「手放すこともまた一興」とやっと言えるようになった
──カップリングの「HELTZ」はどのようにして生まれた曲ですか?
「HELTZ」は、ずっと前からあったサビに向けてどう書いていくかを考えました。どうってことないかもしれないけどすごく大事なターニングポイントだったかもしれない、そんなタイミングが、生きていたらいろいろあると思います。私にとってもそういうことがあって、そこから生まれた曲です。なんて言えばいいんだろう……「HELTZ」は、ライブでやってみてどうなるんだろうなって、すごく楽しみな曲なんですよね。今までとはワケが違う生まれ方をした、「また新しいのを書いちゃったな」という曲だと思います。
──「HELTZ」は、過去を持つ人間がどう生きようとするかを歌った歌のようにも感じました。
何事も今だけではない、「過去があっての今」という感じがするんですよね。私にはやってきたことがある。誰もがそうだと思うけど、私もそう。それが、自分の中でいい重しになっていると感じます。過去にやってきたことが今の自分を助けてくれるし、過去の自分が手を繋いでくれることがある。昔書いた曲を今歌うことで、背中を押されているような気持ちになることもあるし。未来はどう来るかわからないけど、過去は確かに裏切らないと思います。
──物事を選択するときに、何かを手放したり、失ったりすることがあると思いますが、そうした選択をするときにおけるアヴちゃんの信念はありますか?
心にぽっかり穴が空くことは、悪いことだけじゃないんだなとは思っています。何かを手放さざるを得なくなったときって、本当に心に穴が空くんですよね。痛くて、ヒリヒリして、全身の神経がまるで裏返ったような……そういう気持ちになる。でもあとから振り返ると、それがすごくエポックメイキングなことになっていたり、曲に書くことで、そのときの気持ちを癒したりすることができたりする。しかも自分だけじゃなくて、同じ気持ちの人も癒すことができる。それは面白いことですよね。「手放すこともまた一興」。そう言えるように、やっとなりました。本当に悔しかったり、苦しかったり、どうしようもないことはあるけど、それによって空いた穴が、自分をひと回りもふた回りも成長させてくれることがあるんだなと思います。あとは、“時間薬”かな。
──そうですね。
忘れたくても、忘れたくなくても、時間は薬になるから。時とともに……ですね。
──今回のシングルの2曲にも、しっかりと時間が流れている感じがします。「PERSONAL」と「HELTZ」が並んで1つの作品になったことに、アヴちゃんとしてはどんな必然性を感じますか?
「PERSONAL」は、誰にでも当てはまるような歌だと思うけど、「HELTZ」は極私的な部分もある曲なんです。なので、お得かな(笑)。
──ははは。
どっちも見れちゃう。そんなよさがあるシングルかなと思います。
ツアーでは私の中の「PERSONAL」を見せたい
──「HELTZ」の歌詞に「出さない手紙を歌うことが / やっと出来るようになりました」とありますが、「歌」への向き合い方にも変化はありましたか?
そうですね。ひたすら走っていた頃は「歌わないと生きていけない」となぜか理解して、それをやりきっていたと思います。でも今は、何かを込めるということ……「描写する」ではなく、「込める」ということが私は好きなんだなと気が付きました。前とは何かが大きく違う、でも繋がっている。その繋がりを太くするための曲たちが今、生まれてきている感じがします。
──これまで生み出したものと今生まれているものは、しっかりと繋がっているんですね。
そう、相反していても、結局は表裏一体で繋がっているものじゃないですか。そういうものが、自分の中から出てきている気がします。
──ちなみに今回のシングルのレコーディング中で印象的だったエピソードなどはありますか?
スタッフのみんながよく現場に集まってくれたかな(笑)。結成15周年の頃(2024年)は“発注”って感じだったんです。「はい、わかりました、やります」という感じ。でも今は1人ではやっていなくて、全員でやっている。1人で戦わなきゃいけないところはもちろんあるけどね。でもみんな様子を見に来てくれたり、助けてくれたり。とにかく、人ですね。もちろんライブでは「人ならざるもの」になろうとするけど。でも、人がいないと、私は自分のことを人だと思えない。人がいるから「私も人間なんだ」と思える。みんなが私を人間扱いしてくれるからでしょうけど。私は、自分では自分のことを、あまり人間扱いできないから。
──今、曲作りのペースはどんな感じですか?
17年くらい前から書き溜めている曲をちょっとずつ出したり、日々生まれてくるものもあったりという感じで、ペースは前とそんなに変わらないと思います。毎日生まれるものと「いつ出そうか?」と様子をうかがっているところがある。その「うかがっているもの」の最たる曲、「女王蜂とはこれである」と言えるとっておきの1曲があるんです。それを「いつ出そっか?」と、そろそろ現実味を持って言えるようになってきた。結成当初に書いた曲で、前はその曲を軸に物事が回っていたんです。真ん中は明かさないまま、その周りを固めている感じだった。でも、今は別軸ができた感じがしていて。
──じゃあずっと軸にあった曲が、この先リリースされる可能性があるんですね?
えー、どうしよう~。
──(笑)。
出したいんですよ。出したくて、毎年レコーディングするんです。でも毎年「今じゃないね」となる。かわいいおばあちゃんになってから出すかもしれないし、それともそれとも……という可能性もあるし。
──その曲は毎年レコーディングして、形が変わっているんですか?
変わらないです。ものすごくシンプルだと思う。
──歌われていることも、常にアヴちゃんを裏切らない?
うん、「これだな」という曲です。
──世に出るのを楽しみにしています。そして4月から始まるホールツアー「PERSONAL DISTANCE」はどんなものになりそうですか?
私の中の“PERSONAL”を見せたいなと思います。「アヴちゃんってこう考えているんだ」ということ。でも、そこには“DISTANCE”(距離)もあると思うし、距離があるからこそ神聖に感じられるものもあると思う。ここ数年で私が見てきたものを、しっかりとお見せできるようなツアーになりそうです。
公演情報
女王蜂 全国ホールツアー2026「PERSONAL DISTANCE」
- 2026年4月10日(金)千葉県 市川市文化会館 大ホール
- 2026年4月17日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2026年4月26日(日)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
- 2026年5月5日(火・祝)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
- 2026年5月10日(日)京都府 ロームシアター京都メインホール
- 2026年5月15日(金)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
- 2026年5月16日(土)福岡県 福岡市民ホール 大ホール
- 2026年5月31日(日)愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂
- 2026年6月4日(木)大阪府 オリックス劇場
- 2026年6月5日(金)香川県 レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
- 2026年6月14日(日)新潟県 新潟県民会館
- 2026年7月5日(日)石川県 金沢市文化ホール
- 2026年7月10日(金)東京都 東京ガーデンシアター
QUEEN BEE LIVE in LONDON
2026年7月23日(木)イギリス ロンドン Electric Ballroom
QUEEN BEE LIVE in PARIS
2026年7月26日(日)フランス パリ Batclan
プロフィール
女王蜂(ジョオウバチ)
2009年神戸にて活動開始。アヴちゃん(Vo)の高音と低音を使い分ける個性的なボーカル、作詞作曲やビジュアルを含めたセルフプロデュースによる存在感、独創的なステージが話題となり、2011年にメジャーデビューを果たす。デビュー以降も独自の世界観を貫くライヴパフォーマンスや多数の作品で注目を集め続けている。2021年2月には初の東京・日本武道館での単独公演を2日間にわたり開催。2023年5月にリリースしたシングル「メフィスト」はテレビアニメ「【推しの子】」のエンディング主題歌としてスマッシュヒットを記録した。2024年4月には結成15周年を記念した単独公演「女王蜂 結成15周年単独公演『正正正(15)』」を東京・国立代々木競技場第一体育館で行った。同年6月からはアヴちゃんが休養に入るも、2025年1月にスタートしたホールツアー「狂詩曲~ギャル爆誕~」で復活。3月に2年ぶりのニューアルバム「悪」をリリースした。2026年2月にテレビアニメ「地獄楽」エンディングテーマの「PERSONAL」をシングルリリース。4月からは全国ツアー「PERSONAL DISTANCE」を開催する。
女王蜂 / QUEEN BEE official YouTube channel | YouTube
衣装協力
アヴちゃん
アウター、トップス、ビスチェ、ソックス、シューズ、ヘアアクセサリー:VIVIANO(ヴィヴィアーノ)
シルバーのネイルチップ:Lueur By Mayuo(リュウールバイマユオ)
ひばりくん
トップス、パンツ:VIVIANO(ヴィヴィアーノ)
イヤリング、グローブ:Ryo Tominaga(リョウ トミナガ)
やしちゃん
ジャケット、スカート、ヘッドアクセ:VIVIANO(ヴィヴィアーノ)
イヤリング:Ryo Tominaga(リョウ トミナガ)
問い合わせ先
VIVIANO
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-1-10-202
HOUSE OF VIVIANO SUE株式会社
03-3475-5725
Lueur By Mayuo
Ryo Tominaga
東京都渋谷区神宮前3-34-7 4F
XANADU TOKYO
03-6459-2826





