「『ダイヤのA』The MUSICAL」再始動!糸川耀士郎・樫澤優太が明かす、途切れることのなかった思い

新型コロナウイルスの影響による公演中止を乗り越え、「『ダイヤのA』The MUSICAL」が2年越しに始動する。「ダイヤのA」(講談社)は、西東京の野球名門校・青道高校へ入学した投手・沢村栄純が、仲間と共に切磋琢磨しながら甲子園出場を目指す高校野球マンガ。「『ダイヤのA』The MUSICAL」では、山崎彬の演出・脚本により、高校球児たちの夏が歌やダンスを織り交ぜて描かれる。2年の間、本作への出演を待ち望んでいた沢村役の糸川耀士郎、降谷暁役の樫澤優太それぞれに、作品に懸ける思いを聞いた。

取材・文 / 興野汐里撮影 / ヨシダヤスシヘアメイク / 望月光スタイリスト / MASAYA衣装協力 / TEKI

沢村栄純役・糸川耀士郎インタビュー

糸川耀士郎

途切れることのなかった、「『ダイヤのA』The MUSICAL」への思い

──「『ダイヤのA』The MUSICAL」は2020年に上演予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で残念ながら中止になってしまいました。今回、2年越しに上演が決定した際の心境を教えてください。

「『ダイヤのA』The MUSICAL」だけでなく、さまざまなお仕事が中止になって、あのときはすごく落ち込みました。でも、もし「『ダイヤのA』The MUSICAL」が再始動することがあったら、鈍った身体のままでいていいのか? この時間を有効活用しなくていいのか?と思って、家の近くの公園で練習していたんです。この2年間、「『ダイヤのA』The MUSICAL」に対する気持ちを切らさないようにしてきたので、今回上演が決まって本当にうれしかったです。

──さまざまな苦労があったと思いますが、有意義に時間を使われたんですね。2022年公演は9月に開幕しますが、今春には公演に向けたワークショップがすでに行われたと伺いました。

そうですね。僕は野球の経験がなく、しかも沢村は左ピッチャーなので、利き手と逆の左投げに挑戦するのが本当に難しくて。2020年のビジュアル撮影のときは球の握り方すらわからず、スタッフの皆さんを不安な気持ちにさせてしまったと思うんですが(笑)、自主練をしたりワークショップで勉強したり、少しずつ鍛錬を重ねてきたので、ようやくスタートラインに立てたかなと。これから稽古を進めていく中で、「ダイヤのA」のファンの方が観ても、野球ファンの方が観ても納得できるようなフォームを作っていけたらなと思います。

糸川耀士郎

──「『ダイヤのA』The MUSICAL」の稽古に臨むにあたって、楽しみにしていることは何ですか?

スポーツを題材にした舞台は、座組全体が部活のようにまとまっていくのが面白くて。「絶対に誰にも負けたくない!」「この中で一番努力して、一番輝いてやる!」という意識が芽生えて、キャスト同士が本気でぶつかり合ったり、お互いに切磋琢磨し合えることが、部活をやっていたときの感覚と似ているんです。それと、作品自体が持っているパワーと座組のパワーが合わさって、最後に舞台上で放出される瞬間が僕はすごく好きですね。

──「『ダイヤのA』The MUSICAL」の登場人物の中でも、糸川さんが演じる沢村は特にアツい心を持ったキャラクターです。沢村を演じるうえでどのようなことを大切したいと考えていますか?

2.5次元作品の魅力って、絵の中にしか存在しなかったキャラクターが本当に目の前に立っているような感覚になったり、その人物を見るだけで涙が出てしまうくらい感動できるところだと思うんです。野球経験がないからこそ、自分の技術不足で作品のイメージを損ないたくないし、しっかりとエンタテインメントとして成立させたい。栄純は周りから刺激を受けながら、いろいろな技術を身につけて、どん底から這い上がっていくキャラクターなので、彼の明るさ、負けん気の強さを自分自身とリンクさせて、栄純と一緒に成長していけたら良いなと思います。

糸川耀士郎扮する沢村栄純。

糸川耀士郎扮する沢村栄純。

──糸川さんはこれまでにも原作もののミュージカルに多数出演されてきました。役に扮して歌唱する際に意識していることがあれば教えてください。

少し前までは、うまく歌うことを最優先に考えていたんですが、いろいろな作品に出演させていただいたり、先輩方とご一緒させていただく中で、それだけでは足りないということに気付いて。セリフや歌詞をしっかりと解釈し、自分が何を表現したいのかを理解したうえで歌うことが大事だと思うようになりました。

──沢村を演じる場合は、歌唱力を高めるよりも“気持ちの強さ”が鍵になりそうです。

そうですね。ミュージカルに出演するとき、のどが枯れないように力をセーブしなければならない場面があって、もどかしく感じることが多かったんです。でも栄純はそういったことを考えずに、気持ちを全面に出して演じて良いキャラクターなんじゃないかなって。

──「『ダイヤのA』The MUSICAL」が再始動するまでの間、ご自身が所属する劇団番町ボーイズ☆の公演で脚本・演出・主演の3役を務めるなど、活動の幅をさらに広げてきました。座長として「『ダイヤのA』The MUSICAL」に臨むにあたって、改めて意気込みをお聞かせください。

野球の技術に関しては、みんなに助けてもらわないといけないところもあるんですけど(笑)、常に余裕を持っていたいですね。背中を見せてついて来てもらうというより、先頭に立って引っ張っていくような座長を目指したいなと思います。「『ダイヤのA』The MUSICAL」を楽しみに2年間待ってくださったお客さんに勇気を与えたいですし、エンタテインメントは本当に素晴らしいものだと感じていただきたいと思っているので、ぜひ劇場に足を運んでもらえたらうれしいです!

糸川耀士郎

プロフィール

糸川耀士郎(イトカワヨウジロウ)

1993年、島根県生まれ。2015年から劇団番町ボーイズ☆のメンバーとして活動。舞台「黒子のバスケ」赤司征十郎役、「ミュージカル『刀剣乱舞』」浦島虎徹役、「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.5-」神奈備衢役などで知られる。