かまいたち特別授業に潜入「どうも、チャンピオンです!」
キングオブコントで得た経験
11月某日、NSC大阪校に凱旋したかまいたち。“講師“として生徒たちの前に立つのは今回が初めてのことだ。山内が「どうも、チャンピオンです!」とわざとらしく威圧感を演出すると笑いが起き、少し緊張気味だった生徒たちも和やかな表情に。この授業では生徒から質問を募り、時間が許す限りかまいたちが答えていく。
一発目の質問は、「芸人としてこれでやっていける、と思った瞬間は?」。これに2人は「まだないよ」と即答した。山内は「キングオブコント獲っても、『これでまたチャンスがもらえるな』って思うほうがデカい。諸先輩方も思ってないと思う」と述べ、芸人という職業の厳しさを強調する。濱家が「どんな感じになりたいの?」と尋ねると生徒は「かまいたちさんみたいにラジオをやりたい」と答え、これに山内は大御所のように間を作り「……がんばって!」と声をかけて笑いを誘った。
「ネタが女子高生に気持ち悪がられてしまう」という生徒の悩みには、具体的にどんなネタなのか内容を聞いたうえで、「僕らも去年のキングオブコントの決勝、ガラスの破片を舐めるくだりで『キャー』ってなった。そういうお客さんが多い場なんだなってわかったから、今年はお客さんが引くような要素がなるべくないネタを選んだ」と説明する山内。「もしウケにいこうと思うならネガティブに働く要素をなるべく削いたほうがいい」と賞レースへの挑み方について経験を踏まえて助言した。濱家は「でも自分たちがそのネタめっちゃおもろいと思ってるんやったらそれでいっても全然いいと思う」と補足し、背中を押す。
一度“ベタ”を見直して
ネタについてさらに踏み込んだ質問も。山内は「イチオシのボケが1個あって、それが軸になっているほうが見やすい」といい、「キングオブコント2017」で披露したネタを題材に解説。そのボケが一番面白く見えるような状況を作り出し、膨らませていく、と自分たちのネタの作り方を明かすと、生徒たちはうなずきながらその話に聞き入った。
ある生徒が「ネタの世界観を伝えきれない」と切実に告白すると、2人はその生徒が面白いと思っているポイントを親身になって理解しようとする。ネタの設定を聞き「おもろそう……」と顔を見合わせ、濱家は「この設定、もらっていい?(笑)」と冗談っぽくねだってみる。山内はさまざまな見せ方の案を例として出し、もう少し練れば面白くなるはず、と優しくアドバイス。また濱家がシュールなネタが好きだというその生徒に「シュールって、基本はめちゃくちゃベタ」というと、山内も「NSCのとき一番理解できてなかったのが“ベタ”。まず“ベタ”ができるようになってからトリッキーなことをしたほうがいい。一度“ベタ”を見直してみて」と力説する。
「アナウンサーあや」という芸名を名乗るセミフォーマルな服装の生徒からは「優勝おめでとうございます。キングオブコントの優勝賞金の使い道を教えてください」とアナウンサーのような質問が飛び、2人は「マジのレポーターやん!」と大笑い。濱家が真面目に答えると彼女の反応はイマイチだったが、山内の「全額、仮想通貨にぶち込みます」という返しには満足げで、山内も「やった。オンエア乗った(笑)」とやり取りを楽しんだ。
偉大な先輩は普段から“あれ”
ツッコミの練習の仕方を問われると、濱家が「サンドバッグ買って、これ(ツッコミの動き)を1日1万回……」とボケてみせ、「叩き方とかじゃないねん」と山内がツッコミを入れる。山内は「濱家はもともとツッコミ気質。普段からしょうもないことにもツッコむんです。僕は島根出身でツッコミ文化がなかったから、誰かにイジられても返せなかった。『丸顔』って言われても当時は『へへへ……』って笑うだけ」と振り返り、日常の中でもちゃんとツッコむことが訓練になると熱弁。「(ブラックマヨネーズ)小杉さんとか(千鳥)ノブさんとか、普段から“あれ”。2人は『なんて返してくれるんやろう』ってこっちが楽しみにしてしまう」と先輩を例に挙げてツッコミの奥深さを伝える。濱家も「すごい人たちには、みんながツッコミを聞きたくてちょっかい出してる。(ダイアン)津田さんなんて『なんやねん!』だけでおもろい」と話しつつ、「明確な(先輩たちの)壁があるから、基本無理よ(笑)。僕も14年目ですけど、まだ自分の色が見つかってない。4つ出して4つともハマらんときもあるけど、もうひたすらやるだけ」と自身の課題も挙げながら語った。
ラストの質問では、何を目標にお笑いを始めたか聞かれた2人。山内は「『オールザッツ漫才』(MBS)を大学生のときに観て、『あれに出たい!』っていうのが目標やった。だから……もう叶えました(笑)」とコメント。その一方で「M-1グランプリ」が控えている(授業は11月初旬に実施)ことから、「キングオブコント」との史上初の2冠達成に意欲を見せる。濱家は「始めた当初は目標もなくて、今はたまたま運がよくて続けられてるだけ」といい、「だから明確な目標を作って、それに近づくにはどうしたらいいか考えて努力してほしい」とエールを送った。
- スクール案内2018年4月入学生募集中
-
吉本総合芸能学院(NSC)は1982年に大阪校が開校して以降、さまざまなタレントを輩出。2015年にはトレンディエンジェルがNSC東京校出身者としては初の「M-1グランプリ」王者に。新人オーディションなど芸人としての実力を試すチャンスが豊富で、成績優秀者は在学中から舞台やテレビなどで仕事の現場に立つ。
-
第3次募集締切:2018年2月末日(必着)
第4次募集締切:2018年3月末日(必着)
-
よしもとクリエイティブカレッジは2008年度にNSCの姉妹校として誕生。各種番組やイベント、ライブなどに携わるスタッフや、クリエイター、構成作家の養成を目的としている。
-
第3次募集締切:2018年2月末日(必着)
第4次募集締切:2018年3月末日(必着)
-
よしもと沖縄エンターテイメントカレッジは2011年4月に開校。独自の芸能文化が根付いている沖縄での新たな才能の発掘を目指す。「沖縄から世界に発信するコンテンツを」という志を掲げてタレントやスタッフ志望者によしもと流のノウハウを教えている。沖縄国際映画祭など県内各所で行われるイベントにて実践を積む機会も多数。
-
願書受付締切:2018年4月末日まで(消印有効)
-
2018年4月に開校する沖縄ラフ&ピース専門学校は、マンガコースとCG・アニメコースからなるクリエイティブ学科、パフォーマーコースとプロダクションコースからなるパフォーミングアーツ学科を用意。各コースでは元「週刊少年ジャンプ」編集長の堀江信彦氏やNetflixオリジナルドラマ「火花」を手がけたプロデューサー・古賀俊輔氏、トニー賞を3度受賞したヒントン・バトルといったクリエイターをレジェンド講師に迎える。入試はなく、入学資格を満たしていれば誰でも出願できる間口が広い学校だ。
-
2018年3月24日(土)まで願書受付中。
かまいたち
- 左 / 山内健司(ヤマウチケンジ)
1981年1月17日生まれ、島根県出身。 - 右 / 濱家隆一(ハマイエリュウイチ)
1983年11月6日生まれ、大阪府出身。 - NSC大阪校26期生同士で、同校卒業後の2004年5月にコンビ結成。2007年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞、2008年「第43回上方漫才大賞」新人賞、2013年「第33回ABCお笑いグランプリ」優勝、「歌ネタ王決定戦2016」優勝など、受賞歴多数。「キングオブコント」では昨年2016年に初の決勝進出を果たし、今年2017年にチャンピオンの座に輝いた。