新体制のバランス感覚

──新メンバーの2人にとっては、今回が初めてのレコーディングですよね。どうでしたか？

咎　自分の声が曲になるっていうのがもう新鮮で。メンバー同士で声を重ねるっていうのも初めてだったんですけど、すごく楽しかったですね。

一十三　とがれの声、すごく好きだなって思いました。

ましろ　単純にちゃんと歌える子でした（笑）。僕たち3人はけっこう声質も強めなんですけど、とがれとめねは声がかわいいんですよね。そのバランス感覚がよくて、レコーディングで聴いていて「うまく合うな」と思いました。

──めねさんはいかがですか？

未来千代　レコーディングではすごく緊張しちゃって。普段訛らない言葉が訛ったりしたんですけど、楽しかったですね。

一十三　めねの声はちょっとボカロっぽい感じなんですよね。

如月　そうそう。抑揚があまりないのに、単調にも聞こえない。特殊な声質だと思いました。でもかわいい声なんですよね。

──3人はメンバーが変わってぜん君。の歌がどう変わったと実感していますか？

如月　字がものすごく元気でポップな声だったし、5才はかわいい声だったから、それに対して私たち3人が強めな声っていうのがあったと思うんです。私たち3人が残ったことで、どちらかと言うと明るい曲よりも力強い曲、ちょっと暗めの曲が多くなるのかなって感じています。

一十三　泥臭い感じ、あるよね。

如月　そうそう。でも新しく入った2人がかわいい声だから、そこまで泥臭い感じにはならなくてよかった。

ましろ　シングルの2曲目の「ざふぁいふぁいそっ」では、最初にとがれが歌ってそのあとに僕の声が入っているんですけど、それがすごく低く聞こえて。役割と言うか、立ち位置が変わったところもあるんだなあって感じました。

如月　「変わらなきゃ、がんばらなきゃ」って思うと歌も声も歌い方も全部変わる。それを実感したレコーディングでした。

押して押して引く3曲

──シングルの表題曲「Sophomore Sick Sacrifice」は、皆さんにとって特別な意味を持つ1曲になりそうですね。

如月　これまでシングルの表題曲はずっと水谷和樹（Gauche.）さんが作曲だったんですけど、今回の「Sophomore Sick Sacrifice」はsyvaさんが書いた曲で。syvaさんはいつも力強い曲を書いてくれるんですけど、今回の曲には「進まなきゃいけない、こんな世界でも」みたいなメッセージが込められていて。これから這い上がろうとするぜん君。にピッタリだなと思いました。

──今回のシングルでは水谷さんが書いた曲「あおはる」は3曲目に収められています。

如月　syvaさんが力強い曲を書いてくださるのに対して、水谷さんにはかわいくてポップで、儚さみたいなものも込められた曲をいただくんです。今回はsyvaさんの書いていただいた2曲を入れて、最後に水谷さんの「あおはる」で締める。ヒロインが押して押して最後に引く、みたいな（笑）。いい構成のシングルになったと思います。

患いさんと一緒に曲を育てる

──シングルを出した翌日からさっそく東名阪ツアーが始まりますが、新曲のパフォーマンスはいかがですか？

如月　新メンバー2人のどういう動きがかわいいのかっていうのもまだわかっていなくて。どういうものが正解なのかまだ探っている段階ではあるんですけど、めねの腰使いがすごくいいんですよ。いい腰してます。

一同　（笑）。

如月　れんもダンスでちゃんと動きを止められる子なので、キレのあるダンスとかがハマると思ってます。

──ぜん君。の振りはライブを重ねていく中でどんどん変わっていきますから、今回のツアーを経て新曲が完成するのかもしれませんね。

如月　患いさん（ぜんぶ君のせいだ。のファンの総称）のかけ声を聴いて振りを変えることもよくありますから、東名阪ツアーの前半は「やっぱりこの動きを入れよう」みたいな試行錯誤が多いかもしれませんね。毎回バージョンアップしていきます。

──メンバーの脱退と加入に対してもそうでしたけど、変わっていくことをすごくポジティブに捉えていますよね。

如月　常に変化は必要だと思っていますし、それこそ最初の振りと今の振りが全然違う曲もありますからね（笑）。それは私たちが成長してるってことも大きいと思います。単純に体力が付いてきて、いろんなことができるようになったっていうのもありますけど。

──新メンバー2人の成長によっては、今後もまだまだ変わる可能性があるってことですね。

如月　そうですね。曲に関して言えば、患いさんと一緒に曲を育ててるって感覚もあるんですよね。最初は私たちも患いさんも手探りなんですけど、患いさんがコールを入れてきて、一体感を求めているようだったら、私たちも新しい振りを入れてそれに応えることもあるんです。お互いが楽しい空間にするっていうのを考えながら、どんどん新しい振りを足しています。