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「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン4|僕は確かにここに“いた”ジョイマン高木特別寄稿&現場潜入レポート

松本人志に招かれた10人の芸人が密室の中で繰り広げる笑いの攻防戦「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」。そのシーズン2において、出演していないにもかかわらず“陰のMVP”とささやかれたのがジョイマン高木だ。

お笑いナタリーではこのたび配信開始を迎えたシーズン4の特集を企画するにあたり、満を持してジョイマン高木を召喚することに。「ドキュメンタル」での自身の奮闘ぶりを確認してもらったうえでコラム執筆を依頼した。この特集では高木が綴った情緒あふれる文章と、いつもとは違った彼の姿を収めたポートレートを掲載。また編集部が潜入した「ドキュメンタル」の収録現場レポートもお届けする。

文 / ジョイマン高木(P1)、狩野有理(P2)
撮影 / 佐藤友昭(P1)、お笑いナタリー編集部(P2)

ジョイマン高木はここにいる

「ドキュメンタル」シーズン2に持ち込まれた1枚の写真。そこには笑顔で「なななな」ポーズを決めるジョイマン高木が写っていた。ダイアン津田の母親の写真とコラージュされた高木は、まず1人を撃破。そして終盤、優勝争いが繰り広げられる重要な局面でも強力な武器としてプレイヤーに力を与えた。その活躍ぶりは本作ファンの心にも刻まれ、高木の人気は視聴者アンケートでも上位に食い込むほどに(参照:「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル Documentary of Documental」特集)。常々、ジョイマンの所在を探すTwitterユーザーに「ここにいるよ」とリプライを送っている高木。彼は間違いなく「ドキュメンタル」という笑いの現場にいた。

ジョイマン高木特別寄稿 僕は確かにここに“いた”

僕は芸人だ。僕は売れていない。見える景色は決して素敵に輝いているわけではない。

しかし、生きているのに素敵なもの以外は見たくないなんて虫が良すぎる話だ。僕が「ドキュメンタル面白かったよ!」と人々から身に覚えのない喝采を受け始めたのは、春を全うした桜が散り、次の春に向けて柔らかな新緑が芽吹き始めた頃だった。

まるで狐につままれたような気持ちだった。もちろん「ドキュメンタル」が松本人志さんの番組である事は知っていたが、僕はAmazonプライム・ビデオを観ることのできる環境にいなかったのだ。ネットや人づてに詳細を調べると、SNSで僕の写真とダイアン津田さんの母親の写真が発見できたが、ネタバレを良しとしない優良なお笑いファンのSNSからはその写真の意味や全貌を把握することはできなかった。

おぼろげだが、分かった事はひとつ。「自分の知らない所で自分が人を笑わせている」。僕はそんな不思議な現実との距離をうまく測れないまま、喝采を受けるたびにぎこちなく笑い、何とも言えない複雑な感情になっていた。

しかし、人は全てに慣れていくものだ。時が経つにつれ、僕は喝采を受けることが当たり前になり、もしかしたら自分は「ドキュメンタル」の出演者だったのではないかとすら思うようになっていた。そんな時、お笑いナタリーさんからこの文章を書く機会を頂き、これまでの「ドキュメンタル」シリーズを自分の目で観ることができた。

ただただ面白いだけの手練れの芸人さん達が狭い部屋に閉じ込められ、6時間、ニコリとも笑ってはいけない制限の中で笑わせ合う。地上波のテレビでは放送できないようなどんな手を使ってもOK。その映像は全編、おもしろが凝縮しては爆発する、まるで宇宙が産まれる瞬間を目の当たりにしているかのような、想像を絶する光景だった。そしてやはり僕は出演者ではなかった。自分のおこがましさを恥じた。

だがその代わりに、ネットで調べた際に出てきた僕の写真が活躍していた。もちろん僕の写真を使った全ての笑いは、出演している芸人さん達の知略、豪腕が成せる技だ。ただ、尊敬する芸人さん達が極限状態で笑いを取りにいく中で自分が重要なカードになれたというのは、僕を少しだけ光栄な気持ちにさせてくれた。

そういう意味では、僕はこの部屋の中に“いた”のかもしれない。存在という概念をどう捉えるかの議論こそあれ“いなかった”というのは嘘になるはずだ。

そうだよ。いたんだ。もちろん僕は「ドキュメンタル」の出演者ではない。しかし、芸人の生き様と生き様がぶつかり合う生々しい衝突音が響き続ける純粋で尊いこの部屋に、確かにいたんだ。売れている芸人さん達の拳になり、武器になり、その存在の一部となって笑いの高みに登り、とんでもない景色を僕も見ていたんだ。一生に一度でも見られるか分からないような、あの素敵な景色を。

気付くと僕は走りだしていた。家を飛び出し、とにかく全力で走り続けた。どこをどう走っているかも分からない。景色なんて見えなかった。気付くと僕は公園の大きな池の前にいた。朝焼けがやけに眩しかった。白い息はいつまでも白いまま、赤く澄んだ空を昇っていく。ふと、頬を何か温かいものが伝うのを感じた。僕は涙を流していた。流れる涙は拭わなかった。このままでいい。今はなぜかその方が自然だと思った。

新しい一日が始まる。僕は今日も売れていない。もしかしたら今この広い地球上で僕ひとりだけが売れてないんじゃないか、そんな風に思ってしまう夜もある。「ドキュメンタル」は、そんな僕を、あのただ面白いだけの部屋にいさせてくれた。素敵な景色を見させてくれた。きっとまだやれる。またひとつ、芸人を続けていく理由が増えたような気がしていた。

高木晋哉(タカギシンヤ)
高木晋哉
1980年8月18日生まれ。神奈川県出身。2003年4月、中学の同級生だった池谷和志(イケタニカズユキ)とジョイマンを結成した。「ありがとう オリゴ糖」などと韻を踏むラップ風のネタでブレイク。著書に詩集「ななな」(晩聲社)がある。
Amazonオリジナル作品「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン4
シーズン4

出演者雨上がり決死隊・宮迫 / FUJIWARA藤本 / ずん飯尾 / 野性爆弾くっきー / スピードワゴン井戸田 / 千鳥・大悟 / 千鳥ノブ / 森三中・黒沢 / ダイアン西澤 / 安田大サーカス・クロちゃん

「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」とは
「ドキュメンタル」

「面白いとはなんなのか」を突き止めるべく、松本人志が仕掛ける実験場。招待状を受け取った10人の芸人が1つの部屋に集い、制限時間6時間で笑わせ合う。最後まで残った者には優勝賞金1000万円を贈呈。参加者の様子は松本人志が30台以上のモニターでチェックし、笑った者にはイエローカード、オレンジカード、即退場のレッドカードが出される。シーズン2からは敵を笑わせるごとに1ポイントを付与する「ポイント制」が導入され、2人以上で制限時間を迎えた場合はもっともポイントの高い参加者が勝者に。またシーズン3からは脱落した芸人が一時的に復活できる「ゾンビタイム」が登場。生き残っている参加者全員を笑わせることができた場合、ノーコンテストとなり参加費は返還される。

出演者シャンプーハットこいで / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / バッドボーイズ清人 / 森三中・大島 / ロバート秋山 / とろサーモン久保田 / ニューロマンスおにぎり / スリムクラブ内間 / トレンディエンジェル斎藤 / 板東英二

パイロットシーズン
パイロットシーズン

出演者FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / ダイノジ大地 / 野性爆弾くっきー / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / とろサーモン久保田 / 天竺鼠・川原 / トレンディエンジェル斎藤 / マテンロウ・アントニー

シーズン1
シーズン1

出演者FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / バナナマン日村 / アンジャッシュ児嶋 / バイきんぐ小峠 / 森三中・大島 / ダイアン津田 / 平成ノブシコブシ吉村 / ジャングルポケット斉藤

シーズン2
シーズン2

出演者極楽とんぼ山本 / TKO木下 / ケンドーコバヤシ / 野性爆弾くっきー / フットボールアワー後藤 / サンドウィッチマン伊達 / ロバート秋山 / レイザーラモンRG / オードリー春日 / プラス・マイナス岩橋

シーズン3
シーズン3
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