5人で動き出したときから「アルバムを作ろう」

──ただ、再結成を決めてから、ライブもほとんどやらないうちに新曲だけのアルバムを作ろうっていう考え方に至ったところが興味深いんですが。

五味　動き出そうかってときに、「じゃあアルバムを作ろう」っていう考え方を5人とも自然にしていて。昨日も世治と話していたんですけど、そもそもZEPPETを結成したときも、俺たちが最初にやったことって、7曲入りのカセットテープを作ることだったんですよ。ライブとか何も考えてなくて、とりあえず曲を作って、レコーディングして、カセットを作って完結！みたいなところがあったよね（笑）。

──そもそも制作からスタートしたバンドだったっていう。

木村　そうだね。ライブバンドでは全くなかった。ライブを楽しいなって思えたのは全然あとだもんね。

五味　多分YANAが入って本来のバンドらしい動きになっていったっていう。

木村　そうだね。YANAはライブも精力的にやって、お客さんを増やして、いずれ音楽でメシを食っていこうっていうっていう夢が明確にあって。俺なんか、無理だと思うよって思いながらYANAについていったっていう（笑）。

──メジャー以降のZEPPETしか知らない人からすると意外ですね。

木村　そうでしょうね。初期の俺はずっと下を向いて歌っていたし。

赤羽根　俺もその頃のライブを観に行ったけど、楽しませようっていう要素はなかった（笑）。

木村　全然外に向かっていなかったもん、音が（笑）。

コミュニケーションを取るために音を作っていた

──そして、いよいよアルバムの話を伺っていきたいと思うのですが、何かテーマはあったんでしょうか？

木村　何もなかったですね。

五味　多分、コミュニケーションを取るために音を作っていたんじゃないですか。大前提としては何もなくて、完成したものが今の5人のZEPPETの必然になっていた、みたいな。

木村　曲作りも、最初にどうやっていこうか話したときに「せいちゃんが中心にやっていくんじゃないの？」ってバネが言ったんだけど、そうじゃないって俺は思って。まこっちゃんやバネとスタジオに入って、その場のインスピレーションで生まれたものからメロディを作ることってZEPPETでは多かったから、そういうことを大事にしたかったんです。

赤羽根　だから純粋にバンドの作り方ですよね。ギターにしても今までは1人で選んでいた色を、2人で選べるようになったんで、混ざりも変わってきたでしょうし。

──そこで改めて赤羽根さんと五味さんは、ギターが2人いる今のZEPPETの面白さに気付いたんじゃないですか？

五味　うん、めちゃめちゃ面白かったですね。僕の自宅のスタジオにほぼ毎日バネが来て、それこそバンド結成したばかりのガキんちょみたいにキャッキャキャッキャ言いながら作業していて（笑）。そこにベースの中村（雄一）もぷらーっと遊びに来たりして。気持ち的には初期衝動を思い出してやれましたね。ただ過去と違うのは、音楽家としても当然やれることは増えているんで、そこにお互いの相互作用があって、さらに面白いことができるわけじゃないですか。ただ集まってキャッキャキャッキャしているわけじゃなくって、カッコいいものができることが楽しくて、キャッキャキャッキャ言いまくってた（笑）。

木村　「俺たち天才じゃねえ？」っていう言葉が出まくっていた（笑）。

赤羽根　早くメンバーに聴かせたい！っていうね。

木村　俺、歌詞を書いていたんでスタジオになかなか行けなかったんですけど、データで送ってくれるんですよ。感動するんですよね、一つひとつに。スカスカだった音が、余りにも壮大になって返ってくるんで、ええー、こう来んのか!? じゃあ俺もこう歌おう、って。

──1曲目の「NOTHING」から、バンドのグルーヴを感じますもんね。

木村　やりたいことやってますよね（笑）。誰も妥協せず。