やな!(笑)
泰江 虎杖のアクションに注目してほしいです!
豊原 流司くん、この公演が終わったら人間を超越して次のステージに行っちゃうんじゃないかっていうくらい見応えがあると思います。
佐藤 ははは! どんな公演も大変だし、本気で挑んでいるんですけど、舞台「呪術廻戦」は特にしびれる作品になりそうだなと思って。
──それほどまでにストイックに身体を作り込んで臨まれていると。
佐藤 そうですね。殺陣で言うと、七海が武器を使うときの重心の取り方が大変そう。普通の刀と違いますもんね。
和田 ナタね。真人との戦いの中で、重心を取るのが難しい場面があるんですけど、うまいことナタと友達になれればと思います(笑)。
──佐藤さんを筆頭に、原作ものの舞台に出演される機会が多いと思うのですが、その際に意識されていることはありますか?
佐藤 作品ごとに求められるスタイルが違うので、演出家の方やプロデューサーさんの意向に沿いながら、役作りをしていくことが多いですね。例えば、「できる限りキャラクターに寄せてください」という現場もあれば、今回のようにある程度スタイルを崩したほうが良い場合もある。今顕作さんと、ギリギリ怒られないぐらいの表現方法を模索しているところです。
一同 ははは!
和田 もうすでに怒られそうなシーンがいくつかあるぞ!?(笑) でも、それこそが舞台「呪術廻戦」の良さだよね。2.5次元作品を作るとき、原作をそのまま演じても面白くならないと思っているので、“0.5”寄り添ってもらっているぶん、役者の色を入れて良いと思うし、2.5次元ならではの幅のある表現を楽しみながら作っていけたらと思います。
佐藤 コメディの部分しかり、アクションパートしかり、生身の人間が本気で演じることで原作やアニメとは違う面白さが出せる、というところを楽しんでもらいたいです。
泰江 ……座長から、これ以上ない答えが出ちゃった!
一同 ははは!
泰江 少しずつ完成に近づいているので、楽しみに待っていてほしいですね。というか絶対に楽しいと思います! あとは僕たちが突っ走るだけです。
豊原 顕作さんやキャストの皆さんと「このくらいやらないと、お客さんに楽しんでもらえない」と話していて。今回の作品は「呪術廻戦」を再現した舞台ではなく、お客さんを楽しませるために、ありとあらゆる手を尽くした作品になると思います。観ていただきたいところが多くて、目が足りないかも!(笑)
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