NSC特集 かまいたちインタビュー&特別授業レポート|NSCはおもろい人たちと出会える場所

「キングオブコント2017」王者のかまいたちは、吉本総合芸能学院(NSC)大阪校の26期生。天竺鼠、藤崎マーケット、和牛ら、多彩な同期と共に切磋琢磨してきた。

そんなかまいたちが同校に凱旋し、特別授業を展開するということで、お笑いナタリーは彼らに密着。賞レースでのネタ選び、ネタが一番輝く状態まで磨いていく作業など、将来ライバルになるかもしれない現役NSC生の質問に丁寧に答えた様子をレポートする。また授業の合間にはインタビューを実施し、NSC在学中の話を聞いた。たまり場にしていた“天竺ハウス”で仲を深め、今でもよきライバルだという26期のメンバーへの思いとは。

取材・文 / 狩野有理 撮影 / 日吉"JP"純平

吉本総合芸能学院とは?
NSC大阪校26期生のかまいたち。

NSCの略称で知られる「ニュー・スター・クリエイション」は、ダウンタウン、ナインティナインなど数多くのスターを生み出してきた芸人養成所。漫才やコントなどで必要な基礎として、発声や演技はもちろんのこと、ネタ見せや大喜利・トークなどのコーナーに対応する授業も設けられている。業界の第一線で活躍する作家・タレントが講師を務めており、プロの視点から実践的なアドバイスがもらえるのが特長。

かまいたち インタビュー 「今でもめちゃめちゃ悔しい」“天竺ハウス”に集った同期への思い

「やってはいけない5カ条」をすべて破った

──特別授業に講師として迎えられて、いかがでしたか?

濱家隆一 「何言うてんねん、こいつら」って思われてるんやろうなーと思いながらやってました。自分が現役生やったら「黙れ」としか思ってないやろうなって(笑)。

山内健司 でも、中には僕らが言ったことをアテにしてくれる子もいると思うんです。なので、まったくの嘘を言うときました。

濱家 なんでそんな足を引っ張るようなことすんねん(笑)。

──悩みを聞いて、具体的なネタのアイデアも提案してくれていたじゃないですか(笑)。現役NSC生の雰囲気はどう感じましたか? 自分たちの頃と違うな、とか。

山内 いや、同じですね。毎年同じメンバーちゃうかな?

濱家 そんなわけないやろ(笑)。まあたしかに、顔の雰囲気とか服装とか、ほぼ一緒なんですよ、毎年。千日前商店街を歩いてて、「あいつたぶんNSC生やな」って一発でわかる。でも、すっごい真面目やなとは思いました。ちゃんとしてるなーって。挨拶もピシッとしてて。

山内 今はどうかわからないですけど、僕らのときは先生が厳しかったですね。

濱家 マイク投げつけられたりとか、イスをガーンと蹴られたりとか(笑)。だいぶ昔の話なので今は絶対ないですけどね。

──何をしたらそんなふうに怒られるんですか?

かまいたち。左から山内健司、濱家隆一。

濱家 面白くないと怒られます。

──厳しいですね!

山内 前回受けたダメ出しが生きてない、とかね。

──今も役に立っているダメ出しって何かありますか?

山内 「大きい声で」っていうことと、「ベタが大事」。当時はほんまにわかんなかったんですけど、のちのちベタって大事やなって思うようになりました。

──若い頃は「ベタなんかやってたまるか」くらいの気持ちだった。

山内 「やってたらあかんやろ」って思っていて。

濱家 最初のネタ見せのときのことで、すごく印象的だったことがあって。NSCにいる間は下ネタ、CMネタ、身内ネタ、時事ネタ、パクリネタはダメだって言われていたんです。「やってはいけない5カ条」みたいな。そしたら山内がネタ見せのときに、その5つを盛り込んだネタを作ってきて。見てた先生はボールペンをパーンって放り投げて「お前、授業聞いてたんかー!」ってキレてたんですけど、山内は「『やったらあかん』っていうのは『やれ』っていうフリやと思った」と。尖ってたのか、ほんまにフリやと思っためちゃくちゃ純粋な奴やったのか。

山内 1回全部入れてやってみたんです。「やめてまえー!」ってめちゃくちゃ高い声で怒られました(笑)。

1年間、真面目に通い続けてずっとCクラス

──大阪校26期のお二人の同期には、天竺鼠、藤崎マーケット、和牛など、現在活躍している方が多くいらっしゃいます。みなさんNSC在籍時から目立つ存在だったんですか?

濱家 天竺鼠、当時は別のコンビだった藤崎マーケットの田崎はエリートでした。(藤崎マーケット)トキもピンでやっててめっちゃ面白くて。面白い順にクラス分けされるんですが、ビタミンS、アインシュタイン河井、アキナ山名とか、今でも仲のいい同期は最初からAクラスで目立っていましたね。

──そんな中、お二人はどのあたりのポジションに?

濱家 僕は講師の先生に媚びまくってて、食事会や遊びに付き合うことでAクラスにのさばってました(笑)。

──そういう手法でですか(笑)。

山内健司

山内 僕はずっとCクラスでした。

濱家 1年間、真面目に通い続けてずっとCクラス。

山内 全授業出ていたんですけど、1回も昇格なかったですね。

──ネタがウケないから?

山内 ネタはウケてるはずやのになって思いながらやってました。「みんな面白くないのになんでやろ?」って。

濱家 俺がダントツやのに?

山内 ほんまに。「俺がダントツでおもろいのになんでCクラスなんや!」っていうのはずっと思ってましたね。

──じゃあ在学中はずっと悔しい思いをしていたわけですね。

濱家 ほんま、よう辞めずにずっとおってくれたなって思います(笑)。NSCの最後に、エリート選抜だけじゃなくて全員が出られる卒業公演があって、Aクラスの人は3分、Bクラスは2分、Cクラスは1分っていうネタ時間なんです。でも真面目に行き続けたCクラスの人はご褒美でBクラスに上げてもらえるんですよ。山内はそれもなく、最後までCクラスで(笑)。

山内 発声とかダンスの授業も全部行ってて、結局Cクラスで終わりました。

濱家 あははは(笑)。あれ、なんでやったんやろうな? NSC在学中、山内と加藤誉子(現在はワタナベエンターテインメントで活動)だけが「R-1ぐらんぷり」の1回戦に通ったんです。ってことはネタもちゃんとしてるってことじゃないですか。

左から山内健司、濱家隆一。

山内 誰かから嫌われてたんかな? 不思議ですね。

──その頃は濱家さんとは別の方とコンビだったんですか?

山内 ピンでやってたんです。1回だけインドネシア人と日本人のハーフの人と「いなりずし」ってコンビ組んでたんですけど、そいつが「言うてる場合か」しか言えなくて。

──あはははは(笑)。

山内 ちょっとキツいなと思って解散しました。

濱家 ちょっとどころじゃないやん、めちゃくちゃキツいやん。

山内 NSCのときにコンビ組んだのはそれだけですね。

スクール案内2018年4月入学生募集中
吉本総合芸能学院(NSC)

吉本総合芸能学院(NSC)は1982年に大阪校が開校して以降、さまざまなタレントを輩出。2015年にはトレンディエンジェルがNSC東京校出身者としては初の「M-1グランプリ」王者に。新人オーディションなど芸人としての実力を試すチャンスが豊富で、成績優秀者は在学中から舞台やテレビなどで仕事の現場に立つ。

第3次募集締切:2018年2月末日(必着)
第4次募集締切:2018年3月末日(必着)

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よしもとクリエイティブカレッジ

よしもとクリエイティブカレッジは2008年度にNSCの姉妹校として誕生。各種番組やイベント、ライブなどに携わるスタッフや、クリエイター、構成作家の養成を目的としている。

第3次募集締切:2018年2月末日(必着)
第4次募集締切:2018年3月末日(必着)

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よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ

よしもと沖縄エンターテイメントカレッジは2011年4月に開校。独自の芸能文化が根付いている沖縄での新たな才能の発掘を目指す。「沖縄から世界に発信するコンテンツを」という志を掲げてタレントやスタッフ志望者によしもと流のノウハウを教えている。沖縄国際映画祭など県内各所で行われるイベントにて実践を積む機会も多数。

願書受付締切:2018年4月末日まで(消印有効)

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沖縄ラフ&ピース専門学校

2018年4月に開校する沖縄ラフ&ピース専門学校は、マンガコースとCG・アニメコースからなるクリエイティブ学科、パフォーマーコースとプロダクションコースからなるパフォーミングアーツ学科を用意。各コースでは元「週刊少年ジャンプ」編集長の堀江信彦氏やNetflixオリジナルドラマ「火花」を手がけたプロデューサー・古賀俊輔氏、トニー賞を3度受賞したヒントン・バトルといったクリエイターをレジェンド講師に迎える。入試はなく、入学資格を満たしていれば誰でも出願できる間口が広い学校だ。

2018年3月24日(土)まで願書受付中。

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かまいたち

かまいたち

左 / 山内健司(ヤマウチケンジ)
1981年1月17日生まれ、島根県出身。
右 / 濱家隆一(ハマイエリュウイチ)
1983年11月6日生まれ、大阪府出身。
NSC大阪校26期生同士で、同校卒業後の2004年5月にコンビ結成。2007年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞、2008年「第43回上方漫才大賞」新人賞、2013年「第33回ABCお笑いグランプリ」優勝、「歌ネタ王決定戦2016」優勝など、受賞歴多数。「キングオブコント」では昨年2016年に初の決勝進出を果たし、今年2017年にチャンピオンの座に輝いた。