「夢眠ねむ」と「夢眠ネム」
──4曲目「あのね...実はわたし、夢眠ねむなんだ...♡」は2014年にリリースされた清竜人さん提供の楽曲です。これはでんぱ組.incのメンバーソロ曲として作られた作品ですが、このアルバムの中でも違和感なく納まっていますね。
そう、このときは誰に曲を作ってもらいたいか自分の希望を出せたんで、私は「絶対に清竜人!」って言って、ディレクターに「清竜人が最高にいいから全部聴いてくれ」ってCDを渡して聴いてもらって。竜人さんはほっちゃん(堀江由衣)にしか書かないっていうイメージがあったから「よくわからんアイドルに書いてくれるかな」とか言って震えてたんですけど「いいですよ」ってことで。
──楽曲はどういうイメージでオファーしたんですか?
私からは「プリプリの曲がいい」って言ったくらいです。そしたらこんなすごい曲が上がってきてビックリしました。歌詞の「セクシーポリティシャン」「ラブリーテクニシャン」とか、私が思っている夢眠ねむのちょっと毒っぽいところも出ていて、自分の表と裏を絶妙に書いてもらえたなって。これがきっかけで竜人さんがでんぱ組.incに関わってくれるようになって、「Dear☆Stageへようこそ♡」ができて「まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♡」もできて。
──ねむきゅんがキーパーソンだったんですね。
あとMOSAIC.WAVもずっと大好きで「ホントにMOSAIC.WAVが最高だから聴いて」ってディレクターを洗脳したんです。それもあって「まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♡」はMOSAIC.WAVに編曲してもらって、その頃でんぱ組.incの次のソロ盤の話が出てきたんで「MOSAIC.WAVに頼みたい!」って言って「あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード」ができたっていう流れです。だから「あのね...実はわたし、 夢眠ねむなんだ...♡」のアウトロと「あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード」のイントロはつながってるんですよね。かやぴー(柏森進)がそこを意識して書いてくれてる。
──「あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード」は「VOCALOID 夢眠ネム」とのデュエット曲になっていますね。
これが自分の名前を襲名制にしたいって宣言した件の回収なんですよね。ボカロに夢眠ネムっていう名前を継いでもらって、永遠に老けなくて声もずっと残って、誰かが新曲を書いてくれたら歌い続けられる。「夢眠ネム」を作ってもらえたのは本当によかったです。
10年間を支えた曲のアンサーソング
──そしてアルバム6曲目はスネオヘアーさん書き下ろしの新曲です。
私ずっと「スネオヘアーが好きだ」って言い続けてて、特に「フォーク」っていう曲が世界一好きなんですけど。
──「フォーク」のどんなところが?
「フォーク」は「簡単に好きになんてならないで」「簡単に嫌いになんてならないで」みたいなことを歌った曲で、私すごい苦しいときに聴いていて。高校のときから聴いてるけど、この仕事を始めてからは特に、勝手に好きになられて勝手に嫌われる職業じゃないですか。スネオさんがその気持ちを歌として歌ってくれているおかげで、すごく勇気をもらえたし、踏ん張ることができた。だからほんとに私のこの10年間を支えてくれた曲と言っても過言じゃないんです。
──なるほど。そんなスネオヘアーさんから届いた曲が「ナイフ」というのは……。
そうなんです! 「フォーク」のアンサーソングみたいな曲にしてくれて。もうとんでもないぞ!って。「フォーク」の歌詞が「簡単にさよならなんて言わないで」で終わるんですよ。で、「ナイフ」は「今だけはさよならを / 振り向かずに見つめてた」っていう歌詞で始まってて、もう聴けば聴くほど泣けると言うか。
──前半5曲とはガラッと雰囲気を変えて、暗くてシリアスな曲ですよね。
私、スネオヘアーさんの暗い歌詞が最高に好きで、でもそれをアイドルの夢眠ねむが歌うのはちょっと過激でもあるんですよね。あと私、勘違いされるのも嫌いだから「勘違いだって言ってよ / わかってくれなくていいから」とかの歌詞もすごく響くんです。
ファンに向けた最後のラブレター
──7曲目「あたしの最後のラブソング」を書いた坂口喜咲さんとは以前から交流があったんですか?
喜咲ちゃんは路上で歌ってた頃から好きで。私、昔高円寺で遊んでたので。
──喜咲さんはバンド時代からとにかくキャッチーないい曲を書く人という印象があります。
そうなんです。曲がホントにいいしすごくピュアでいい子だし。私はただただファンだったからずっと好きだって言い続けてて、今回やっとお願いできました。
──どういう曲をリクエストしたんですか?
「お別れしてもお互い幸せでいようね」みたいな曲がいいなって。私、喜咲ちゃんの失恋の曲が特に好きで、私に急に別れ話を告げられたと思っているファンの人たちへのラブレターみたいな感じで歌えたらいいなって思ったんですよね。あと「夜中のアイス」とか「水曜日」っていうキーワードは私から伝えて入れてもらいました。
──どうして水曜日?
今、吉河順央と勝手にやってるラジオ(「たぬぴよラジオ」)が水曜日だし、昔、夢眠ねむになる前にやってたネットラジオも水曜日で、けっこう水曜日を軸に活動してるから。なんか水曜日って好きな人たちとお話できる日っていうイメージがあるんですよね。
次のページ »
ファミレスで話した夢が現実に
- 夢眠ねむ「夢眠時代」
- 2018年11月21日発売 / TOY'S FACTORY
-
初回限定盤 [CD+DVD]
4000円 / TFCC-86650 -
通常盤 [CD]
3000円 / TFCC-86651
- CD収録曲
-
- 魔法少女☆未満
- ユメミる惑星
- コズミックメロンソーダマジックラブ
- あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡
- あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード
- ナイフ
- あたしの最後のラブソング
- おやすみ世界きゅん。
- 蛍の光(PandaBoY REMIX feat. 夢眠ねむ)2018
- 魔法少女☆未満2018
- 初回限定盤DVD収録内容
-
夢眠ねむ生誕祭 ~自作自演のHappyBirthday~ 2017.7.16@ラフォーレミュージアム原宿録
- あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡
- シリカゲルでも吸いきれない夏がある
- 安全運転♥ムジ娘ちゃん
- カナリアのいっぽ
- コズミックメロンソーダマジックラブ
- あるいは夢眠ねむという概念へのサクシード
- 魔法少女☆未満
- 蛍の光(PandaBoY REMIX feat. 夢眠ねむ)
- 夢眠ねむ(ユメミネム)
- 7月14日生まれ、三重県出身。2009年に女性アイドルユニット・でんぱ組.incに加入し、秋葉原「ディアステージ」を拠点にグループ活動を開始した。メンバーカラーはミントグリーンで、キャッチフレーズは「永遠の魔法少女未満」。2011年にシングル「Future Diver」でTOY’S FACTORY内のレーベルMEME TOKYOよりメジャーデビューを果たした。グループ活動のかたわら、映像制作やコラム執筆を行うなど多方面で活躍。12月20日には著書「まろやかな狂気2 夢眠ねむ遺言集」を刊行する。個人の音楽活動としては2010年に初のソロシングル「魔法少女☆未満」を発売。2017年には夢眠の声をサンプリングしたVOCALOIDソフト「VOCALOID4 Library 夢眠ネム」を用いたコンピレーションアルバム「VOCALOID 夢眠ネム」が発表された。そして11月21日に1stソロアルバム「夢眠時代」をリリース。2019年1月6日・7日に東京・日本武道館で行われる、でんぱ組.incの単独公演「でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館」をもってグループを卒業し、3月には芸能界も引退する。