タレントになりたかったわけじゃない
──ところで卒業公演は来年1月7日ですが、芸能界引退は3月末なんですよね。これはどうして?
それは今ソロでやってるお仕事の関係ですね。だいたい3月末締めなんで、それぞれ挨拶に行って「ご迷惑かからないところまでやらせていただきます」ってことで。それ以外に深い意味はないです。
──なるほど。それらのタレント仕事を続けていくという選択肢はなかったんですか?
たまに「タレントでいけるじゃん」とか言ってもらえて、それはすごくありがたいし、テレビ出るの苦手だなって思ってたところからそんなふうになれてうれしいなっていうのはあるんですけど。でも別にタレントになりたくて芸能界に入ったわけじゃなくて、私はでんぱ組.incをやりたいだけだったから、でんぱ組.incを辞める=芸能界引退っていうのは私にとっては自然なことなんですよね。
──じゃあ3月以降ファンがねむきゅんの姿を観られる機会はないわけですか。
あ、でも「神神」のイベントは出ると思います。それも一応責任取ってってわけじゃないけど、私が出てた分のDVDの発売イベントまでは。
──それは3月以降?
まだわからないです。もう勝負はしないですけどね!(参照:でんぱ組.inc7人で初の“神”イベ、無冠の夢眠ねむは健闘虚しく)
アルバムはきれいなエンドロール
──ここからはアルバム「夢眠時代」について話を聞かせてください。初のソロアルバムは10年間の活動をまとめた集大成的な内容になりましたね。
そうですね。大学時代に作った“作品”としての“夢眠ねむ”の集大成っていうイメージで、一番きれいなエンドロールみたいなアルバムです。
──しかもすごくいい内容に仕上がって。
ねえ! ひっくり返りますよね。1曲目「魔法少女☆未満」で始まって「魔法少女☆未満2018」で終わるんですけど、この約9年歌ったソロ曲が自分のキャッチフレーズにもなってるわけで、私ホントにやってること変わってないなあと思って。
──ブレないですよね。特に「魔法少女☆未満」から5曲目「あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード」までの流れが秀逸で、“魔法少女未満”だった夢眠ねむが最後に“概念”になるというのは、まるで「魔法少女まどか☆マギカ」の世界だなと。
そう、「まどマギ」みたいですよね。
──そこは影響を受けたわけじゃなく、自分の中から出てきたテーマなんですか?
うん、その時代に一番イケてるものって地球の裏側でも一緒だったりするじゃないですか。
──同時多発的に同じテーマを持った作品が生まれたり?
たぶん震災とか抗えない力があって、自分の大事なものがいろいろなくなっていく中で、私自身なんとなく夢眠ねむの着地点について考えて、結果こういうものになったんだと思うんです。そんな時代の象徴がたぶん「まどマギ」だったと思うんですけど。
──“夢眠ねむ”を襲名制にするって言い出したのもその頃ですよね。
そうですね。「AKB0048」(AKB48メンバーの名前が襲名制となった近未来の世界を描くテレビアニメおよびマンガ作品)もちょうどあれぐらいの時代だし、私自身は勉強不足でそれらの作品は観てなかったんですけど、その前は「ハルヒ」とかもあって、やっぱりセカイ系とかそういうものがバーッと芽吹いたとき、そういう空気感の中で、私も自分の作品を作っていたんだなって思います。
増殖していく「魔法少女☆未満」
──「魔法少女☆未満」は2010年にMaltine Recordsからリリースされました。
マルチネで出したのは自分の曲がいろんな人によって増殖していくっていうのをやりたくて。だからCDにもたくさんリミックスが入ってるし、当時は曲と歌をフリー素材で配ってたから誰でもリミックスを作ることができて、そういう流れがすごく面白かった。自分が出すものがブームになって誰かがそれのブートを作って「あのときのあれ面白かったね」っていう、時代の動きみたいなものを「魔法少女☆未満」で作れたのはすごくいい体験だったと思う。
──単にアイドルがソロCDを出すのとは意味合いが違ったわけですね。
そうですね。でも普通にアイドルのCDを買う感覚で聴いてもらってもいいんです。それがあるから裏テーマが楽しいっていうのもあるし。だからそれで言うと3曲目の「コズミックメロンソーダマジックラブ」も同名の作品展のために作った曲で、私がいた世界の縮図を見せるときにCDっていうモノが必要だったっていうだけで。もちろんすごくいい曲なんだけど、意味はその周りにあって、曲自体には仕掛けはないんです。
──2曲目の「ユメミる惑星」はこのアルバムで初めて聴きました。
これ実は「魔法少女☆未満」の次に出るはずだった曲で、当時生誕祭をやったときにデモバージョンで1回歌ったんですけど結局お蔵入りになっちゃって。作曲してくれた小池(雅也)さんも「よくこれを掘り起こしてくれたね」って。レコーディングのときはアニキが「ねむちゃん、声でセッションしてよ」って言い出して、アニキのギターソロに私が「パッパラパッパッパー」って変な声を乗せてる。ここちょっと泣けるんですよね(笑)。
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「夢眠ねむ」と「夢眠ネム」
- 夢眠ねむ「夢眠時代」
- 2018年11月21日発売 / TOY'S FACTORY
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初回限定盤 [CD+DVD]
4000円 / TFCC-86650 -
通常盤 [CD]
3000円 / TFCC-86651
- CD収録曲
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- 魔法少女☆未満
- ユメミる惑星
- コズミックメロンソーダマジックラブ
- あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡
- あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード
- ナイフ
- あたしの最後のラブソング
- おやすみ世界きゅん。
- 蛍の光(PandaBoY REMIX feat. 夢眠ねむ)2018
- 魔法少女☆未満2018
- 初回限定盤DVD収録内容
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夢眠ねむ生誕祭 ~自作自演のHappyBirthday~ 2017.7.16@ラフォーレミュージアム原宿録
- あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡
- シリカゲルでも吸いきれない夏がある
- 安全運転♥ムジ娘ちゃん
- カナリアのいっぽ
- コズミックメロンソーダマジックラブ
- あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード
- 魔法少女☆未満
- 蛍の光(PandaBoY REMIX feat. 夢眠ねむ)
- 夢眠ねむ(ユメミネム)
- 7月14日生まれ、三重県出身。2009年に女性アイドルユニット・でんぱ組.incに加入し、秋葉原「ディアステージ」を拠点にグループ活動を開始した。メンバーカラーはミントグリーンで、キャッチフレーズは「永遠の魔法少女未満」。2011年にシングル「Future Diver」でTOY’S FACTORY内のレーベルMEME TOKYOよりメジャーデビューを果たした。グループ活動のかたわら、映像制作やコラム執筆を行うなど多方面で活躍。12月20日には著書「まろやかな狂気2 夢眠ねむ遺言集」を刊行する。個人の音楽活動としては2010年に初のソロシングル「魔法少女☆未満」を発売。2017年には夢眠の声をサンプリングしたVOCALOIDソフト「VOCALOID4 Library 夢眠ネム」を用いたコンピレーションアルバム「VOCALOID 夢眠ネム」が発表された。そして11月21日に1stソロアルバム「夢眠時代」をリリース。2019年1月6日・7日に東京・日本武道館で行われる、でんぱ組.incの単独公演「でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館」をもってグループを卒業し、3月には芸能界も引退する。